戌渡の「日本の現状と再生策」 シリーズでは、


日本経済を成長軌道に戻す方法を検討しています。



前回までに、


名目GDP成長と、みんなの給料の増減には、密接な関係があること。

不景気の今だからこそ、政府は財政支出を増やさなくては、景気も回復しないし、財政赤字も減らない。

そして成長軌道に戻れば、失業も減り、消費も復活し、企業利益も平常レベルに戻って、

さらに将来への投資として、アジア諸国の成長戦略とシンクロできる


ことを解説してきました。


そして、質問です。





質問6  財政支出=国債の増発で

            将来世代の負担が増えない?



よく、新聞やテレビで 


「将来世代の負担である国債の発行残高は。。。。」


。。。と、「将来世代の負担」 が 「国債」 の枕詞になっています。(笑)



そして、

「国民の借金である国債は。。。。」

「国民一人当たりの借金はX百万円」


。。。と、国債=借金 で、まるでサラ金のように語られています。




これってどこまで本当でしょうか?


***


まず、国債は国民の負担でしょうか?


発行する国の側から見たら、

たしかに国民などからお金を借りているので、借金のようなものですよね。


それでは、国民の側から見たらどうでしょうか?



説明のために少し脱線して。。


たとえば、銀行預金の残高を1千万円持っている人がいたら、けっこう金持ち、資産家ですよね。

銀行預金は資産です。金融資産とも呼ばれます。

誰も銀行預金を将来への負担だと言わないですよね。


しかし、銀行預金の利息は、国債よりも低いし、

もし銀行が倒産(破綻)したら、

全額かえって来ないこともあります。



銀行の決算書の中のバランスシートをみてみると、

皆さんが預けている預金は、銀行の「負債」 つまり 借金の項目に載っています。



国債借金と言うのと同じ流れで言えば、

預金の残高が大きい銀行は、預金者(=国民)からの 借金が多いのです。


しかし、一般には、預金残高が大きい銀行ほど、規模が大きくてりっぱな銀行

言われますよね。


銀行の人達は、預金を預けるときに、

「ありがとうございます」と、 にっこり受け取ってくれますよね。


当行では皆さんから借金をしたくないからもういりません

なんて聞いたことがないですよね。


そして、我々も 「あの銀行は預金残高が大きくて借金が多いから、預けるのをやめよう」

なんて言いませんよね。


なぜでしょうか?(笑)



改めて国債ですが、

銀行預金と比べると、国債は、半年ごとに利息が支払われて、

満期には額面でかえってくる。

そして利息も、銀行預金よりはだいぶ高い。。

安全性が高くて、運用の有利な資産です。 


つまり、国にとっては借金であっても、国民にとっては資産です。


例えば、国が一生懸命に借金を減らそうと、

国債を償還したら、国民にとっては安全で有利な

運用方法がなくなってしまうことになります。


代わりに銀行預金などの低い利息で我慢しなくてはいけません。


実際、70年代までは財政収支がほぼ均衡していたので

国債の発行が少なく、国債は一般的には投資対象とはなっていませんでした。


つまり、国債は 「国」 (= 国家予算 = 「財務省」) から見たら、借金ですが、

我々国民から見たら、資産なのです。


これでも本当に、国債は国民の将来の負担なのでしょうか?


 (本当に安全? 絶対にかえってくるの? という話はまたいずれ。)


***


もう一つ別の視点から国債を見てみましょう。

国債を持っているのは誰でしょうか?


金融機関(生損保含む)    60.3%

日本銀行および政府機関   9.7%

公的・私的年金         15.5%

家計                5.2%

海外                6.8%

その他               2.4%

             (H20年12月末 財務省資料 日本銀行統計より)


実は、個人として持っている国債は全体のたったの 5%程度。

国債の6割を、郵貯、簡保、銀行、生保などの金融機関が持っています。

日本銀行、つまり日銀も、8%の大口の保有者です。

(10年ほど前は日銀が単独機関としてはダントツ一位で

はるかにたくさんの割合で持っていたのですが。。。)


そして、国債を持っている銀行などに預金をしているのは誰でしょう?

我々国民です。 (企業など法人も含む)


つまり、銀行預金や保険を通じて、国債を持っているのは我々国民で、

預金の利子や保険の配当の一部は国債の利息で支払われています。


つまり、国債の利払費が国民からの税金から払われていると言いますが、、

それを受け取っているのも国民なのです。


国民以外に、海外に7%も払っているじゃないかと言うかもしれませんが、

それをはるかに超える外国国債を 政府、金融機関、個人でっているので

受け取りの方が多いのですから、そこは無視しても問題ないでしょう。



そういえば、日本の国債残高が増えると、格付けが下がって、外人投資家から

大量に売りに出されるとか言われますが、

海外からの保有は7%程度。

これには各国の外貨準備として

それぞれの国の中央銀行が保有しているものが含まれます。


だから外人投資家は大量には持っていないのです。

そして、仮に売りに出されても、それが理由での大暴落はまずありえません。

米国の国債の場合とは、全然違います。


***


今日の結論


1. 国債は国民の負担ではなく、国民にとっては、資産である。


2. 大きな視点で見れば、国債の利息は、税金として国民から納税されたお金が

   国から国民に払われて循環しているだけである。

   現世代にとっても、将来世代にとっても、プラスマイナスで論じること自体おかしい。


3. 海外の投資家はそもそも日本の国債をほとんど保有していないので

   外人投資家の売りによって、国債が暴落などということは起こらない。


つまり質問6の答えは、NOです。  

  「将来世代の負担」と言う考え方自体がおかしいのです。



ただし、現在の日本においては、の限定付です。

インフレがどんどん進行している国や、資金不足の高度成長過程の国では、

議論の前提条件が違います。