撮影の仕事をして来ました。

なんとも緊張感漂う現場でした。

別に監督が恐いひとだった訳ではありません。

スタッフが荒くれ者の集まりだった訳ではありません。


話は昨日に遡るのですが、

僕は撮影現場に集合時間の15分前に到着していました。

しかし予定時刻になっても誰も来ません。

携帯で担当スタッフに連絡を入れてみましたが、留守電。

受付で聞いてみると、今日はそんな撮影の予定は入っていないとの事。


僕は集合時間の前日の15分前に到着している事を知りました。


そして今日。

僕は集合時間の30分前に現場に到着しました。

余裕の筈でした。

余裕の表情でふと自分のズボンを見ると、


ズボンのジッパーが壊れてチャック全開になっていました。


余裕から転じて一気にパニックになりました。

あと30分でスタッフがやってきて

僕の股間を見て大笑いするのかと思うと

いてもたってもいられません。

僕は顔面蒼白のまま、この緊急事態を切り抜ける方法を模索しました。


いちばんいい方法は、メイクさんに頼んで

縫うなり、安全ピンで留めるなりしてもらうことだと思いましたが、

すぐにそれは得策ではない事に気づきました。


撮影日を間違えてひとり現場に来ていた男が(留守電メッセージでばれてる)

次の日はジッパーが壊れてメイクさんに直してもらっている。

こんな状況を見たら、普通の監督さんは、「こいつアホだ!」と思うでしょう。

「いい年してなんてだらしのない奴なんだ!」と思うに違いないのです。


僕はスタジオを飛び出してコンビニへと走りました。

勿論安全ピンを入手するためです。


安全ピンを手に入れた僕はスタジオに戻り、

すぐにトイレに入ってジッパーの仮留め作業を始めました。

しかし、やってみるとなかなか上手く留まりません。

一度表から留め終ったのですが、

なんだか今時の若者のオシャレを股間に施したみたいに

なってしまい、やり直し。

裏側からそれこそ職人技とも言えるテクニックを駆使して

なんとか目立たないように留める事ができました。


トイレを出ると受付の男の人が怪訝そうな顔で僕を見ています。


「しまった!ジッパーの秘密がばれたか?」


しかしそれはドアを閉めた瞬間に僕の勘違いである事に気づきました。

そのトイレは女性用だったのです。


撮影隊が到着して、撮りが始まると、

演技をやりつつ股間を気にするという塩梅なので、

いつもの倍疲れてしまいました。


撮影スタッフのカメラさんがどうも見たことある人だなあと

思っていたら、以前群馬の撮影(過去のブログ参照)時のスタッフさんでした。


右手で握手をしながら左手で股間を隠したのは言うまでもありません。