Dur=明るく楽しい、moll=悲しみと言う図式があるのか? | iPhone De Blog

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2009年12月7日からスタート
iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

昨日だったが、良く訪問させて頂いているビオリストのAさんのブログに面白い話しが書いてあった。

話の都合上、エントリが掲載出来ないので、ここで紹介する。


モーツァルトには短調曲が非常に少ないと言う事だ。

僕もその話しは知っていたが、定量分析されてるチェロの方の話を紹介されたもので、弦楽四重奏全23曲中短調は2曲しか無いらしい。

又、交響曲においても、ピアノ曲においても非常にその割合は少ないと言う事で、尚且つ、短調の中でも、モーツァルトの短調は二短調とト短調を非常に多く使っているらしい。

弦楽四重奏曲の2曲も二短調とト短調で、交響曲の2曲もト短調。

ちなみにそれぞれの作曲者の短調曲の使用率は

バッハ         1/2
ベートーヴェン     1/6 
ハイドン        1/13
モーツァルト     1/16

へ~と思い次の様なコメントをした


『少ないと言うのは聞いた事ありますが、定量分析しているのは初めて見ました!

バッハが意外にmollが多いんですね。

少ないからこそ、逆にその中でアリオーソ等のdurの曲が光って、モーツァルトでは交響曲の40番が光る訳ですね。』


そうすると、そのすぐ後に


『 ■バッハは例外ですよねw


バロック時代は、楽しい、悲しいじゃなくて
単に、響きが豊かになるから、短調を使ったふしがあるしw
古典は以降ですよね、Dur=明るく楽しい、moll=悲しみ
って図式はw』


と言う、恐らく僕の書き込みに対してだと思うが(僕しか書き込みしていないので)、小馬鹿にした様な書き方のコメントが別の人間から入っていた。


小学生じゃあるまいし、Aさんだってそんな紋切り型のイメージで調性の話をしてないし、僕もそうなんだけどなぁ。と苦笑いしながら、どんな人なのかブログを見たら、まあ、結構なクラシックファンだった(笑)


それもプレーヤーでは無くリスナーだ^^;


まあ、それで納得したが、僕はどちらかと言うとクラシックファンでは無い。


「楽器オタク」「演奏オタク」と言っても良いだろう。


偶然、ジャンルがクラシックだっただけで30年間叩き上げでクラシック音楽の世界に居るので大した勉強はしていないが、それでも、そんな図式の話をする人は見たことが無いし、この世界で、上の様な事を言う奴はアホかと思われるだけだ。


当然だが、古典以降だって、「Dur=明るく楽しい、moll=悲しみって図式」は無い。


聴いている分にはどう感じようと自由だ。


逆に言えば、何十年聴いたとしても、その人の感じ方が左右するので、そう言う知識による先入観で聞けばそう聞こえるのだろう。


只、演奏する場合は別だ。


クラシックの場合、作曲家の意図をどれだけ汲み取るかと言う事が重要になる。

そう言う意味では、mollでも熱い曲は沢山あるし、Durで悲しみを表現しているものもある。


又、声楽以外の場合は、楽器そのものの持つ特性も考慮する必要がある。


モーツアルトが何故、弦楽四重奏を二短調とト短調で、交響曲の2曲もト短調で書いたのか、弦楽器奏者ならピンと来るところはあるだろう。


ついでに言えば、「アリオーソ」と言うのは、単独で演奏され、僕自身も師匠が編曲した物をソロで演奏したことがあるが、元々バッハのカンタータ156番のアリアだ。

色々な訳があるが、例えば


「私はすでに片足を墓にかけています


衰えたからだもすぐに墓に入るでしょう

愛する神よ、み心なら、すぐに来て下さい

私はすでに家財を整理しました

どうぞ私の終わりを安らかなものとして下さい。」


と言う歌詞がついている。


当然、僕自身、自分が演奏する前に、この歌詞は調べて知っている。


なので、別にDurだから「明るく楽しい」なんて単純なイメージで弾いてる訳では無い。


バッハはご存知の様にカンタータを沢山書いているが、その様な性格の音楽の中で、このDurの曲が光る。と言う事を言いたかったし、モーツアルトの交響曲40番の様なmollの曲でもGmollと言う弦楽器が良く響く短調であるからこそ、シンプルで儚いモーツアルトらしい名作だ。と言う事で、当然、相手が演奏家なら分かってることなので簡単に書いただけだ。


僕は昔からクラシックファン、特にリスナーのマニアと言うのはあまり好きでは無い。


すぐに、やれ誰それの指揮はどうのとか、何処の演奏家はどうのとか講釈を垂れて批評をする。


どんだけ難しくて大変か、いっぺん自分で弾いてみろ。と言いたい。


歴史に詳しくて、一流の奏者でも知らないような知識をひけらかすが、意外に大切なことをわかってない。


調性に関して言えば、僕はdur mollだけでなく、根音となる音も含めた「色」があると思っている。と言うか、これまで沢山の作曲家の曲を30年以上数百曲演奏した経験による色彩感がある。


in G in C in Dmol 等のルートが変わることで様々な響きがある。


これは多分に、演奏する楽器の特性もあるかもしれない。


特に、弦楽器の場合は、D G A E C と言う音がオープンとなる為、これらの音がルートや3度、5度へ入る調性は響きやすい。


こう言う調性の持つ色彩感は、当然、一流の音楽家である作曲家は意識した筈で、その中に人間の喜怒哀楽の感情もイメージした筈だ。


これはバロックだから云々と言う事は関係ない。


ヘンデルはバロック時代を代表する作曲家だが、その「メサイア」では様々な調性を使って、神を讃えて壮大なオラトリオを作っている。


僕も全曲演奏したことがあるが、単に響きが豊かになるだけで短調を使う等と言う程度で作曲したなんて微塵も感じられない素晴らしい曲だ。勝手に「バロックだから」等と決めつけてはいけない。


どうも、「クラシック音楽やってます」というと勉強の匂いがして敬遠されるのだが、こういうタイプの人間が一役買ってるのだろう。やれやれだ。


『頭で考えるな、肌でつかめ』


これはブルース・リーが映画「燃えよドラゴン」で弟子へ言った言葉だ。