卒業から五年が経つ。

奈保美はトップの成績で卒業し、名の知れた商社に入社した。
早智子はデザイナーの卵だ。最近、ようやく作品を気に入って
くれる人が現れた。個人のショップだが、早智子の服を置いてくれるという。
二人とも忙しく、生活の場所は勿論、サイクルも異なってきた。
けれど、メールのやり取りだけは欠かさない。
一日の出来事を日記のように送り合う。
それだけでお互いに相手が見てくれている気がした。

そんな中、早智子は、ここ最近の奈保美の身辺に不安を覚えていた。
奈保美は私生活でストーカーに付きまとわれているようなのだ。
元の上司である男が、しつこく連絡をとってくると記してあった。
相変わらず豪快に笑い飛ばしてはいるが、かなり滅入っている様子が
文面から見て取れた。

(今度、ちゃんと会って相談に乗ってあげよう)
そう思っていた矢先、奈保美からメールが入った。

『ヤバイかも。助けて』
としか記されていない。
早智子の胸は早鐘のように鳴った。

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