このごろ読んでおもしろかった本。

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のだめで更に有名になってしまった茂木さんが書いた本です。

この本読んで、のだめドラマの舞台裏がよくわかりました。
そしてもう一度、のだめカンタービレの漫画本を読み返したくもなりました。

のだめの漫画やドラマを見て思うことは、物語の当初の舞台、桃が丘音楽大学に自分がいるような気分になって、それが架空の物語だと分かっていても嬉しくなります。そこには昔の自分の夢、「音楽家になりたかった」「音楽大学に行きたかった」という叶えられなかった夢があったからです。

私は中学生から吹奏楽部でホルンをやっていましたが、中学・高校の頃は、「自分は地元の同世代の学生の中で5本の指に入るくらい上手い」と思っていたほど自意識過剰でした。お恥ずかしい話ですが。

もうとにかくホルンバカ・吹奏楽バカで、「自分からホルンを取ったら何が残る?」ぐらいの勢いでした(笑)

だからホルンで音大に行きたかった。


でも自分にはその行く手を阻む大きな壁がありました。
ピアノが弾けない。。。ピアノがない。。。うちは貧乏だから音大に払うお金もない。

昔から「うちは貧乏だから…」と母親から言い聞かされており、子供心にも家に対する遠慮と諦めみたいなものがありました。

しかしある時、勇気を出してその旨を親に言ってみました。
しかし帰ってきた言葉はやはり予想していた言葉でした。
「うちにはそんなお金ないから。」

自分もバカでした。それ1回きりで、諦めてしまったのです。

あとはウジウジとしているばかりで、音楽家になれないなら他になりたい職業なく、結局漠然と地元の総合大学みたいな所に自宅から通う、という、親にとっては非常に都合よい進路を取りました。



ところで、私の叔父さん(父親の弟)が仙台フィル(当時は宮城フィル)でコントラバスをやっていた、プロの演奏家でした。
仙台フィルの演奏会にはいつもタダで行けたので、聴きたいプログラムがある時は気軽に聴きに行く事が出来ました。

今思えば、なぜあの時、叔父さんに相談しなかったのだろうと、今更ながら後悔しています。
叔父さんは多忙な方でしたので、なかなか会って話をする機会は持てなかったとは思いますが、
もしプロの演奏家が持っている情報を少しでも分けてくれれば、自分の道が開けたかもしれません。

しかし、「音楽家になりたい」と親に打ち明けた時、音大に行かせられない理由が「お金がないから」の他にもう一つあるとすれば、叔父さんが音楽家の駆け出しの頃ものすごく苦労したのを見ているから、自分の子供にはおすすめ出来なかったのかもしれません。


たしかに、もし音大を受験しても受からなかったかもしれませんし、音大に行けて卒業したとしても仕事もなく路頭に迷っていたかもしれません。今より生活が厳しかったかもしれませんね。

一つだけ言えることは、もし音楽の道に進んでいたら今のかみさんとも出会わなかっただろうし、2人の子供たちも生まれて来なかった。それを考えればこれで良かったのかもしれません。


...なんてことを、「のだめカンタービレ」を読む・観るたびに思ってしまうのです。