今日、渋谷のハンバーガーショップで昼ごはんを食べていたら、

隣りの席におばあちゃんが座ってきました。

おばあちゃんは何が入っているか分からないビニールの袋を3つテーブルの上に置き、

カバンの中から飲みかけのペットボトルのお茶を取り出しました。

そして店員が通るたびに何度も呼び止めるのですが

店員は振り向かずに行ってしまいます。

どうやら注文をしようとしているらしいと分かったのですが、

着席しての注文はシステム上できないのがファーストフード店というものです。


そのうちおばあちゃんは独り言を言い始めました。

僕は気がつかないフリをしていたのですが、だんだん我慢ができなくなって

僕「おばあちゃん、注文したの?」

おばあちゃん「わたしはね、足が悪いのよ、何度呼んでもウエイトレスが来ないでしょ?

もう困っちゃうよ、煙草を出しても灰皿がないじゃない、今日もそこの○○病院に行ってきたの、

お薬もらわないといけないから、もう大変なのよ足が痛くて歩けない、昨日も佐々木さんがね…」

僕「おばあちゃん、ここはあそこで注文しないと駄目なんだよ、ほらあそこの…」

おばあちゃん「足が痛いの、歩けないわよそんなの無理無理。」


急に大きな声を出すおばあちゃんに他のお客さんの視線が集まります。


僕「じゃ、ウエイトレスさん呼んでくるから。」


女性店員に声をかけ、おばあちゃんの注文を聞いてあげてくれと頼み、

灰皿を持って席に戻りました。


女性店員「お客様、ご注文はあちらのカウンターでお願いします。」

おばあちゃん「あんた、そんなこと言わないで私はアイスコーヒーか

こんにゃくゼリーが欲しいのよ、あるのここには?」

女性店員「ございますがあちらの…」

おばあちゃん「じゃ、それちょうだい、190円よねここは?」

女性店員「アイスコーヒーで宜しかったですか?」

おばあちゃん「ほんとはこんにゃくがいいんだけど甘いんでしょ?」

女性店員「ゼリーのことでしたら甘くはありませんが。」

おばあちゃん「じゃアイスコーヒー。」

女性店員「…かしこまりました。」


こうしておばあちゃんがアイスコーヒーを口にするまでに

要した時間は店に入ってからおよそ20分。


僕「おばあちゃん、じゃ行くわ。」

おばあちゃん「ありがとね、がんばりなさいよ。」

僕「…なんか分からんけどがんばるわ。」


出口で、注文を聞いてくれた店員とすれ違うと、

女性店員「さっきはありがとうございました。」

僕「いえ、ごちそうさま。」


ちょっといい話とかそんなんじゃありません。

合理的なシステムは人を寂しくさせるとかそういうのも違います。


でもめんどくさいことは、そんなに悪くもないという感じでしょうか?