人民解放軍の軍人はなぜ士気が低いのか | smurt beauty lifes(美しい心と身体で心身共に健康生活)

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聞くと面白いね(笑)

中国人民解放軍の真実!
というか裏話というか…



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春節の休暇で日本を訪れた中国人観光客の爆買いが話題になっている。報道によれば、この春節に日本を訪れる中国人は45万人にもなるという。

 ただ、中国の人口は13億人、春節の休暇で日本を訪れる人間は中国人のごく一部でしかない。そこから中国を見てはいけない。

 現在でも中国人の約半分は農村に住んでいる。よく知られているように、中国の農民は経済成長から取り残されてしまった。最近は農村にも液晶テレビや携帯電話などが普及して、まずまずの生活水準になっているが、それでも都市に住む人間に比べて格段に貧しい。今回は、その農民と人民解放軍の関係について語りたい。

農民の子が大学に進むことは極めてまれ

 中国はものすごい学歴社会。日本も学歴社会であるが、それは明治政府が中国の科挙を真似て高等文官制度を導入したからだ。学歴社会は中国が本家である。

 中国の農村にも小学校や中学校はあるが、よい先生はいない。水準も低い。よい学校は北京などの大都市に集中している。だから、農村の中学を卒業しても、なかなか大学まで進学できない。

 ただ最近は、農民でもほとんどの子は高校まで進む。故郷からそれほど離れていない街の高校に進み、そこを卒業した後に就職する。儲からない農業は継がない。沿岸部の都市に出て農民工として働く者、内陸部の小さな街で店員や料理人の見習いを始める者などいろいろである。

 農民の子供でも大学に進むことがある。ただ、それはごく一部の頭のよい子に限られる。農村の学校で、全校で1番か2番、そんな子は貧しくても大学に進む。親が学費を負担できなければ、親戚(遠い親戚のこともある)が援助する。中国では親族の助け合いが盛んだ。それは、優秀な子が出世すると“おこぼれ”に預かることができるためだ。中国では官僚と政治家の境目はない。偉くなった官僚が政治家。一族から政治家が出れば、多くの親戚がその周辺でビジネスをすることになる。

 農村でも少し裕福な家庭の子なら、50人クラスで3番、4番程度でも大学に進める。しかし、親がそれほど裕福でなければ、親戚が援助したくなるようなとびきり優秀な子どもでもなければ、進学はあきらめざるを得ない。

人民解放軍の魅力は待遇のよさと天下り

 そんな高校生にとって、憧れの職場が人民解放軍と武装警察だ。中国では軍人の社会的地位は日本人が考えているほど高くはない。「よい鉄は釘にならない、よい人間は軍人にならない」そんなことわざがある国なのだ。都市に生まれた子が軍人になることは稀である。

 なぜ、農民の子にとって人民解放軍や武装警察が憧れの職場なのであろうか。それは、待遇がよいからだ。

 江沢民は、鄧小平が退いた後に共産党中央軍事委員会主席の座についたが、軍歴がなかったために軍の掌握に苦労した。その結果として軍人の処遇を大幅に改善した。ご機嫌をとったのだ。多くの中国人は、江沢民が甘やかしたために軍が贅沢になったと感じている。

 実は、給料がよいことだけが、人民解放軍や武装警察を志望する理由ではない。どの軍隊でも兵隊の定年は早い。下士官や下級将校になっても30代で軍隊を去る。普通、その後の生活は大変なのだが、現在の中国では兵士にも天下り先が用意されている。それは軍が関与する企業であったり、地方公務員であったりする。そして、田舎の公務員になっても、軍の後押しがあるために、それなりに出世する。

 だから人気がある。その結果、学校の成績が優秀な者でなければ入隊できなくなってしまった。この20年ほどで、人民解放軍や武装警察の質はずいぶんよくなったと言う。

 北京で要所を警備している武装警察官などは全て地方出身。そして、つつがなく3年程度の勤務を終えれば、故郷に帰る。そこで、また数年勤めると、天下り先が待っている。

 そんな彼らは絶対に命令に服従する。少しのミスも許されない。それは、ミスを犯せば、天下りに響くからだ。そして、少しでも出世しようとする。出世した方が、よりよい天下り先にありつけるからだ。

 ここからが日本人には驚きなのだが、出世するために上官に小まめにプレゼントする。まあ、どんな組織でも出世するにはゴマすりが必要だが、中国の軍隊には売官の伝統があったために、それが下級兵士にも広まったようだ。下級将校でも、処理に困るほどのプレゼントが集まるという。

地方でなぜ軍人は嫌われているのか

 そんな雰囲気の人民解放軍であるから、軍隊というよりも天下り先のあっせん機関のようなものになっている。当然、士気は高くない。演習のための費用を横流しして厚生経費に充てる。軍事費が家庭電化製品に化ける。まとめ買いをする人民解放軍は、地方デパートの重要なお得意先になっている。

 くたびれるから演習はやらない。頻繁にパーティーを開いて上官のご機嫌を取る。地方を歩いていると、そのような噂を耳にする。

 面白いことに、地方の一般の民衆は尖閣問題で日本と間に緊張関係が生まれることを喜んでいる。それは日本が嫌いだからではない。人民解放軍に呆れているからだ。

「パーティーばかりやってないで、少しは尖閣諸島にでも出動しろ」
「真面目に軍人らしく演習をしろ」
「日本の自衛隊が1発でも打ったら、パーティーと汚職に明け暮れていた人民解放軍は、雪崩を打って逃げ出すに違いない」

 そんな陰口をたたいている。

 それは、軍人が傍若無人な振る舞いをするからでもある。軍の車の違法駐車は日常茶飯事。デパートの正面に車を乗り付けて、電気製品を買いあさる。警察も軍ナンバーの車には手を出せない。

 人民解放軍は世界最大の軍隊であり230万人もの兵士を擁する。武装警察も60万人。しかし、その構成員のほとんどは農民出身であり、軍隊を割のいい就職先として選んだに過ぎない。そして、結構頭がよい。農民のエリートだ。まあ、戦争や演習が好きそうなタイプには見えない。

 中国の軍事情勢を分析する際には、圧倒的多数を占める農民出身の兵士がなにを考えているかにも目を向けた方がよいと思う。その方が、等身大の人民解放軍を理解することができよう。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43114

以上です!