嫁はんが琴を習い始めたのは、四歳の頃。

準師範の試験を受けられるのは十五歳からだそうで、高校時代の彼女は週五回は師匠のお宅で、自宅では毎日、厳しい稽古を続けたという。

来月、久方ぶりに彼女は演奏することになった。
琴に触るのは十何年ぶりとのことだ。

今、この時間も彼女は練習に励んでいる。

少しでも多く練習できるように、晩御飯の支度と
洗濯はやらせてもらった。

若い頃、ギターで飯を食っていたから、和楽器とはいえ少しは分かるつもりだ。

練習を始めた当初よりも音の粒が揃い始めている。
高校当時に流した汗と涙は裏切らないのだなぁと
シミジミ感じる次第である。


けれどもおそらく、彼女が目指す音・出せる音は、もっと高いレベルにある。

徐々にその位置に近づいて行くのは、しんどいが、かなり面白いに違いない。


今から若様と風呂に入る。
のんびりと湯船に浸かっていると、
柔らかな、時に際立つ琴の音が聞こえてくる。

なんとまぁ贅沢な。