みなさんは「書き置き」を残したり、見たりしたこと、一度くらいはありますよね?よくお母さんが置いて出かける「冷蔵庫にカレーがあります」とか、そういうメモです。僕も何度かあるんですけど、実は過去に、二度見するくらいすごいのを見たことがあります。それは嫁さんが残していった「革命家になるから探さないでください」という「書き置き」でした。それから3時間後に帰ってきた嫁さんは、さすがに照れくさかったのか「私が帰ってきたのは奇跡だと思った方がいいよ」と言いました。「奇跡」の使い方、間違ってませんか?
犬嫁日記#41:『奇跡の使い方』の巻
ある日の夕方のこと。パソコンに向かって黙々と仕事をしていた嫁が、急にこちらに向き直って話しかけてきました。
嫁さん:「ねえ、ちょっと犬にお願いがあるんだけど」
本能的に「やばい」と感じた僕は、聞こえないふりをして読みかけの本に目を落としました。
嫁さん:「聞こえないふりをしても無駄だよ。ねえ、これから私の仕事に同行してくれない?」
僕:「どういうこと?」
嫁さん:「取材の道具が多過ぎて、私1人じゃ持って行けないの。どうせ暇でしょ?」
どうやら、嫁さんは僕に荷物持ちをさせようということらしいです。正直気が進まなかったのですが、ここで拒否すると後が面倒です。
僕:「何時に出ればいいの?」
嫁さん:「もうすぐだよ」
僕:「もうすぐって何時?」
嫁さん:「もうすぐはもうすぐでしょ、犬は細かいなー」
そう言うと、嫁さんは再びパソコンで仕事をし始めました。まだしばらくかかりそうだし、出発時間も分からないので、僕もソファで本を読み始めました。
程なくして、
嫁さん:「あ!しまった!!」
僕:「どうしたの?」
嫁さん:「この時計って、たしか遅れてるか進んでるかしてるんだよね?」
嫁さんは壁掛け時計を指さして慌てています。
僕:「10分くらい遅れてるよ。電池が弱ってきてるからね。朝、そう言ったじゃん」
嫁さん:「10分遅れてるってことは……どういうこと?」
僕:「は?」
嫁さん:「時計が10分遅れてたら、私は何時にここを出るのが正解なの?」
嫁さんはもともと数字に弱いのです。しかも慌てているので余計に混乱しているようです。
僕:「知らないよ。何時に出れば間に合うのさ?」
嫁さん:「15時30分」
僕:「じゃ、もう過ぎてるね、10分程」
嫁さん:「まずい!遅刻する!!すぐ出るから早く準備して!」
言われるまま僕は大慌てで着替えをし、家の戸締りを確認して外に出ました。すると嫁さんはいつの間に準備したのか、大量の荷物を抱えてエレベーターの前に立っています。
嫁さん:「遅い!もう一体なにしてんの!!遅刻したら犬のせいだからね!」
「絶対に俺のせいじゃない」と思いながら僕はエレベーターに滑り込みます。そこからはダッシュで駅に向かったのですが、大量の荷物を任されたおかげで思うようにいきません。
嫁さん:「ああっ!電車が出ちゃったじゃない、どうしよう…」
僕:「ところでどこに行けばいいのさ?」
嫁さん:「そんなことも知らないで付いてきたの?有楽町に決まってるでしょ!」
僕:「今、初めて聞いたんですけど…」
嫁さんは人に正確な情報を伝えるのがとても苦手なのです。
ようやく来た次の電車に乗り込んだのですが、嫁さんは仕事の指示書とにらめっこをしながら何やらつぶやいています。
嫁さん:「まずい…ほんとにまずい…遅刻したら何て言い訳したらいいんだろ…」
僕は嫁さんから指示書を取り上げ、仕事場までの正確な所要時間を携帯で調べました。
僕:「このまま行くと16時30時頃に到着するけど、それだと間に合わないの?」
嫁さん:「まさに16時30分からの取材だからギリギリだよ。駅に着いたら走るからね!」
やれやれと思いながらも、遅刻して先方に迷惑を掛けるわけにもいきません。僕は大荷物を抱えながら、到着した駅から現場までの数10mを走り抜く覚悟をしました。
「プシュッ!」という電車の扉が開く音を合図にして、僕と嫁さんは全力疾走で駅の構内を掛け抜けました。そして取材先のビルの1階に辿り着くと、時計は16時29分を指していました。
嫁さん:「エレベーターが降りて来ない!たしかここの5階だか6階だかに行かなきゃならないのに!!」
僕は息を切らしながらも、ほんとに5階なのか確かめようと、ポケットにしまっていた仕事の指示書をもう一度見ました。たしかに5階と書いてありました。しかし、僕は別の項目を見てハッとしました。
