卒業式終わっちゃったけど、今年度のうちに残しておきたいお役立ち記事3部作
1. 学部成績
2. 就活・留学
3. 法曹志望者の受験計画←今ココ
第一弾・第二弾はこちらからどうぞ
※なんだか検索で上位に出てしまってるようですが、あくまで「東大文一→法学部」の方を念頭において作成した記事ですので、その他の方は他のもっと有用な記事を読まれるのをお勧めします。情報の信頼性に関してもソースちゃんとしてないので自己責任でお願いします……
◎受験計画
・簡単な制度説明
念のため説明すると
法曹三者になるためには
①予備試験(短答式・論文式・口述式から成る)合格→翌年司法試験
②法科大学院合格→3年次(入学の翌年)司法試験
の2つのルートがあります
(私は②の人になる予定です)
以下、
1. 予備試験or東大ローどちらを選ぶか
2. 予備校
3. 予備試験
4. 東大ロー入試
-実際、どのくらい受かるものなのか
-入試の仕組み
-勉強開始時期
-学部GPAはいくつあればいいのか
-早期卒業
-未修という選択肢
-併願校
-その他雑記
という流れで説明します!
◎予備試験か法科大学院か
この記事を読んでいる東大生のほとんどは、私はローには行かない、予備抜けする、と思っていることでしょう……(知らんけど)
まぁ東大生というのは往々にしてそういうもので、早く受かれるならその方がよくない?と考えて学部予備を目指す人が多いです そういう人が多いのを見咎めて逆に、「みんななんでそんなに生き急ぐんだろうね?私は最初からロー行くって決めてる」みたいな人も一定数います
かと思えば、入学時は学部予備を目指してたけど、大学生活≒モラトリアムの短さに絶望して学生生活伸ばしたくなってロー進学に舵を切る人(私)もいます(わりと数います)
・比較
まあ両方にメリデメあるので、以下に紹介します
〈学部予備のメリット〉
・四大法律事務所(東大生はここ志望が多い)に採用されやすくなるなど就活に有利
・早く社会に出られる(→早く経験を積める、早くお金を稼げる、結婚・子育て時期への影響を最小限にできる)
・ローの学費を節約できる
・箔が付いてかっこいい()
・3年までに予備に受かれば、司法試験後の残りの大学生活は気兼ねなく遊べる(司法試験後遊ぼうとしても周りの法曹志望が予備試験や院試で忙しくしているので相手がいないという説もあるけど)
〈学部予備のデメリット〉
・大学生活を勉強に費やすことになるので、相対的に遊びやサークルに充てる時間が減る
・モラトリアムが短くなる
〈ロー進学のメリット〉
・各界のガチの一流の実務家教員の授業を受けられる、繋がりができる
・まだロー進学してないのでわかりませんが授業で養われる法曹の資質みたいなものはきっとある
・モラトリアムを伸ばせる
・学部時代は遊び・サークル・バイト・留学等に比較的時間を割ける
〈ロー進学のデメリット〉
・学費が高い(国立でも年80万)
・社会に出るのが遅くなる(最速でも、大学3年+ロー2年+修習1年→就職するのが25になる歳)
・ちなみに、学部が東大なら就活で不利になるとかはなさそう。自分が経験してないので正確なことはわからないが、学部予備の方が有利、というだけ。
なお、予備試験合格者の司法合格率はロー出身者のそれよりもかなり高い数値に見えますが、ロー生の中には未修コース(院入学から法律の勉強を始める)の学生も含まれていることを考慮すれば、実質的には合格率は大差ないようです(特に学部東大出身者は)
色々比較しましたが、後述のようにロー入試は博打すぎるので、4年予備とローを並行して目指すのが私のおすすめです
◎予備校
東大法から予備試験・司法試験を受ける人は予備校に入っている率がかなり高いです
ただまあ独学の人もいるにはいるし、それで受かってる人も知っていますので、金銭面との相談?
通っている予備校で多いのは伊藤塾>アガルート>>資格スクエアって感じかな?
伊藤塾の内訳は塾長コース>伊関コース≧呉コースって印象です
が、↑はあくまで東大法で通ってる人数の順であって、実際のところ、最近はアガルートがいいと聞いたり、伊藤塾の中でも伊関1年コースが(教え方の面でというよりはコンパクトに講義してくれて早くアウトプットに進めるという点で)評価されていたり、わかりやすさの点で呉コース・本田コースが人気だったり、あとは加藤ゼミナールというところも評価されているのを聞く気もする?
