視覚と数字に訴え、災害を学べる学問、それが地理であるー第29回秀明大学飛翔祭 | AKI―エーケーアイ―

AKI―エーケーアイ―

本年3月28日、ブログ開設17周年を迎えます。これまでのご声援に、深く感謝申し上げます。

本日、明日の2日間、千葉県八千代市にある秀明大学では、第29回「飛翔祭」が開催されます。本日の午後に私は、新鎌ヶ谷駅から送迎便ノ乗合自動車で出かけました。

 

尚、送迎便ノ乗合自動車は、八千代緑が丘駅、勝田台駅からも出ています。いずれも20分間隔です。しかし千葉ニュータウン中央からは出ていませんのでご注意を。

 

今回注目したのは、学校教師学部の社会専修のコーナーです。

学校教師学部は、教育学部のようなイメージでありますが、教員免許取得が卒業要件となっています。まさに学校の教師になるための学部です。

 

そのなかで、社会専修(社会科の先生をめざす)のゼミナールによる、東京オリンピックから学ぶ地理、Chiba-Graphia(統計と地形図が語る郷土の歴史)、震災史から学ぶ日本と世界、の3箇所を回りました。

 

 

東京オリンピックから学ぶ地理では、当時の東京の気温、土地利用、流行等の紹介がありました。

現在のオリンピックの多くは夏季に行われていますが、前回の東京オリンピックは10月開催でした。そういえば体育の日は10月の第二月曜日ですが、それまでは東京オリンピックの開会式(10月10日)が、体育の日と決められていました。

 

なぜ10月の開催だったかというと、ニッポンの夏は蒸し暑いからとのことだったそうです。また5月では、寒冷地の国では練習時間不足の問題もあり、10月担ったそうです。

しかし次回の東京オリンピックは、真夏の開催のようです。大丈夫なのかな!?

 

 

Chiba-Graphia(統計と地形図が語る郷土の歴史)は、ズバリ視覚や数字に訴える地理であります。地形図の模型が、実に精密につくられていました。これをつくるのは、並大抵の苦労ではなかっただろうと思います。

秀明大学のある八千代市については、大まかに南側が住宅地で、北部が畑、川沿いは水田というような分布となっています。

それから東側は工業団地があります。

 

 

これは色で見ると一目瞭然で、住宅地が赤、畑が黄色、水田が緑、という区分けでした。

その視点でいくと、電車(京成電車と東葉高速鉄道)のあるところを中心に赤色に、北部が黄色が多く、新川や印旛沼の周辺が緑、です。

 

また、千葉県は全体的には平地ですが、八千代付近を細かく見ると起伏があるという説明がありました。

例えば、

 

ここ(大学)からチバニューへ買い物へ行くとき、坂を下って上っている

 

とのことです。

 

このコメントの通りたしかに、新川あたりで下り、そこからチバニューに向けて上り坂になっています。このようにミクロな視点は気づかなかった。さすがだ。

 

数字は主に、農作物の生産高、人口等を記していました。地理の学習では、農作物や人口、工業の生産、気温など、データを読み取る力を養う要素があります。

 

特にデータを読み取る要素は、(職種にもよりますが)社会人になり仕事をするようになると、ひじょうに重要なものとなってきます。例えば会社の業績、製品の売上、利益、故障率など、数字とにらめっこする機会が多くなるはずです。

 

その力を養い、仕事に役立つと思われる学問がなぜ、高校であれほどまでも蔑ろにされるのか、私には皆目理解に苦しむところであります。

 

現在、高校で地理は「地理歴史」という教科の一つになっていますが、

 

地理を蔑ろにしていながら「地理歴史」とか、おかしいんじゃないか!?

 

という気が致します。

 

それにニッポンは災害大国。そんな国が、地震や地形の知識を学べる地理を軽視してるなんて、ちゃんちゃらおかしい。これは、地学についても同様です。

 

災害といえば、震災史から学ぶ日本と世界、というコーナーに、最後に行きました。

 

江戸時代の地震、関東大震災、そして記憶に新しい東日本大震災。

先人の言い伝えが生かされ、被害が少なくなった事例等を挙げていました。

また、岩手県釜石市での防災事例も挙げられていました。震災の当日、登校していた生徒全員が無事だった例がありました。これは、日頃から防災訓練、災害教育に熱心に取り組んでいた成果と釜石市はコメントしているそうです。

 

釜石市ではこの防災教育を、学年に応じて社会科、保健体育、理科等にその要素を取り込んだり、ビデオを見せる等して行っているとのことです。

 

海沿いの町では、津波等の恐怖と隣り合わせであります。それだけに、この災害教育というのは、命を守る教育となっています。

 

そういえば江ノ電も、海沿いを走る電車だけあって、駅には避難マップがあります。

また、我らが江ノ電バスでも、避難マップのほかに防災受信ラジオを設置し、災害に備えています。

 

ということで、日本史や世界史もたしかに大切と思いますが、これだけ幅広い分野を学べる地理を蔑ろにするのはそろそろやめにしてはどうか。高校は大学等への単なる通過点ではないのです。

 

そして、大学の文系学部では地理の受験を認める学部を増加するべきである。

おかしなことに、史学地理学科(地理学専攻)のある明治大学というところでも、3科目式で地理で受験できるのは政治経済学部、商学部、文学部だけです。

尚、農学部の食糧環境政策学科でも、地理で受験できます。

ニッポンの高校のカリキュラムは、大誤りもいいところだ。

 

ということを、地理の素晴らしさと同時に改めて実感しました。