慢性腎臓病(CKD)は猫にとって非常に厳しい病気です。

 

進行することで様々な苦痛が生じ、生活の質が低下します。

 

ここでは、慢性腎臓病の猫が抱える可能性のある苦痛の具体例と、その緩和方法を説明します。

 

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猫の慢性腎臓病に伴う苦痛の具体例

1. 痛み(疼痛)

  • 原因:腎臓の炎症や、尿毒症による体内毒素の蓄積が痛みを引き起こします。
     
  • 症状:頻尿、腹部を触られる事を嫌がる、食欲減退などが見られます。
     
  • 鎮痛薬の使用:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイド、オピオイドなどを慎重に使用します。
     
  • 環境の整備:快適で静かな寝床を用意し、ストレスを軽減します。
     

2. だるさ(疲労感)

  • 原因:老廃物の蓄積や、エリスロポエチン生産不足が原因で貧血が生じ、全身に疲労感が現れます。
     
  • 症状:活動が低下し、通常よりも多く眠るようになります。
     
  • 貧血の治療:エリスロポエチンの補充療法や鉄分サプリメントを用います。
     
  • 栄養管理:栄養バランスの良いフードを与え、必要なビタミンやミネラルを補給します。
     

3. 倦怠感

  • 原因:電解質バランスの乱れや毒素の蓄積によって筋肉の働きが悪くなります。
     
  • 症状:猫が常にぐったりしていたり、遊びや食事への興味を示さなくなります。
     
  • 電解質バランスの調整:サプリメントや点滴を行います。
     
  • 定期的な運動:無理のない範囲で遊びを取り入れます。
     

4. 便秘

  • 原因:脱水症状や食欲不振による食物繊維の不足などで便が硬くなり便秘が生じます。
     
  • 症状:長時間トイレにいる、排便時の苦しさ、便が小さく硬いなどの症状が見られます。
     
  • 水分摂取の促進:ウェットフードの比率を増やし、水分補給を促します。
     
  • 食物繊維の追加:食物繊維を豊富に含む食事やサプリメントを与えます。
     

5. 吐き気・嘔吐

  • 原因:尿毒症や薬の副作用が胃の粘膜を荒らすなど、腸に影響を与えます。
     
  • 症状:頻繁な嘔吐、食欲不振、体重減少が見られます。
     
  • 制吐薬の使用:獣医師の指導で使用します。
     
  • 食事の調整:消化しやすい食事を利用し、食事のサイクルを再検討します。
     

6. 口内炎と口臭

  • 原因:尿毒症による口の中の炎症、唾液の増減などの影響で口内炎が悪化します。
     
  • 症状:口内の痛み、食事の困難さ、強い口臭が見られます。
     
  • 口腔ケア:口内を清潔に保つケアを行います。
     
  • 食事の工夫:柔らかい食事、サプリメントの使用を検討します。
     

7. 脱水症状

  • 原因:多尿や食欲不振による水分摂取不足が原因です。
     
  • 症状:皮膚の弾力性の低下、粘膜の乾燥が見られます。
     
  • 水分補給の強化:新鮮な水を常に用意します。
     
  • 点滴の実施:必要に応じて点滴を行います。
     

8. 体温調節が困難

  • 原因:電解質バランスの乱れや貧血、心機能(血液循環)の低下が原因です。
     
  • 症状:寒がったり(温かい所を好む)、暑がったり(冷たい所を好む)、します。
     
  • 環境の整備:適切な温度管理を行います。
     
  • 暖かい場所、涼しい場所の提供:猫が選べるように暖かい場所、涼しい場所、両方を用意します。
     

9. 高血圧

  • 原因:腎臓の機能不全による血圧調節ホルモン系の不調が原因です。
     
  • 症状:頭痛(夜鳴き)、目が赤く見えるなどの症状が見られます。
     
  • 降圧薬の使用:獣医師の指導で適切な薬を使用します。
     
  • 定期的な血圧チェック:血圧を定期的にチェックします。
     

10. 痒みや皮膚の異常

  • 原因:尿毒症や脱水症状が原因です。
     
  • 症状:皮膚の乾燥、発疹、頻繁な掻きむしりが見られます。耳を痒がる場合もあります。
     
  • 保湿ケア:皮膚の乾燥を防ぐために保湿を行います。
     
  • アレルギー管理:アレルギー源、合う・合わないがあれば、除去します。
     

11. 筋肉の痙攣や痛み

  • 原因:電解質異常が原因です。
     
  • 症状:筋肉の痙攣、足を引きずるといった症状が見られます。
     
  • 電解質サプリメント:電解質バランスを整えるためにサプリメントを使用します。
     
  • マッサージ:筋肉のリラックスを促すためにブラッシングやマッサージを行います。

 

緩和ケアのアプローチ

猫の慢性腎臓病による苦痛を和らげるために、緩和ケアを積極的に取り入れることが重要です。

  • ペインマネジメント:痛みを可能な限り効果的に管理し、猫の生活の質を向上させます。
     
  • ホリスティックアプローチ:食事療法、薬物療法、環境整備、ストレス管理など、包括的なアプローチを行い、猫の健康を支援します。
     
  • 家族の支援:飼い主さん家族全員が猫の状態を理解し、日々のケアを続けることで猫が安心して過ごせる環境を整えます。
     

まとめ

猫の慢性腎臓病による苦痛を和らげるためには、様々なアプローチが必要です。

 

猫の症状を理解し、適切なケアを提供することで、猫の生活の質を大きく改善することができます。

 

獣医師のサポートを受けながら、痛みや苦痛を緩和するための治療を続けてあげてください。