2019年度 95本目の劇場鑑賞
バットマンの宿敵ジョーカーが主役のシリーズ・スピンオフ作品。
ジョーカー誕生の秘話とバットマンの登場のきっかけを描く。
コメディアンを目指していたアーサー・フレック(ジョーカー)(ホアキン・フェニック)は世間から迫害を受けるに従って狂人になって行く。
バットマンのテイストで非現実的に町をメチャクチャにする、いかにもコミック映画かと思っていたら、全く違っていた。とてもシリアスな演出で社会問題をも提起している。
映像も大変美しい。舞台は架空の街ゴッサムシティーだがバットマンでのそれのようなCGは殆ど無く、実写が中心になっている。
チャップリンの「モダン・タイムス」(ローラースケートのシーン)を映し出しているスクリーンを逆光の光源としたアーサーの後ろ姿。白い廊下に点々と残してゆく真っ赤な足跡。光と影のコントラストを活かした照明が素晴らしい。
照明に加え、絶妙なカメラワークも目立ったが、唯一残念だったのはジョーカーが冷蔵庫の中身を放り出し、自身が中に入ってしまうシーン。何故このシーンだけちゃんとレールを敷きスムースなトラックインをしなかったのだろう。
精神を病んでいるアーサー(ジョーカー)を演じるホアキン・フェニックがとにかく素晴らしい。ガリガリに痩せ肋骨が浮き出た体、さらに演技(姿勢)によって普通ではない青年を演じている。また、自己陶酔して踊るシーンや彼を崇める群衆の中心での決めのポーズは優雅にさえ見える。
テレビショーの司会役を演じるロバーロ・デニーロもあのいつもの表情は無く、抑え気味の表情が渋く流石の演技だった。
劇中に流れる選曲にもセンスが光る。
チャップリンの「スマイル」、フランク・シナトラをはじめとするスタンダードナンバー、そしてアーサーがジョーカーになってパトカー内から外を見ているシーンで突然流れるクリームの「ホワイト・ルーム」。
エンド・クレジットまでシーンに合わせて、または対照的な曲を付けることによって<映画らしさ>が増している。
良くできている作品だ。
評点・・・★★★★ 4
『アカデミー賞での主演男優賞はこれで決まり?』
