8月19日、シラクーサまだ午前。
オルティージャ島、
島と言われなければ海に突き出た岬と思えるほど、
僅かな海峡に架かる30m程の橋を渡ると、
そこにはギリシャの時代に築かれた城壁、城門の跡が地下から
発掘され、
門を潜った体で進むと、シチリア最古(紀元前7世紀末)の
ドーリア式アポロ神殿の遺跡がある。
17世紀の大地震で倒壊した大聖堂は、その後バロック様式で
建て直されるが、それまでの教会が基礎に再利用していた
紀元前5世紀のアテネ神殿の柱はびくともせず、17世紀の再建時
にもまた教会を支える柱でありつづけている。
4世紀の初め、ローマ皇帝ディオクレティアヌスの
キリスト教信者大虐殺で命を落とした
シラクーサ出身のルチアはこの町の守護聖人であるが、
大聖堂広場に面し建つサンタルチア教会には、
逃亡中のカラヴァッジョが1608年に描いたサンタルチアの埋葬
シーンが中央祭壇に掲げられている。
17世紀の地震で被害を受けた後バロックで復興した町を
今度は第二次世界大戦下、連合軍による空爆被害が見舞う。
その時代を教えてくれた、シチリア人映画監督トルナトーレの
マレーナ(モニカ・ベルッチ)はこの海岸線を歩いた。
今日も観光客がシチリアに求める新鮮で豊かな海鮮が
2800年変わらぬ形で青空市で売られている。
マグロにメカジキ、鰯に牡蠣に、、、なんでも、
ローマ時代に、オリーブ漬けになる魚の加工品に、
8世紀アラブの時代にもたらされる、アーモンドやピスタチオの
ナッツ類に、レモンやオレンジの果物に、
16世紀スペイン時代にアメリカからもたらされる、ナスや
トマトに、、、
そんな食の幸を、オルティージャ島のレストランで頂いて、
暑すぎる今年の夏休みに、海で泳ぐファミリーをわき目に、
我々はさらに暑いであろうシチリア内陸の地へ向かう。