猫の多尿と頻尿の違いについて

猫の泌尿器疾患で、多尿と頻尿は非常に重要なサインです。

 

 


多尿

▶ 定義: 猫が通常よりも大量の尿を排出することを指します。

  • 尿量: 量が多い。
     
  • 尿の比重(濃度): 腎臓病の場合、低比重(薄い尿)。糖尿病の場合は高比重の場合もあり。
     
  • 関連する症状: 喉が渇きやすく、水を大量に飲むことが多い。
     

👉 主な原因:

  • 腎機能の低下: 腎臓が老廃物を効率よく排出できないため、体内に水分が保持されやすくなります。
  • 腎臓が多くの水分を利用して老廃物を排出しようとするので、薄い尿が大量に作られます。
     
  • 糖尿病: 血液中の糖分が増加し、のどが渇く。大量の尿が生成される。
     
  • 高カルシウム血症: 血中のカルシウム濃度が高くなることで、尿の生成量が増える。
     

👉 観察ポイント:

  • 猫のトイレの使用頻度や尿の量を定期的にチェック。
     
  • 飲水量の増加も重要な観察ポイントです。
     
 

頻尿

▶ 定義: 猫が頻繁に少量の尿を排出すること

  • 尿量: 量は少ない。
     
  • 排尿の間隔: 短い間隔で頻繁にトイレに行く。
     
  • 関連する症状: 排尿時に痛みを伴うことがある。
     

👉 主な原因:

  • 膀胱炎: 膀胱の炎症によって、頻繁に尿意を感じるようになる。
    ストレスや細菌感染が原因で発生することもあり。
     
  • 尿路結石: 尿道や膀胱内に石(結晶)ができることにより、排尿が困難になります。
    少量ずつ頻繁に排尿するようになります。
     
  • 尿道閉塞: 結石以外の代謝物やできもの(腫瘍など)で尿道が部分的または完全に塞がれる。
    頻繁に排尿しようとするが、ほとんど尿が出ない。
     

👉 観察ポイント:

  • 猫がトイレで長時間過ごしていないか、またはトイレに頻繁に行くが尿の量が少ないかを確認する。
     
  • 尿に血が混じっているか、または排尿時に痛がっているかどうかをチェックする。
     
 

対処方法と注意事項

多尿の対処方法

▶ 早期の獣医受診: 腎臓病や糖尿病などが疑われる場合、早期に獣医師にご相談ください。

  • 定期的な健康診断: 特に高齢の猫は、腎機能が低下しやすいので、定期的な血液検査や尿検査が推奨されます。
     
  • 食事管理: 獣医師、動物病院スタッフとご相談の上、高品質なフードを選び、猫の健康をサポート。
     
 

頻尿の対処方法

▶ 緊急の受診: 尿路結石や尿道閉塞の可能性がある場合、緊急の対応が必要です。

  • 薬物療法: 抗生物質や抗炎症薬を使用して、膀胱炎や尿路結石を治療することがあります。
     
  • 尿道カテーテルによって閉塞を解除: 鎮静・麻酔下で、尿道カテーテルを挿入。
    閉塞物を移動させ、尿道を開通させます。
     
  • 食べ物の見直し: 尿路の健康を保つため、適切なフードを選ぶことが重要です。
    特にストルバイト結石の予防には、尿を酸性に保つフードが有効です。
     

注意点

👉 行動観察: 猫のトイレ使用頻度や飲水量を日々観察し、異常を早期に発見することが重要です。

  • トイレのチェック: 排尿回数や尿の量を記録し、異常があればすぐに対応する。
     

猫の多尿と頻尿は、単なる生活習慣の変化ではなく、健康状態を反映した重要なシグナルです。

早期の対応が猫の健康を守るためには不可欠ですので、注意深く観察し、必要に応じて動物病院に相談してください。