ソプラノ:風間左智さん
スピネット:笠原恒則さん
リコーダー、ガンバ、ビウエラ、他:白澤亨さん
有元利夫さんの版画展に合わせて行われた演奏会。
有元さんが好きだったというバロック音楽をテーマ、、、となると、ぴったりのメンバですね。
開演30分くらい前に会場の蔵織さんに到着したのですが、既に結構な数のお客さん。ただ、よくあることですけど皆さん遠慮するのか最前列が空いているので私は遠慮なく座らせていただきました。
普段から私は結構最前列に座りますけど、今回は特に事前に流れてきたリハーサルの様子からすると風間さんは着席してのパフォーマンスのようだったので、聴くだけではなく観るためにはなるべく前の方が良いかな、と。
また、笠原さんも今日は「スピネット」で観客に背中を向けるような向きでの演奏でしたがその真後ろに張り付く場所(笑)。
※スピネットは構造上演奏者自身に一番よく響きが聞こえるようになっているので観客にもよい響きを届けようとするとどうしても背中向けになるそうです。ただ、私自身はそこまで響きの違いはわかりませんがまあ自己満足です(笑)。
定刻となりまずは主催の中村さんによる絵画の説明。
有元さんに対する思いいれというか愛のあるお話でした。また、版画の展示をみただけではわかりにくい有元さんの作品と「音楽」がどれほど密接な関係にあるのか、等々の説明もあって驚きとともに納得です。
その後、いよいよコンサート開演。
元々「蔵織」という建物も非常に風情がありますし、そこにさらに有元さんの版画が飾られている会場の雰囲気に非常にマッチした素敵な音楽の数々です。
なんというか、癒されるような、それでいて華やかなような....自分としてもしんみりと目を閉じて聴き入りたいという気もしますし、せっかく最前に座ったのだからよく観たいというような気もしますし。
ホントに贅沢です。
プログラムも有元さんの作品集につけられた曲だったり、有元さん自身が作曲された曲「ロンド」なども。静謐な空間に漂う、まさしく版画と音楽が一体となったかのような、素敵な時間です。
また前半は風間さんもリコーダーで参加するというちょっとしたサプライズもありましたし、白澤さんもリコーダーをはじめ、ガンバに、リュートに、ビウエラなどなど曲に合わせて、さまざまな楽器をさらっと弾きこなしていきます。
笠原さんのいろいろな知識とユーモアを交えたトークもよかったですし、もちろんスピネットの煌くような音色も素晴らしいです。
特に今回のトークの中ではチェンバロとリュートは弦を弾いて音を出すというのは似ているけども、「リュートはろうそくの揺らめく炎のような音色、に対して、チェンバロはシャンデリアのような音色」という表現が特に印象に残りました。
そして後半は風間さんのソプラノを中心に。
それにしてもこういったちょっとしんみりしたような雰囲気の中での風間さんの歌声は染み入るというか、本当にぴったりですね。また歌声も素晴らしいのは当然なのですが、風間さん自身が醸し出す雰囲気がまたより一層よさを引き出す感じがします。
決して大きなアクションではないですし、(当然ですけど)衣装もまったく変わらないのですが、時にはお祈りする修道女のようにも見え、お客さんと絡む場面ではちょっと妖しい踊り娘のようにも見え、「どきっ」とさせられますね。
なんだかとっても素敵な時間を堪能させていただきました。
終演後は主催の中村さんの希望もあったとのことですが、観客が作品を鑑賞している間は有元さんの「ロンド」が演奏されていました。
い~い空間でした。
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ただ、自分は公演中、「有元利夫」さんというお名前は失礼ながらピンと来ていなかったのですが、自作の曲「ロンド」というのにはなんとなく覚えがあって、ただ、それをどこで聴いたのか思い出せずにもやもやしていたのですが、自宅に戻ってきてからふと「Kaede Gallery+fullmoon」さんでのギャラリーコンサートでは? と思いだし、確認したところ2013年の2月に庄司さんと佐々木さんのデュオでも有元さんの展示に合わせたコンサートが開催されていました。
なんだかお名前を覚えていないという自分に情けなくもなりました(汗)。
(ギャラリー蔵織 事前申込み 2000円)