インド知財庁ではInPASSと称する特許検索データベースを運営しています。ほとんどの新興国ではデータベース上で開示される情報が要約どまりであり、請求項も詳細な説明も開示されていません。このような諸国では、特許の権利範囲を確定させるためには、現地事務所に依頼して知財庁で包袋を閲覧する等の面倒な手続きが必要になります。オンラインでどんな情報でも取得できると思われる現代社会において、ひと昔・ふた昔まえの時代の話のように思えます。


しかし、さすが「IT先進国」とも呼ばれるインドは違います。前記のデータベースInPASSでは、収録されたほぼすべての案件について、請求項も詳細な説明もオンラインで検索することも可能、もちろん査読することも可能です。インドの場合は特許文献が英語で記されているので、多くの日本人も直接読むことができますが、データベースで開示されるテキスト情報が画像情報ではなく電子テキスト情報であり、Google翻訳等で機械和訳させて査読の効率を上げることも可能です。

ところがやはりインドはインドです。全面的に信頼していると、大きなどんでん返しが・・・。

インド特許調査についての私のセミナーでは以前よりご紹介しているように、InPASSのIPC検索には大きな問題があります。たとえば出願番号201621043245の案件には、図のように3個のIPCが付与されています。

 

このような案件は、複数のIPCを区切るカンマや半角スペースを含んで、書誌画面の表示と完全に同じ文字列を検索しないとヒットしません。個々のIPCのそれぞれを検索してもヒットせず。区切り記号をカンマだけにしても、半角スペースだけに変更してもヒットしなくなります。いろいろな文字列を検索してみた結果を表にまとめました。表の△は半角スペースを表しています。

 


特許を検索したことがある人が作ったデータベースとは思えない動作です。

最近になって私も気がつきました。この酷いIPC検索がさらに「進化」してしまったようです。2021/07/12時点では、「G06K17/00,△G07G1/12,△G07F7/02」を検索しても、この案件をヒットさせられません。今や、複数のIPCが付与された案件はIPC検索することができないという、どこの新興国よりも調査性能が劣るデータベースになってしまったようです。

ところでこの1~2年に公開された案件では、IPC文字列がA61K0033380000の形式で表記されることが多くなっています。10桁の連続数字の、前4桁がメイングループを、後ろ6桁がサブグループを表しているようです。この形式のIPCが使用された案件では、大多数の案件には5個のIPCコードが付与されています。

 



複数のIPCが付与された案件を検索できないデータベースに、5個もIPCが付与された案件ばかり収録されているということは、「このデータベースはIPCを検索できない特許データベースだ」と言わざるを得ません。

しかたがないので中西は、InPASSに収録された全ての案件の書誌情報を参照して、各案件に付与されたIPCを洗い出し、IPC検索が可能なデータベースを構築しました。勘弁してもらいたいものです。

 

アイ・ピー・ファイン株式会社/アジア特許情報研究会
中西 昌弘