タカラレーベン (8897) ライツ・イシュー | 元証券マンのIPO日記 株ときどきFX

タカラレーベン (8897) ライツ・イシュー

タカラレーベン(8897)の株価動向が市場関係者の関心を集めている。前週末に「2006年会社法施行後、初のライツ・イシュー(新株予約権の無償株主割当)」を発表後、大幅続落に見舞われたためだ。


ライツ・イシューは、(公募増資とは違い)株主価値の希薄化につながらない「株主に優しい資金調達手法」とされ、かねて東証の斉藤惇社長なども、普及への期待を表明してきた経緯がある。ところが第1弾となったタカラレーベンの場合、発表直前の5日終値559円から、9日安値443円まで、2日間で2割を超える急落となっている。これでは、公募増資発表時の反応と変わらないことになる。


タカラレーベンが、調達手段に「ライツ・イシュー」を選択した背景として、市場では「公募増資では大規模調達が困難」「オーナー社長の持ち株比率を33%超で保ちたかった」などが観測されるが、株主に優しいはずのライツ・イシューがなぜ、約2割もの株価急落につながったのか。


ライツ・イシューの本場・英国においては、特定の金融機関が、一定期間行使されなかった新株予約権をすべて引き受け、行使することを発行会社に約束(コミットメント)するのが一般的。タカラレーベンのライツ・イシューは、こうした約束のないノンコミットメント型であることに特徴がある。


5月末の行使期限まで払込額が確定せず、最大47億円とされる調達金額も、失権が相次げば、その分少なくなる。極端な話、行使期間中に300円を割り込んだままなら予約権は無価値になってしまう。また、新株予約権が東証上場されても、どれだけ流動性が確保されるかは全くの未知数。


会社側が担当者不在のため、なぜノンコミットメント型にしたのか、どの程度の行使を見込むか、などについて締め切りまでに確認できなかったが、市場関係者も、新制度適用第1号例を前に、どう消化すべきか戸惑っている面もあるようだ。メリルリンチ日本証券の9日付「日本株投資戦略メモ」は、「今回のライツ・イシューは今後増資を必要とする大手銀行にとって、よい練習になるかもしれない」と結んでいた。


なお、「親株の時価から300円分を差し引いた額」が、新株予約権の理論的価値となる。オプション取引のコール(買う権利)と同じメカニズムであり、4月1日の新株予約権上場時には、低く始まった方が、後の投資妙味が高まる可能性はありそうだ。

(日本証券新聞 抜粋)