先日あった本番だが、かなりグチャグチャだった。
棒は、その大学の卒業生でもあり、日本指○者協会会長の荒○さん。
僕も二十代の頃(先生が50代の頃)に何度も本番をご一緒させて頂いたが、現在、82歳の重鎮であり、お元気そうでなによりであり、音楽の懐の広さがさすがだった。
久しぶりに「棒のテクニックがどーの」と言う次元で語る必要が無い人の下で弾くと、時々弾きながら「おーっつ」と言う状態が体験できて嬉しい。
しかし、問題は配置だ。
コントラバスは上手(客席から見て右)に来る一般的な配置だが、問題は管楽器。
ホルンとトランペットが上手後ろに来る配置となっていた。
特にホルンはコントラバスの真横で、ひな壇があったので、ちょうど顔の真横で吹き鳴らす形だ。
確か、当初は対向配置と呼ばれる配置で、コントラバス含めた低弦は下手(左)だったはずだが、いつの間にか上手(右)へ移されて、管楽器はそのままと言う状態だった。
どうも指揮の荒○さんの指示だと聞いたが、この状態で管楽器がffになるとどう言う事になるか。
ホルンの音の出口は舞台中央の木管や他のブラスに対して向かって鳴り響く。
自然と他の管楽器も必要以上に鳴る。
こうなると何が困るかと言うとコントラバスの我々の右耳の方でホルンはじめ金管がガンガン鳴り、目の前をトランペットやトロンボーンなどの音の塊が通って壁の様になって向こう側に居るヴァイオリンの音が全く聴こえなくなってしまう。
祝賀コンサートと言う性格なので最初にワーグナーの「ニュールンベルクのマイスタージンガー」をやったが、この曲は管楽器がガンガン吹く曲でもあり、これが最も酷かった。
もちろん、これは場所の影響もある。
アマチュアの場合は普段はそれ程響かない天井の低い場所で練習するが、それだと普段は気が付かないが、本番の、特に、アク○スなどシューボックスタイプの天井の高いホールは、ただでさへ音が上に上がって抜けて行く為、普段聞こえている音でも意外に聞こえなくなる。
つまり、本来、オーケストラの要になるべきコントラバスの周囲に音の衝立の様な壁を立ててしまうので、こちらもヴァイオリン側でも音が聞こえにくくなり、先ず弦楽器内でのアンサンブルが狂う。
特に管楽器やヴァイオリンの様に自分の耳元で相当の音量で音が出る楽器の場合は相当なアンサンブル能力が無いとオケはすぐに崩壊する。
元々、アマチュアオケなんてアンサンブル能力が高い訳では無いので、管楽器が舞い上がってくると、あっと言う間に足並が狂ってしまう。
コントラバスの場合は自分自身の音というのは自分の耳のかなり下の方で鳴っているので、周囲の音を聴くと言うのも重要な仕事だが、この状態では手も足も出ない。
大抵の場合、ホルンパートが上手に来る場合は対向配置と言ってコントラバスは下手に来るのだが、この逆の場合、コントラバスが下手(左)でホルンも下手(左)。と言う場合が時々あって、これはコントラバスの左耳の横にホルンの出口があり、特にコントラバスの後ろの席は悲惨だが、これもアンサンブルがグチャグチャになる率が非常に高い。
まー、無理な配置と言うのは、弾くのが精一杯と言う状態の人が多い、アマチュアオケが自分で自分の首を締めている様なもんで、オーケストラの場合は、文字通り「適材適所」と言うのを外すと酷いことになる。
コントラバスの場合は席が高いと言う事もあり、オーケストラの司令塔の様なものでもある。
もちろん、場所が良くてもその仕事が果たせてないコントラバスパートは多いが、最初から司令塔へ情報を集めない様な配置はどんなに音響的に優れた配置としても、実際の演奏面では相当な能力が無いと最悪だろう。
ちなみに僕が所属しているオケではコントラバスは上手(右)でホルンは下手(左)となっているが、管楽器の各パートの音が良く聴こえて来て、僕は非常に好きだ。