今朝の新聞に踊る週刊誌の見出し
年金はゼロ 医療費は全額自己負担 税収半減 学校・警察・病院・消防署は空っぽ 電気・ガス・水道・下水はメンテナンス不能 不動産は暴落 新幹線はたまにしか走らない 消費税は40%
この状態の国は既に崩壊していると言って良いだろう。そんな国に誰が住むのか?
この内容を良く見ると 原因は社会保障負担の増加と税収の落ち込みと言う事になるが、下の記事を見て欲しい。これらは全て昨日のある新聞記事だ
最初の記事は 日本自動車工業会の会長の「新春メッセージ」に対して疑問を投げかけた記事だ。
メッセージは「六重苦により日本国内で生産を継続するのが難しい」と言う内容だが、ここで言う「六重苦」とは円高、法人税の高さ、貿易自由化の遅れ、労働規制、温室効果ガス抑制策、電力不足をいうらしい。
この状況が続くなら企業は海外へ出て行かざるを得なく、そうなると産業が空洞化するという話だ。
裏を返せば、大企業・財界が求めているのは、法人税の引き下げ、TPPの推進、労働規制緩和、原発再稼働と言う事で、国民には何一ついいことは無い話だ。
この方針で行けば、停滞する日本経済の悪循環を加速させるだけだと書いている。
例えば、野田政権は消費税大増税を表明している一方で、2012年度から法人税を1.4兆円減税している。
中小企業の7割が赤字の中で法人税減税の恩恵の大部分は大企業への恩恵としかならず、内部留保が増えるだけで、賃金や設備投資が増える効果は期待できない。
当然だが、正規雇用者の賃金が伸び悩み、労働規制緩和で非正規雇用が増えれば内需が冷え込むのは当然で、ますます内需停滞に拍車を掛ける悪循環になるということだ。
子どもでも分かることだ。
何故そうなるかと言うのは、次の「企業の貯蓄超過が38.8兆円」と言う記事だ。
ニッセイのシンクタンクで、2010年度の企業部門の貯蓄投資差額が前年度から4.4兆円増加して、38.8兆円になり、そして、その一因が法人税率の引き下げと言う記事だ。
いわゆる金融資産の「内部留保」と言うやつだ。
リポートでは「法人税が軽減されていることも貯蓄の増加に寄与している」とあり、1988年度20.7兆円あった非金融法人の法人税は09年度には4割程度の8.8兆円にまで落ち込み、10年度には11.6兆円まで持ち直したものの、依然6割弱の水準だ。
結局、全部と言わないが、減税された部分は貯蓄へ回ったということになる。
リポートでは低金利による支払利子負担の軽減や設備投資の現象などの影響、低迷する国内需要を一因として、企業が設備投資に慎重な姿勢を崩していないということで、企業の大幅な貯蓄超過は「決して健全な姿とはいえない」して「企業に滞留する余剰資金の有効活用が経済政策を考える上で重要な論点」としている。
つまり、最近、電機大手が大幅な単年度赤字だと声高に叫んで、大規模なリストラをやっているが、これはポーカーのブラフの様なもので、会計処理のマジックに過ぎないということだ。
単に法人税減税の為の交渉に過ぎず、これを名目に大規模なリストラを行なっているだけだ。
実際、赤字を発表した途端に株価が上がると言う現象が発生しているが、投資家はちゃんと見抜いているということだ。
では何故リストラをする必要があるのか??
その一因だろうと思われるのが次の記事だ。
消費税は「社会保障のため」と言う口実で導入されて引き上げられて来たが、これまで導入されて社会保障が充実したと言う実感はあるだろうか?
例えば、今回の消費税税率の引き上げ分から「社会保障の充実」に2.7兆円使うとしているが、これは全体の1%に過ぎない。
内容は貧困・格差対策の強化と並ぶが、実際には年金支給額の削減や生活保護制度の改悪など全く逆の方針が準備されている。
又、4%に当たる10.8兆円は「社会保障の安定化」に使うとされているが、その中身は、年金の国庫負担分や社会保障の自然増、財政赤字の穴埋めで、これまで所得税や法人税を充ててきた部分を消費税で置き換えるだけだ。
実際、これまでも消費税と法人税、富裕層への緩い税負担が置き換えられて来ただけなので、一向に良くなったと言う実感が無いわけだ。
これと同じ事を繰り返そうとしているだけで、消費税は打ち出の小槌であると同時に社会保障を充実させるどころか掘り崩されるとしている。
又、消費税が上がると企業の正規雇用から派遣社員への置き換えが益々増える。
単純な理由だが、派遣社員へ払った派遣料の消費税は控除されるからだ。
それなら、同じ働かせるなら派遣社員の方が良いに決まっている。
つまり、リストラが増えて、非正規雇用が増え、税収が落ち込み、社会保障の担い手が減るので、又、消費税を上げると言う悪循環が繰り返されると言うことだ。
これらの記事は一見全く別々の記事のようだが、実は全て繋がって悪循環となり最初に紹介した週刊誌のショッキングな見出しもあながち嘘では無くなるということだ。
人によっては、大企業の法人税が上がり、富裕層への税金が上がると、彼らが日本からいなくなり経済が駄目になると言われているが、大いに結構。
金の為だけで祖国が捨てられる連中は出ていけば良いと考えている。
しかし、実際は、たいした影響は無い筈だし、出て行く企業があれば出ていけば良い。
何故なら、彼らは日本の人口、企業のホンの一握りでしか無いからだ。
寧ろ、出て行けるものなら出て行ってくれれば格差は少なくなるし、大企業がいなくなっても代わりになる企業は山ほどある。
寧ろ、日本を支えているのは中小企業と大多数の庶民だ。
大企業が無くなると日本は駄目になるからと言われながら優遇したとしても、果たして過去を見てそうだったか?
優遇しても、利益は貯めこむ一方で何一つ良い事はない。
今何もしなくとも、週刊誌の見出しの様な状況になるのなら、ここは思い切って、そういう連中が逃げ出したくなる様な政策をやってみても良いのでは無いだろうか。
寧ろ、良い方向へ行くはずだ、何故なら、通常、どうせ税金で持って行かれるなら自社の為、自分の為に経費として認められる対象へ使う方がマシと考えて投資の方向へ進むはずだからだ。
これは単なる愚論では無く、既に、アメリカをはじめ、ヨーロッパ諸国でもそう言う主張は高まっていて、富裕層の一人ウォーレン・バフェット氏は自分の納税比率が秘書よりも低いのはおかしいと言っているくらいだ。
当たり前の感覚なら日本の進んでいる方向がおかしいと思うのは当然なのだが、何故か日本の商業マスコミはそうでは無いらしい。
消費税有りきで論議が進み、週刊誌ネタで騒いでも、どうしてそうなるのか?と言う原因に関する部分には興味がないようだ。
上記で紹介した記事は非常に分かりやすく、基本的な主張もしっかり含まれていて、ある意味「傍観者」的な記事では無い。
ニュースとして、そう言う姿勢の是非はともかく、「傍観者」的に商業マスコミが流す一つ一つのニュースをバラバラに眺めていると見えるものも見えなくなるのは確かだ。
うん?それが手か?