僕:「取材時間:17時~と書いてあるけど…」
すると指示書を奪い取るようにして見た嫁さんが口を開きました。
嫁さん:「やったー!!!やっぱり私には神様がついてるんだわ。この前もそうだったんだよね。またまた奇跡が起きた!ラッキー!!」
…「奇跡」をそんなことで使わないでください。
嫁さん:「ねえ、ちょっと犬にお願いがあるんだけど」
本能的に「やばい」と感じた僕は、聞こえないふりをして読みかけの本に目を落としました。
嫁さん:「聞こえないふりをしても無駄だよ。ねえ、これから私の仕事に同行してくれない?」
僕:「どういうこと?」
嫁さん:「取材の道具が多過ぎて、私1人じゃ持って行けないの。どうせ暇でしょ?」
どうやら、嫁さんは僕に荷物持ちをさせようということらしいです。正直気が進まなかったのですが、ここで拒否すると後が面倒です。
僕:「何時に出ればいいの?」
嫁さん:「もうすぐだよ」
僕:「もうすぐって何時?」
嫁さん:「もうすぐはもうすぐでしょ、犬は細かいなー」
そう言うと、嫁さんは再びパソコンで仕事をし始めました。まだしばらくかかりそうだし、出発時間も分からないので、僕もソファで本を読み始めました。
程なくして、
嫁さん:「あ!しまった!!」
僕:「どうしたの?」
嫁さん:「この時計って、たしか遅れてるか進んでるかしてるんだよね?」
嫁さんは壁掛け時計を指さして慌てています。
僕:「10分くらい遅れてるよ。電池が弱ってきてるからね。朝、そう言ったじゃん」
嫁さん:「10分遅れてるってことは……どういうこと?」
僕:「は?」
嫁さん:「時計が10分遅れてたら、私は何時にここを出るのが正解なの?」
嫁さんはもともと数字に弱いのです。しかも慌てているので余計に混乱しているようです。
僕:「知らないよ。何時に出れば間に合うのさ?」
嫁さん:「15時30分」
僕:「じゃ、もう過ぎてるね、10分程」
嫁さん:「まずい!遅刻する!!すぐ出るから早く準備して!」
言われるまま僕は大慌てで着替えをし、家の戸締りを確認して外に出ました。すると嫁さんはいつの間に準備したのか、大量の荷物を抱えてエレベーターの前に立っています。
嫁さん:「遅い!もう一体なにしてんの!!遅刻したら犬のせいだからね!」
「絶対に俺のせいじゃない」と思いながら僕はエレベーターに滑り込みます。そこからはダッシュで駅に向かったのですが、大量の荷物を任されたおかげで思うようにいきません。
嫁さん:「ああっ!電車が出ちゃったじゃない、どうしよう…」
僕:「ところでどこに行けばいいのさ?」
嫁さん:「そんなことも知らないで付いてきたの?有楽町に決まってるでしょ!」
僕:「今、初めて聞いたんですけど…」
嫁さんは人に正確な情報を伝えるのがとても苦手なのです。
ようやく来た次の電車に乗り込んだのですが、嫁さんは仕事の指示書とにらめっこをしながら何やらつぶやいています。
嫁さん:「まずい…ほんとにまずい…遅刻したら何て言い訳したらいいんだろ…」
僕は嫁さんから指示書を取り上げ、仕事場までの正確な所要時間を携帯で調べました。
僕:「このまま行くと16時30時頃に到着するけど、それだと間に合わないの?」
嫁さん:「まさに16時30分からの取材だからギリギリだよ。駅に着いたら走るからね!」
やれやれと思いながらも、遅刻して先方に迷惑を掛けるわけにもいきません。僕は大荷物を抱えながら、到着した駅から現場までの数10mを走り抜く覚悟をしました。
「プシュッ!」という電車の扉が開く音を合図にして、僕と嫁さんは全力疾走で駅の構内を掛け抜けました。そして取材先のビルの1階に辿り着くと、時計は16時29分を指していました。
嫁さん:「エレベーターが降りて来ない!たしかここの5階だか6階だかに行かなきゃならないのに!!」
僕は息を切らしながらも、ほんとに5階なのか確かめようと、ポケットにしまっていた仕事の指示書をもう一度見ました。たしかに5階と書いてありました。しかし、僕は別の項目を見てハッとしました。
僕:「取材時間:17時~と書いてあるけど…」
すると指示書を奪い取るようにして見た嫁さんが口を開きました。
嫁さん:「やったー!!!やっぱり私には神様がついてるんだわ。この前もそうだったんだよね。またまた奇跡が起きた!ラッキー!!」
…「奇跡」をそんなことで使わないでください。
苦難は次回へ続きます。犬