パフォーマンス:加藤千明さん
今まで、中野綾子さんとのペアでのパフォーマンスは何度も見たことがありますけど、加藤さんのソロは観るのは始めてです。
公演名は「充」。
「充足」「充実」「充ちる」などなど、前向きなイメージが強い漢字ですけど、まさしく、今の加藤さんの充実振りを表現しきったようなパフォーマンスだったと思います。
ちょいと早めに開場時間15分前くらいに砂丘館へ到着。
夕方の砂丘館も風情がありますね。私なんかだとどっぺり坂を上がっただけで息が切れてしまいますが(汗)、しばしロビーのソファに座って息を整えます。
開場となり会場である蔵へ。せっかくなので最前列に着席。
そしてかすかに鐘の音がなり、開演。
棒付きのキャンデイ(チュッパチャプス的なもの)を口にくわえつつ、加藤さんがゆっくりと登場。時々キャンディを口の中で「コロコロ」、またちょっとかじったりする「ガリガリ」という音も響いてきます。
正直、こういう音が演奏会で聞こえてきたら(聴こえてきたことがあるわけではないですが)、くしゃみやセキなんかと違ってやむを得ない音ではないだけに耳障りなことこの上ない音だと思うのですが、こうやって演出として聴いていると、ちょっとした音楽というか効果音のようでおもしろいですね。
このキャンディは中盤で食べきってしまうまで、一度も手で持つことなく口の中に入れたままでした。
あれって見た目以上に、息もしづらくなるでしょうし、不自由で大変だと思うんですけどねぇ。
そんな不自由というか制約のあるなか、じっくりとヨガ風のさまざまなポーズを決めつつ、ふっと緩める、緊張と弛緩の繰り返しという感じでしょうか。
また、時折、鍛えられた美しい身体を見せ付けるかのように、シャツの裾をめくりあげたり、ジーンズをずり下げたり。なかなか印象的です。
勝手な解釈ですが、この部分は、加藤さんの
ヨガウェアブランド『ヨギー・サンクチュアリ』のモデル兼アンバサダーの部分を象徴しているのかな、と。
そして音楽が変わり...というか、英語(だと思いますが、とにかく外国語)での会話をバックに一転して激しいダンス。
英語の会話もちょっとリズミカルに聴こえてきますが、蔵の中一杯に身体で表現します。ダイナミックでかっこよい、そして会場に設置されたさまざまなモノを使ってちょっとコミカル。まさにダンサー加藤千明さんの素晴らしい表現力ですね。
激しい動きの中、前半パートとことなり、中盤、非常に荒い息遣いが聴こえてきますが、それすら音楽の一部として聴こえてしまうといったらいいすぎでしょうか。
そしてそんな息遣いも最初は「あれだけ動いたらそうなるよね」なんて思っていたのですが、じっくりとした動きの中でいつの間にか聴こえなくなっているというのも気づいたときには驚きです。
比べることすら間違いですが、ドッペり坂を登っただけで息があがる私には想像がつきませんね。
そして終盤は机の上に腹ばいになった状態という無理な状態から、「胸を開いて...」などで動きの指示をしながら加藤さんも徐々に姿勢を変更します。が、動きと指示の内容がまったくあっていないチグハグ感がまた良いです。
ただ、加藤さんは頭を下げて、床について、手で頭を支えて、姿勢を変えていきます。ただそんな無理な姿勢でも口ではヨガの姿勢の指示を出し続けます。
そして足が伸びきって綺麗な三点倒立です。お見事でした。
おそらくこの部分はヨガインストラクターの「チャンドラムキ・チアキ」先生の象徴ということなんでしょうね。
最後は鳴り止まない拍手。それに応えて、加藤さんも
・今回が初めてのソロパフォーマンス
・動かないこともダンスだと思えるようになってきた
などなどをお話して終演となりました。
まさしく加藤さんの今現在
・ヨガウェアブランド『ヨギー・サンクチュアリ』のモデル兼アンバサダー
・ダンサー「加藤千明」
・ヨガインストラクター「チャンドラムキ・チアキ」
の思いっきりの表現だったんでしょうね。まさしく「充」。感動的な公演でした。
(砂丘館 1500円 事前申込み)