昔舞台で共演したことがある人と久しぶりに会いました。


ふたりで居酒屋に入ろうと新宿をうろうろしていると

客引きのお兄さんが近づいてきて、強引に紹介された店に連れて行かれました。

僕は嫌な予感がしたので、


僕:『お兄さん、信用して大丈夫なの?』

お兄さん:『大丈夫ですよ。』


そういったお兄さんの横顔は見事な能面で、

『人が嘘つく時の顔ってすごいなあ…』と思っているうちに店内に。


店内は妙に薄暗く、お客さんは1人もいません。


女性店員:『こちらへどうぞ。』


案内されたテーブルは、これでもかというくらい狭いBOX席。


僕:『お客さんもいないし、あっちの広い席に座っていいですか?』

女性店員:『それは無理デス。あっち4人用の席。』

僕:『混んできたらこっちに戻るから、ね。』

女性:『テンチョに聞いてきます。』


なんとか4人用の席に座れたものの、メニューを見て愕然とする。


僕:『暗くて字が読めない。』


しかも、文字がなんだかおどろおどろしいフォントで印刷されていて

よけいに読みづらいときている。


さっきの女性店員が近くに来たので


僕:『注文いいですか?』

女性店員:『注文する時、それ、ボタン押してクダサイ。』

僕:『はあ……』


昔、こういう雰囲気の飲み屋で

ビール1本につき1000円を請求され、もめた経験がある僕は

来るべき会計に向けて心の準備を怠らなかった。


女性店員:『時間なのでお会計お願いシマス…』

僕:『…来た。』


緊張しながら手渡された請求書を見て再び愕然とする僕たち



僕:『ふたりで税込6347円!!安い!いい店だ!!』