「今日はお招きにあずかりまして」

丁寧に礼を述べる美登里に、熊があたふたと頭を下げる。
「なんだか無理矢理に呼び出しちゃったみたいで。すいません」

「いえ、絹田さんからお話は伺ってましたから。とても美味しい店を
知っていると。そこは…熊がやってるって」

美登里は軽やかに微笑んだ。
「あ、ごめんなさい。あたし、それを聞いた時にそんな馬鹿な、って
言ったんです」

「でも来てみたら、確かに熊が居たと」
ねこや堂が馬鹿笑いしながら、美登里の言葉を引き継いだ。
全員の笑い声が出発の合図になった。

「では参りましょう」

「そういえば熊さん、今日行くのは何処だか聞いてないよ」

「絹さん、今からね、桜を観に行くんすよ」

桜を観に。
なんのことだ、と首をかしげる絹田の後に、これも不思議そうな
表情を隠せないまま美登里がついていく。