ゆっくり練習することの大切さ | iPhone De Blog

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2009年12月7日からスタート
iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

来月末に、知人の主催するチェロとヴァイオリンの発表会にチェロで参加することにした。


知人はもう20年以上の付きあいで、チェロを教える事を仕事にしていて、昔は、チェロとコントラバスでデュオ・コンサートをやったこともあるくらい親しかった。

随分長いこと、お互いに縁が無い状態だったが僕がチェロを始めたと言うのを知って、最近良く連絡を取る様になり発表会に誘ってくれたのだ。


まだ去年の12月に楽器を手に入れて半年くらいなので迷ったが、ホールを借りたり伴奏者を頼む費用は決まってて、僕が参加すれば参加費も増えるから協力してあげよう。と言うのが8割(笑)


ただ、コントラバスの時も出来る限り人前でソロを弾く機会は作って来てるのでチェロでもそれはしたいと思っていたので願ったりだが、こんなに早くチャンスが来るとは思わなかった苦笑


当初は既に弾ける様なスズキの3巻くらいから選ぶつもりだったが、まだ2ヶ月近くあるし、途中で師匠のレッスンも受けられるだろうから、エルガーの「愛の挨拶」をすることにした。


この曲は元々エルガーが書いたものはinEの様だが、チェロ版はinDとなっていて、若干アレンジが違うようだ。

又、チェロ版でもオクターブ下げている簡易版とそうで無い版がある様で、先にヤマハミュージックの「ぷりんと楽譜」のサイトでダウンロードしたものは下げてあるものだった。

元々ヴァイオリンなどの為に書いてある曲なので、ここは下げない版を選択した。

下げない版は当然ハイポジションも出てくる訳だが、幸いなことにハイポジションはコントラバスで嫌という程弾いている為、指板の上に親指が出る出ない、ハイポジションのフォームに関しては特に問題ないだろうと思う(まだ見て貰って無いから分からないが)。


ただ、コントラバスと比べてチェロのハイポジションは音程の幅が狭い。

少しズレると音程が悪くなる。


チェロはコントラバスの1/2くらいの弦長なので、移動距離は1/2だが、絶対精度は2倍必要だ。


つまり、コントラバスの場合弦長は約1m。1mmの誤差なら1/1000で0.1%


恐らくコントラバスならこのくらいの精度があれば演奏に支障が無いが、チェロの場合0.1%の精度だと、50センチで0.5mm。距離は短いが絶対的な精度は上げないといけないと言う訳だ。


弦楽器は取り敢えず音程が重要で、なおかつ、ピアノ伴奏の場合は相手が絶対にこちらに音程を合わせないのでその点でも難しい。

あらゆる面で効果的なのは「ゆっくり練習すること」だ。

実はこれ、音楽を多少ともやる人間なら分かっちゃいるのだが中々出来ない事なのだ。


僕は写真の様に8分音符を60以下(53)で設定して超絶ゆっくりにして練習している。


このテンポで音楽的に弾くのは非常に難しいのだが、反面、これだけゆっくりやると弾きながら色々な事が考えられる。


もちろん、音程を確認して調整する時間もあれば、以前、師匠に言われた注意点などへ気を払う余裕も出来る。


例えば、シフトをスムーズに行う為の左手の準備、ビブラートの時の親指や掛け方。


右手の肘の位置や使う弓の場所、移弦の弓の角度などなど。。


もし、これを普通のテンポで弾いていればそれらを考えている余裕は無い。


それなのに、それを気にしながら弾こうとすると上手くいかないのは当然だ。


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このゆっくり弾くと言う練習は純粋にトレーニングと言う点でも重要だ。


実は弦楽器の場合、ゆっくり沢山弓を使うのは難しい。


ピアノの場合は鍵盤を叩く間の時間が増えるだけだが、弦楽器はその間に音を持続しなければならない。


持続する為には右手のスピードを落として均等な圧力を維持しなければいけないし、その間ビブラートも必要になる。


これだけのテンポで最初から止まらずに通る様に弾ければ、進度に応じてテンポを上げれば良い。


最終的に先のあらゆる注意点を頭で考えずに、音のみに集中して弾けるようになれば良いのだ。


先生のところへ行くと上手く弾けないと言うのは、良くある話だが、それは演奏以外の事を頭が考えているからだ。


先生のところへ行く前の状態と言うのは殆ど頭であれこれ考えていない状態だが、先生のところで指摘があり、そこへ気を払う為に集中力がそちらへ行き身体のバランスが壊れて上手くいかない。


特に我々大人はその傾向が強い。


練習もレッスンの時も同じだが、上手くいかないと思ったら少しテンポを下げること。


その為にも、今、自分がどのくらいのテンポで弾いている(練習している)のかと言うのを把握しているのは非常に重要だ。


僕はこの練習のテンポを決める場合に闇雲に決めない様に一定の法則を決めている。


先の53と言うのも適当に決めた訳では無く理由がある。


最初に、自分が演奏したいテンポを決めて、その80%、その80%と順次下げている。


こういう曲はテンポの幅は当然あるので、その中で最も緩む部分を基準にしてそこを80ちょい。


確か、83くらいにしたと思うが、その80%の80%=83×0.8×0.8=53.12=53と言うことだ。

このテンポで安定して弾けるようになれば、その上の66に上げて練習すると言う事だ。


この8割と言うのは僕の経験上の数値で、本番のテンポが100としたら80で弾けたら100は弾けると言うもの。


例えば、先の53を54にしても、53がちゃんと弾ければ54は弾けるだろう。


それではどのくらいまで許容範囲があるのか?と言うのを自分で調べた事があり、その限界値を掴むことで、より短時間で曲を仕上げようとしたのだ。

つまり、100のテンポで練習して成功率を80%とするよりも80のテンポで成功率を上げる方が良い結果が得られるという事だ。


この辺は理由は良く分からないが恐らくメンタル面の問題だと思われる。


本番は緊張などでアドレナリンが出て普段のテンポよりも速くなりがちだ。


なので、最初から20%はアドレナリンで上がることを想定して練習しておいて本番で100%のテンポにすると言う事。


結局、最終的な本番のテンポは100くらいだろうと思うのだが、練習ではMAXを80にして確実性を上げたいと思っているのだ。


この辺りのルールは人によって違うかもしれないが、何れにしても闇雲にテンポを上げ下げするより、ある程度の法則性を持たせる方が再現性があって良いだろう。

このゆっくりしたテンポを決める方法は昔コントラバスのソロを弾いていた時に思いついた方法だが、僕の所属しているオケの常任指揮者も、ゆっくり練習することの大切さを強調する。


自身が名クラリネット奏者として長年プロオケで演奏してこられ、指導もされてるから、僕の言うことよりも遥かに信憑性が高い(笑)


その為、セクションだけ取り出して、何度か超絶ゆっくり弾かせる事があり、場合によってはオケの合奏でもそれをさせる場合がある。


そうすると、弾くことに余裕が出来て音程も確実になるし、他の楽器の音なども聴こえてくる様になって、結果的に良いアンサンブルとなる事が多い。


以前は、個人で弾いていても本番が近づくとついテンポを上げて練習しがちだったが、結局そうすると途中で引掛かる。つまり、失敗する練習をしている様なもので、成功の経験値が一向に上がらない。


ゆっくりでも成功の経験値が上がる方が遥かに良い練習になるし、合奏などでいきなりテンポが上がってもそれなりに弾いてるように聴こえるから不思議だ(笑)


その為、本番の直前、例えばステージ上での音出しでも、正しい音程とリズムで正確に弾ける様に引掛って止まらない程度にゆっくり弾くように心掛けている。