いおりは大学1年の時に何もわからないまま「みんなが選ぶのが一番無難」という理由で伊藤塾・塾長コースを選んでおり、周りにそういう人も多いですしそれで2予備、3予備を成し遂げている人もいますが、他のコース、他の予備校のいい噂を聞いたりすると、もっと吟味すればよかったかな〜と思ったり
まあ結局のところ大学受験と同じで、予備校のせいで受からないということは基本的になくて結局は自分次第ですが、色々話を聞いて吟味するといいかも
費用面も結構差ありますし、高い予備校選んでもそれとは別に結局基本書を買う必要は出てきますし
◎予備試験
・勉強開始時期
予備試験に受かるには、(バケモノ級の天才がゴロゴロいるのが東大なので短い例は多々あるけど、平均的な)東大生が本気で勉強すればなんだかんだで1年くらいあれば受かれるかなという感じっぽいです
(*25/05追記: 「平均的な東大生」という表現がたぶん適切ではなくて、周囲で最終的に予備試験に合格した人が合格までにかかった年数、という趣旨です。途中で進路変更する人もある程度いるので、生存者バイアスはあります。というよりむしろ、民間就活に転向するならわりと早いタイミングでするので、記念受験はともかく本気で3回4回と受け続けている人はめったに見ない)
予備試験が7月に始まるので、例えば4年生で合格したいなら3年の頭〜最悪3年の秋に勉強を始めれば耐えるかな、という感じ
ただ、本気で(大学受験と同じかやや少ないくらい)勉強すれば、の話なので、実際のところは2年ちょいかける人が多いのかな
周りだと、勉強に全振りしてた人で1年〜1年半、サークル等と両立してた人で2年〜2年半くらいがボリュームゾーンかな、という感じ
実際のところどのタイミングで合格する人が多いのかというと、私の代の東大法は
2年生で予備試験合格(2予備や2年予備と呼ばれる)が4人
3予備が16人
4予備が42人
という感じでした
1年生のど頭に入塾した人は途中で進路変更した人と3予備、たまに4予備って感じなんじゃないかな?たま〜〜に、勉強をサボりすぎて学部予備を逃す私みたいな人がいますが……
最多数派は1年秋冬〜2年頭で入塾→4予備な気がします そして確実に学部予備を目指すならそれが無難な正解という気がします…
その理由を以下に
・1年頭はサークルとか必修の課題とか色々忙しくて、予備校の勉強がだれがち(逆にど頭から予備校の勉強ガチると大学生活の楽しみを逃しがち)(たまに大学生活エンジョイしつつ両立してる人もいますが…)
・授業がオンデマンドだからととりあえず入塾だけしておくみたいなことをすると、大学生活エンジョイしてる間に受講期限がきてしまうことがある(伊藤塾は4年)
・2年頭から法学部の授業が始まる(所属は前期教養だが、「持ち出し科目」の括り)ので、学部の授業との相乗効果が期待できる
・2予備・3予備を目指すのに比べ、ある程度大学生活の楽しみと両立できる
とはいえ、4年生で予備に受かっても卒業半年後の司法試験まではフリーター期間を経てしまうわけなので、それを回避してとにかく早く受かりたい!という人は早く入塾して3予備を目指すのが無難だと思います
逆に、フリーター期間全然大丈夫、かつロー進学も視野に入れられるという人なら、個人的には2年秋冬〜3年頭で入塾→4予備が一番おすすめです
3年頭から勉強に本腰を入れて4年で合格、ということは十分可能で、駒場祭の間はサークルにコミットして学生生活楽しめますし、卒業して司法合格してからの半年間はギャップイヤーを習い事や留学、旅行、長期インターン等に自由に使えます ローに1年だけ行ってゼミに入ったりリサーチペーパー(論文)を書いたりする人もいます
予備試験に受かるための勉強方法等については、非予備勢の私からのコメントは控えます!
