(sheen 新作)

2019年度  85本目の劇場鑑賞

 
1971年、アルゼンチンのブエノスアイレスで実際にあった17才の少年による連続犯罪を映画化。
 
バイセクシュアルの匂いも漂うブロンドの巻き毛とふっくらした唇を持つ<天使>のように美しい少年(原題はEl Angel)カルリートスはごく一般的な家庭に生まれ育ったにも関わらず野生動物のように身勝手で、道徳心、良心のかけらも無い。他人の物も自分の物、というより他人の所有権を認めていない。
学校で泥棒不良家族の息子と友達になり、本格的に窃盗を始める。 

捕まらないように、との慎重さが全くなく、むしろ自殺願望があるのではとも見える彼の犯行は大胆で窃盗による稼ぎが目的ではなく、その行為自体を楽しんでいた。また、何の躊躇もなく人を射殺する彼は仲間から殺人マニアと呼ばれるほどだ。17歳にして11件以上の殺人と42件以上の窃盗という犯罪史に残る罪を重ねてゆく。しかしながらまだまだ少年で母親には優しい。 

この作品のモチーフ(監督が一番表現したかったこと)はストーリー展開ではなく、何と言っても少年の美貌と極悪な犯罪とのコントラストだ。最後は70年代のフランス映画のように結果を見せずに終わる(小生はこのような最終シーンが大好き)。ちょっと「明日に向かって撃て!」の最後にも似ている。

挿入されている音楽はいかにも70年代らしく素敵。ラジオの音がしだいにBGMに、またその反対、とオシャレな演出になっていて、シーン中のガヤ(自然音・騒音)とBGMが一体になっている。
 
現在でも日本人から見て手放しで安心できるほど安全とは言い難いアルゼンチンの当時の治安情勢と怪しい警察事情が良く分かる作品だ。

評点・・・★★★☆  3.5