そんな時でも一緒に連んでくれる仲間がいた。
僕と一緒にいる事で、イジメの標的になるのにだ…
でも、僕にはとてもありがたかった。
そいつらは、今まで僕が連んでいた奴らに比べると、何処か人間臭さを感じた。

3年になった、晴れた春の日。
僕は教室の窓から脱け出し、春を探しに出かけた。
ポカポカの陽射しを浴びながら、ブラブラと歩く…なんて気持ちがいいんだろう。
タンポポや土筆を見つけた。
どんな春を見つけたかったのかわからなかったけど、気付いたら隣の学区の中学校まで来ていた。

小学校まで一緒だった、友達がこの中学に通っていると知っていたけど、授業中だし、あうこともないだろうとグラウンドから校舎を眺めていると、体育の授業でマラソンをやっている。
グラウンドを出て学校の外周を回っている様だ。

「おーーい!何やってんだよ!」

と叫ぶ声がする。

声の方向をみると、あえると思ってなかった、友達だった。

「もう、終わるから、ちょっとまってて!」

と言って走り去って行った。

どうせ暇だし、帰りたくもなかったから、そいつを待つことにした。
2年の2学期くらいから、異変に気付き始めたんだ。
自称最強コンビを組んでいた、あいつの態度が変わった。
どう変わったかと言うと、僕を無視するようになったんだ。
最初はあまり気にも留めてなかったけど、みんなでいる時にも、あからさまに無視をする…

あれ?と思い

「どうした?なんかあった?」
と聞いてみたが…

「……… 」

明らかに、意識して、周りにもそれとわかるように無視されている。

えっ?なんで?どうして?なんかした?
なんだかわからないままに、無視から嫌がらせへと発展していった。

喧嘩が強く、度胸のすわったやつだけに、良くも悪くも周りへの影響力は絶大で、周囲を巻込みはじめた…
こうなると、嫌がらせからイジメへとランクアップしてくる。

自転車のサドルにガムが付けられていたり、サドルごと捨てられてた時もあった。
後ろから、上履きや雑巾を投げられたり…

それは、どんどんと急速に激しいものとなっていった。

なんでだろう?
なぜ僕はイジメの標的になっているのだろう?
あいつの気に入らないことをしたのか?
何が気に入らないんだろう?

毎日毎日、来る日も来る日そればかりを考えるようになっていた。
3年の便所に入ると、後ろから5人入ってきた。
溝口と大徳、後は取り巻き3人…
取り巻きが大きな声で脅すんです。

「こぉらぁ~!てめぇ~舐めてんのかぁ~!あぁ~!」

みたいなやつです…

どんどん壁際に追い込まれ、もう後ろには退がれない…

「おまえ、なんで呼ばれたかわかってんな⁈」

静かな声で、しかも鼻先で…
溝口がいうんです。
取り巻きの大きな声より、何倍も怖い。

「言ってみ?」

(えーーっ!なに?なに?なんかしました?あなたをおこらせるよーなことーー?)

僕を睨みつけたまま沈黙が続いた。
たぶん何分もなかったと思うけど、何十分にも感じた。

次の間で確実に殴られると感じた僕はとりあえず歯を食いしばった。
そして、拳を握り込み、手首を固めた。

もう後ろには退がれないんだから、殴られたら一発くらいは返してやろうと思ったからだ。

覚悟が決まるってこういう事かと思った瞬間だった。
そうなると、不思議と怖さは消えていて、闘志が湧いてくる。

一発くらいは返して…なんてショボい事を考えるな!鼻に頭突きかまして鼻骨を砕いてやれ!うずくまったところに蹴りだ!

溝口の右肩が動いた!

来る!

次の瞬間…
溝口は僕の肩を抱き寄せ

「ビビったぁ~?嘘だよ嘘~^ ^」

と笑った。

もう、何が何だかわからなかったが
身体の力が抜け、ほっとしたのを覚えている。

結局、あれが何だったのかはずっとわからないままだったけど…

僕はその悪人達と仲良くなっていた。