◎東大ロー入試
・実際、どのくらい受かるものなのか
ローはまあ受かるものだろう、となんとなく思っている人もいるかもしれませんが、現状の東大ロー入試は内部生たる東大法学部生を容赦なく落としまくる結構な鬼門になっています
私が受けた最新年度(R5年度)入試だと
東大法学部生の出願者が150人くらい
そのうち56人がGPAのみで筆記試験免除で合格
筆記試験を受けて合格した人数はたぶん公開されてないけど、多くて3.40人くらい(自分の知り合いでは合格:不合格=1:4なので、もっと少ないかも…)
少なくない数の内部生が私大ローに進学したり、予備試験浪人・ロー浪人を選んだり、就活に舵を切ったりしています
・入試のしくみ
東大ロー入試には、一次選抜と二次試験があります
・出願
まず出願の段階で
・成績(前期教養、後期法学部、法科大学院進学プログラム科目の3つに分けて提出)
・志望理由書(ステートメントとかステメンと呼ばれる。確か800字くらい)
・外部英語検定(TOEICを出す人が多い)
を提出します
・一次選抜
一次選抜(二次試験の1週間前ぐらい)で
①3.5以上(今年は3.48くらい)あると二次試験が免除される
②2.8未満(今年は2.793くらい)だと書類落ち
まで絞られて、その間の人たちが二次試験を受けることになります。
①は法曹コース科目、②は前期後期の合算のGPAが見られていると噂(公表はされてないので実際のところブラックボックス…)
※TOEICは一応400点くらいがボーダーになって②の足切りに使われるらしいですが、東大生ならどんなに英語が苦手でも400は余裕で超えるので心配無用です
2023年は①が少し緩和され②が少し厳しくなった印象で、期末の勉強をちゃんとしていた人が56/149人もこの時点で合格を確定させた一方、期末の点が良くなかった人たちは軒並み足を切られ(598→480人)阿鼻叫喚が見受けられました
運動会の部活に入ってた人なんかは期末時期に忙しかった影響で一次落ちが多かった印象です…
・二次試験
11月の第2土曜日あたりに二次があります(私立よりはだいぶ遅い)
二次試験の合否は試験、GPA、志望理由書の総合考慮とされていますが、割合は不明
BEXAという予備校?の方が考察していたところによると、今年は二次の合否にはGPAは考慮されてないんじゃないかということだそう
ただ昔はGPA:当日点=6:4と公表されていたことがあるらしく、普通の大学院に比べてGPAが重視されるのは間違いないかと
・受験戦略
ということで東大ローに合格するには、高GPAで二次試験免除or GPA3くらい死守して二次試験で受かる、の2択ということになります
が、私見としては絶対に二次試験免除を目指す方が良いです
二次試験は他大(主に中央と早慶)がガチで対策してくるし倍率3倍以上あるし、何より試験時間が短すぎて(公法系、民事系、刑事系各70分)運要素が強くなります
問題の難易度自体は確実に予備論文より簡単なはずなのですが、予備論文(9月)には受かってるのに東大ロー(11月)がだめだった、という人もなぜか見受けられ、予備とは少し違う能力を試されてるのかな?と思ったり
狭く深くというより、短時間で情報を処理して「無難な」答案を書くことが求められてるのかも 例えとして正しいかはわかりませんが、大学受験の東大の問題と慶法の問題の違いみたいな…
まあそんなわけで、受かる確証もないまま二次試験を受けに行くのは精神的になかなか厳しいところがあり(万一だめだった場合12月に進路不確定の状態で放り出され、就活に切り替えるとしても1年留年しないと現実的でない)、それなら毎回の期末でちょっと頑張って二次免除を目指す方がいい、というのが二次試験受験経験者の一意見です
・学部成績の戦略
・二次免除の難易度
そんなこんなで激推しした二次免除、枠を勝ち取るにはGPA3.5が必要ということですが、その難しさとしては「意識してちゃんと頑張れば取れる」くらい
3.5を取るには優と良を半分ずつくらい取らないといけないわけで、もちろん簡単なことではないのですが、進振り医進みたいな無謀なものでは全くないです 難易度としては進振り点でいうところの80〜85点くらいのイメージ?
ただまあこれを書いてる張本人が3.2ちょいしか取れていないので、どこまで説得力を見出すかというところはありますが……
一応言い訳&悪い例として、私が3.5取れなかったのは「勉強が全然進んでいなかった/他で打ち込んでいたことがあった ので、はなから諦めていた」「情弱すぎて実際何の制度があってどのくらいの成績を取ればいいのかわかっていなかった」の2点によると思ってるので、
前者のような人が諦めるにはまだ早いと示すために↑で3.5言うて取れるよアピールをし、
後者のような人に情報を提供するためにこのシリーズを書いていることになります
・戦略的撤退のすすめ
ということで、二次免除されるにしろされないにしろ、法科大学院進学を考えているなら、GPAが高いに越したことはありません
でもって、GPAは不可抜きで算出されるというのが割と罠です
つまり、「今回勉強間に合ってなさすぎる!やばい!」となってるなら試験を受けに行かずに勇気を持って翌年に回すことで、不可抜きGPAを上げることができるということ
二次免除を勝ち取った友人たちを見ていても、各セメスター2つ(4単位×2)くらいなら撤退してる人も多そう
やりすぎもメンタルと翌年の負担的に良くないですが、適度に使っていきたいですね
