名曲紹介 「シチリアーナ」(パラディス) ~ 盲目の女流ピアニストの名曲? | iPhone De Blog

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「シチリアーナ」の作曲家 マリア・テレジア・フォン・パラディスと言うのは名前の通り女性だ。




1759年生まれだから、前に紹介したヘンデルが亡くなった年に生まれたと言う事になる。


そう言う意味では、パラディスは「生誕250年」と言う事になる。

パラディスの曲で、この「シチリアーノ」は恐らく唯一有名な曲では無いかと思われる。

数百年経っても朽ち果てない曲はやはり名曲であり、聴けば誰しもその哀愁を帯びたフレーズに心惹かれる筈である。

ちなみに『シチリアーナ(イタリア語:siciliana)とは、ルネサンス音楽末期から初期バロック音楽に遡る舞曲の一つ。』とウィキペディアにあるが、イタリア語のシチリアーノ(siciliano)と言う場合とシチリアーナ(siciliana)と言う場合があって、どちらも、「シチリア舞曲」danza siciliana」ないしは「シチリア風に A la Siciliana」から
由来するが、シチリアーナは女性名詞、シチリアーノは男性名詞、シシリエン(Sicilienne)はフランス語の女性名詞であり、後述のフォーレも同名の曲があり、こちらの方が有名だが、この場合は、フランス語のシシリエンヌが正しいと思われる。いずれにしても 男性・女性でイメージが違う気がする。



但し、このスタイルの曲は実はこの時代はあまり流行らなかった様で、19世紀に入ってフォーレが同名の曲を作曲し、レスピーギが「古代舞曲とアリア」の中の同名の曲で脚光を浴びる事になる訳で、パラディスのこの曲は当時としては珍しい物となっている。


その為、現在では、これはパラディスの物では無く、発見したとされてるサミュエル・ドゥシュキンと言う19世紀のヴァイオリニストの曲だとも言われる。


真偽の程はともかく、パラディス自身は本当に才能があった女性だった様だ。

そもそも、クラシック音楽の世界の作曲家というのは厳めしい顔をしたベートーヴェンや小癪な顔のモーツアルトを筆頭にほぼ男性陣で占められている。

その中に居て、有名な女性にシューマンの奥さんクララが居るが、この人の話は又別の機会にするとして、実はパラディスは幼い頃に失明をした盲目のピアニストだったのだ。

父親がそれなりの人物(宮廷関係者)だった事もあり、名づけ親のマリア・フォン・テレジアの援助を受け、相当な音楽教育を受けた様で、モーツアルトのライバル?サリエリも彼女の教育者の一人として名前があがっているし、モーツアルトも彼女の為にコンチェルトを書いたと言われる。

彼女は晩年は演奏活動から作曲活動も行い、音楽学校を設立して教育者としても活躍したと言われるが、これらの曲が現存してるかどうかは僕は知らない。

今年は盲目のピアニスト辻井伸行が脚光を浴びた年だが、既に250年前に、女性でそれだけの活躍をした人が居たと言う事を思うと、人間の力は素晴らしいと思う2009年である。


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