戌渡の「日本の現状と再生策」 シリーズでは、
日本経済を成長軌道に戻す方法を検討しています。
前回までに、
- 名目GDP成長と、みんなの給料の増減には、密接な関係があること。
- 不景気の今だからこそ、政府は財政支出を増やさなくては、景気も回復しないし、財政赤字も減らない。
- 成長軌道に戻れば、失業も減り、消費も復活し、企業利益も平常レベルに戻って、
さらに将来への投資として、アジア諸国の成長戦略とシンクロできる
- 財政支出を増やすための国債発行を、将来世代への負担と、嫌うのはおかしい
ことを解説してきました。
そうは言っても、国債の残高が大きいとメディアは報じています。
質問7 国債の残高がものすごい金額らしい。
危機的状況と言われていますが。。。大丈夫?
よく、新聞やテレビで
「国の負債はGDPの何倍」「国債もGDPを上回る規模」 などと言っています。
藤井大臣は国家の財政は「危機的状況」 と発言しています。
それでも、財政支出のために、国債を発行しても大丈夫でしょうか?
誰も国債を買ってくれなくなるのではないでしょうか?
そんな疑問がわいて来るかもしれません。
まずは財務省の資料から日本の国債の残高を見てみましょう。
(各年度末 財務省 資料)
H5年度 193兆円
H7年度 225兆円
H10年度 295兆円
H15年度 457兆円
H16年度 499兆円
H17年度 527兆円
H18年度 532兆円
H19年度 541兆円
H20年度 546兆円
平成7年(1995年)つまり15年前に当時の 武村大蔵大臣 が「財政は危機的状況にある」
と発言したらしいのですが、(未確認 戌渡 → 当時の記録で確認します。)
つまり10年以上前の、国債の発行残高が現在の半分程度のときに、すでに危機的状態と
大蔵省 (=現在の財務省) は主張していたようです。
もし、当時の大蔵省が正しければ、その後もどんどん国債の残高が増え続けながら、
14年間も、どうして本当の 「危機」 が起きていないのでしょうか?
少なくとも当時の大蔵省の、当時が「危機的状況」であったという主張は
あまり正しくなかった、と言えると思います。
ちなみに、武村大臣のすぐ前の大蔵大臣が 藤井裕久氏で、現在の藤井財務大臣と同じ人です。
。。。と言うことは、「危機的状況である」 と大蔵省・財務省がずっと叫んで、
歴代の大蔵大臣、財務大臣が、それに沿った財政改革策を
毎年のように実施しているはずなのに、
赤字の削減が全く達成できていない。
しかも景気がますます悪化している。
と言うことは、
その主張の「何か」が根本的に間違っている可能性があると
言えるのではないでしょうか?
いずれにせよ、14年以上も財務省のいう 「危機的状況」
が、そのまま継続しているということも変ですよね。
「いよいよ大変だ」と言う声も聞こえますが、本当に大変なのか、
改めて疑ってもよいかもしれません。
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それでは別の角度から。。。
「危機的状況」 ではなく 「危機」 とは、どのようなものでしょうか?
誰も国債を買わなくなる状況?
もしも、誰も国債を買わなくなったらどうなるのでしょうか?
説明のために、少し脱線しますね。
もし、どうしてもお金が必要で、そのために品物を売ろうとしています。
1年目はみんな定価で買ってくれました。
2年目も定価で買ってくれます。
3年目はお金がもっとたくさん必要になって、多くの品物を売りましたが、まだ定価で買ってくれました。
4年目になると、みんな定価では魅力がないので安くしてくれ、とかおまけが欲しいと言います。
割り引いたり、おまけで余分な費用がかかるようになりました。。。
5年目には、もう誰も買ってくれません。
しかも昔売った品物が、まだ使えるのに大幅に安く売りに出ています。
大幅に安くして、なんとか半分ぐらい買ってもらいました。。。。
このように、売れなくなる前に、安売りや、魅力を上げないと売りにくい、
と言う状況が起こるはずです。
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本当に国債が売れなくなる前に、徐々にこのようなことが起きると思いませんか?
つまり、魅力を上げるために、例えば利回りを高くしないと売れないとか、
過去に発行した国債が、だんだん安く売買されるようになる。。。とか。
ところが、市場ではそのようなことは全く起きていません。
過去10年間 10年国債の利回りは1.5%前後で推移しています。
これは世界でもっとも低い水準です。
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結論
1. 15年前の国債の発行残高が半分以下のころから
財務省が主導で赤字削減策を実施している。
しかし、赤字は減っていない。そして不況から脱出できていない。
2. 国債残高はその後も増え続けているが、
国債を買いたくないという動きは見られない。
この問題は、さらに多角的に見る必要がありますので、
別の質問でさらに深く検討してみたいと思います。