・勉強開始時期
二次試験免除を目指してほしいとはいえ、免除されたかどうかがわかるのは二次試験日程の1週間前なので、GPAにかかわらず全員が二次試験の対策はせざるを得ないことになります
実際のところいつごろから対策をすれば良いかという話で、もちろん早ければ早いほどいいのはそうなのですが、体感としては、遅くとも新4年の春休みくらいまでには始めていた方がいいかなという感じ
運要素が強いので4年夏から始めて受かることもありますが、正直博打なのでメンタルに悪すぎます
2.3年のうちに勉強を始めて4予備と両睨みで挑むか、GPA4近く取って確実に二次免除されるかのどちらかが勝ち筋
・早期卒業
さらに法学部には早期卒業という制度もあり、卒業後法科大学院に進学することを条件に4年+2年を3年+2年にできるようになっています(私の一つ上の代から始まった歴史の浅い制度です)
その成績要件・単位数要件(人が2年かけてとる量を1年でとりきる)はだいぶ厳しいので私の年も一つ下も10人前後しか通っていませんが、医進みたいに「努力しても届かない」みたいなものではないです
いわゆる理想的な授業の受け方(予習復習しっかり、授業ちゃんと出て聞く)をしてれば全然いけると思います
とはいえ、大学生で色々やりたいことも誘惑もある中でそのペースをきっちり守っていけるかと言われると厳しい人が多いので、実際問題難しいという話
東大ではまだまだ少数派ですが、他大だと「3卒」なんて言って早期卒業を目指す人も多いようです
まあ早期にローの環境に身を置けることはローの授業・学問的探究に興味のある人には魅力的ですし、就活にも一定程度有利ではあるはずですが、ロー生ってあまり自由がないので、単に社会に出るまでの時間を短縮したいというだけの動機なら、学部予備の方が学生生活の楽しみとの両立という観点では魅力的だとも思います
・未修という選択肢
東大ローには定員65名の未修コースというものも存在しており、非法学部出身者を想定したものではあれど、東大法学部生でも未修を受ける人が一定数います
人数としては10人前後くらいいるのかな?私の知り合いで既に7.8人観測してるので、もしかすると今年はもう少し多いのかも
未修コースは3年かけて修了するものなので、司法試験合格年度としては既修より1年遅れることになりますが、ニート期間を過ごすのは不安定で怖い、とか、どうせロー入っても予備試験受けるから既修組と同期になることも可能、とかそういう理由なのだと思われます
入試の内容としては、一次選抜で求められるGPAが若干低い(のでGPAがあまり高くない人がこっちに出しがち)+二次は小論&現代文的な試験になります
ただ、未修とて倍率は高く、というかなんなら既修より高く、こっちなら確実に受かるというわけでもない(だめだった人を複数人知っている)ので、未修を選ぶのにも勇気はいりそうですが…
ちなみに私も勉強の進捗が悪すぎて未修の出願を考えたのですが、純粋未修者が多いから1年目からガチで勉強する感じの雰囲気ではない、という噂を聞いてやめておきました 流されやすいタイプなので…
(25/1/10追記: コメントいただいたのですが、純粋未修者「が多い」ということはないみたいですね
上記先輩の発言は、私が「未修に入学したら1年目で予備合格→既修入学者と修習同期を目指す」という前提で相談したため、「未修には純粋未修者もそれなりにいるし1年目予備合格を目指すという雰囲気ではない」という意図で出たものと思われます)
・併願校
以前書いた通り私は東大ロー単願だった訳ですが、友人たちに聞いた感じだと、
単願:早慶1つ:それ以上=5:1:1
くらいだった印象
みんな単願なのか〜〜!と思ったのと、私大入試は時期が早いので受けたとて受からないと思ったのとで単願を選択したのですが、単願と言ってた友人たちの半分以上は二次免除で受かってたので、最初から受かる見込みあったから単願だったんですね 騙された…
まあ、東大ローが残念だったら留年して予備を目指す/就活するのか他大ローに進学するのか、そこは個人によりけりだと思うので、それに従って判断したらいいと思いますが、早稲田だけとかでも受けておくに越したことはないのかも
・その他雑記
ローの過去問は法文2号館の地下で5年分売ってるので、それを買うと良いでしょう
私はそれを予備合格者に添削してもらう+伊藤塾の3年分の解説講義を購入してやっていました
伊藤塾の東大ロー模試(1ヶ月前の10月実施)も受け、ボロクソな結果でしたがまあ予行練習にはなったと思います。受験者も在宅合わせれば数十人はいたんじゃないかな
データまわりのことは前述のBEXAという予備校?がまとめているので、詳しいものはそこを見ると良さそう
逆に言うとそこくらいしか情報源がなくかなりブラックボックスで、法学部内にもローを目指す人たちのコミュニティみたいなものもないので、情報戦に圧倒的敗北している東大生がとっても多いです(もれなく私も)
積極的に先輩や早期卒業の同期と繋がって情報収集していこう!
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長くなりましたが「文一→法学部生用・東大生活の道しるべ」完
わかりにくいところはコメントで質問くだされば、(気づけば)(余裕あれば)お答えできるかもなので、(あまり期待せずに)送ってみてください
これを読んでくださっているみなさんの予備試験・ロー入試と私の司法試験に幸あらんことを!!お互い頑張りましょう
