いつもの朝、嫁さんに「行ってきまーす!」と言ったら、「どこへ?」と言われました。

この人はコリン星より遠いところから来たのかもしれません。


犬嫁日記#15:「メコンの夕日」の巻


人は、行き詰った時何をするのでしょうか?


僕は家にいるのが好きな人間です。かつての僕は四六時中家でうだうだしていた記憶があります。

正直、家が大好きで、外出がおっくうで仕方がありませんでした。

かつて劇団を辞めた時など、2ヶ月間ほど何もしないで家に引きこもっていたこともあります。

そんな話を嫁さんにすると、

嫁:「信じられへんわ!そんな事してたら気が狂うと思う。」


嫁さんは正反対の人間なのです。


嫁さんは、僕と出会う前は一人で外国を旅するのが趣味で、中国やベトナム、イタリア、香港、タイ、

アメリカと世界中を周っていたようです。

特にアジアが好きらしく、今でも何かあるたびに外国に行きたいといいます。日本にいると

息が詰まる事が多いんだそうです。

嫁:「わたしは日本にはあわんのよ。集団で同じ事してないと許されへん空気があるでしょ。」


嫁さんは自由を求めているらしいです。


以前、仕事で行き詰まった時、嫁さんは一人でインドに行くと言って大騒ぎになった事がありました。

お金もなく、女性が一人でインドに行くのは危険だと思い反対したんですが、

大丈夫だと言い張り聞きませんでした。結局その時は渡航費が工面できず断念したのですが、

彼女は本気でした。

嫁:「わたしはやると言ったら必ずやるんよ。小学生の時、夏休み直前に担任の先生に

太ってるって言われたから、夏休みが終わるまでにダイエットして痩せて行ったら

びっくりされたもん。」

嫁さんは小学3年生まで太っていたのです。写真を見せてもらった事がありますが、

雑誌の裏表紙に載ってる使用前・使用後の写真にそのまま使えます。今は標準より細いです。


嫁:「ベトナムに行った時、ちいさな沼に足を入れたら(何で入れたか不明)底なし沼で

体が沈んじゃって、遠くのほうに現地の人たちが見えたからとっさに叫んだんだけど、

人間て言葉じゃないよね!

おじさーん、助けてーて日本語で言ったら、その中にいたおじさんが振り向いて

助けに来てくれたもん。自分がおじさんて分かったんだね。」


嫁さんは「おじさん」は世界的に通じる共通語だと思っているようです。


嫁:「メコン川で見た夕日は綺麗やったわ。その旅ではフェイ・ウォンのカセット聞いてたんだけど、

今でもフェイ・ウォンを聞くと涙が出てくるもん。あと、ベトナムのサンドイッチは世界一おいしいよ!

フランスパンに挟んであってね、…」


僕の知らない嫁さんは、今でも時々心の旅に出かけているらしいです。


                               苦難は次回へ続きます。

おふぇいりあ