言うなり、先生は一反木綿の背中から飛び降りた。
音も無く地面に下り立つと、闇を突いて走り出す。
僧達は次々に建物の中に入っていく。
最後の僧に向かって、先生の尻尾が振られる。
宙を貫いた毛が衣に刺さった。
こうしておけば、中の様子が手に取るように判るのだ。
ふわふわと一反木綿が先生の背後に降りてきた。
「先生、奴等は何を」
「し。どうやら何かの儀式が始まるようです」
先生の尻尾が小刻みに震えている。
毛が送ってくる情報を正確に受信しているのだ。
送られてきたのは、恐るべき光景であった。
僧達は正面を向いて頭を下げている。
本尊に向け、途切れる事なく読経を続ける。
先生の意識が集中し始めた。
本尊が見えた。
それは仏像のようだが、枯れ木の質感を持つ。
色合いも枯れ木のそれは、即身仏と呼ばれるミイラであった。
もちろん、ミイラごときでは先生は驚きもしない。
昔、大陸に居た頃、何体も見たからだ。
が、その即身仏は物に動じない先生すら驚かせた。
緩く胸が上下している。
生きているのだ。
三十七へ
音も無く地面に下り立つと、闇を突いて走り出す。
僧達は次々に建物の中に入っていく。
最後の僧に向かって、先生の尻尾が振られる。
宙を貫いた毛が衣に刺さった。
こうしておけば、中の様子が手に取るように判るのだ。
ふわふわと一反木綿が先生の背後に降りてきた。
「先生、奴等は何を」
「し。どうやら何かの儀式が始まるようです」
先生の尻尾が小刻みに震えている。
毛が送ってくる情報を正確に受信しているのだ。
送られてきたのは、恐るべき光景であった。
僧達は正面を向いて頭を下げている。
本尊に向け、途切れる事なく読経を続ける。
先生の意識が集中し始めた。
本尊が見えた。
それは仏像のようだが、枯れ木の質感を持つ。
色合いも枯れ木のそれは、即身仏と呼ばれるミイラであった。
もちろん、ミイラごときでは先生は驚きもしない。
昔、大陸に居た頃、何体も見たからだ。
が、その即身仏は物に動じない先生すら驚かせた。
緩く胸が上下している。
生きているのだ。
三十七へ