2019年度  36本目の劇場鑑賞


〝女はつらいよ!〝 ベトナム版。

こんな表現はとにかく失礼過ぎる程、美しく切ない、個人的には非の打ち所のない良質な作品でした。

舞台は、19世紀の北ベトナム。
14歳ながら、大富豪のもとに第三夫人として嫁いできた少女メイを中心とした女達が主役の物語。男達はあくまで脇役。

この頃のベトナムは一夫多妻制。
跡継ぎの男を産まなければ、〝奥様〝とは呼ばれず、後ろ暗い思いをしなければならない。

第一夫人は唯一の息子があるが、第ニ夫人は三人娘を持ちながら当然の如く〝奥様〝とは呼ばれない。
メイはやがて妊娠するのだが、、、
第一、第ニ夫人の秘密もやがて明らかに。

女性監督メイフェアの曽祖母の実話を描き、数々の作品賞を受賞したが、本国では1週間で上映中止になった(内容や政治的なもの等諸々の問題があるようだ)。

映像がとにかく美しく素晴らしい。
田園風景、花、虫や川の流れ。

北ベトナムの自然美と、女性達の体の一部を心理描写にシンクロさせ、ストーリーの起承転結の間に交互にサンドするスタイル。

セリフは、極端に少なく最低限の説明用。

詩的で綴られいく様な展開には魅了された(映画批評サイトでは賛否両論、否の方が少し多い様だ)。

歴史的な側面や官能度も少し期待したが、いい意味で裏切られた。
単なるリアリズムとは一線を画す、あくまで女性達の悲哀と葛藤を描いた良作だと思う。

ラスト、3人の少女が最後に見せる(見ようとする)生き様はとても心が痛んだが、1番幼い少女の行動がこの作品に明るさと希望と救いを見せてくれホッとした。

日本の先人達も、先の戦中までは生まれながらにして自由のない閉塞感と覚悟の中で生きて来たのであろうが、こちらでもご存知ベトナム戦争から、南北統一に至っても未だ社会主義国である。

しかし現在は、女性達は男をアッシーメッシー君代わりにに使う(かなりの死語だが)ほど、この作品の時代とは関係性が逆転してるのだという。


評点・・・★★★★★  5
『作品では、カラリストが重用された様だ。まさにこの作品の語るべきアイテムと感じた。例えば、衣装は白、自然は緑や青、血は赤、当たり前の事だがその色調が殊更強調されて見えた。色達が透き通ったクリスタルの様な雰囲気。そうした映像に苦心した様子が受けとられ、好感および癒しとなったのは違いない。』