21年前、獣医師としてのキャリアをスタートした時、

15歳を超える動物の診察は珍しいことでした。

 

最近では、15歳くらいの高齢動物の診察は一般的になっています。

 

時には、これまで一度も病院にかからずに痩せ始め、

食欲が落ちている動物が初めて診察される、というようなこともあります。


時々、耳にする言葉の中に、

「なぜもっと早く連れて来なかったのか」という獣医師の無神経な発言があります。

 

若かった頃の私自身も、このような言葉をスタッフルームで使っていたかもしれません。


また・・・

飼い主さんが「歳のせいかな、仕方ないですよね」と仰ると、

反射的に「それなら病院に連れて来なければいい」という言葉を返している獣医師もいます。


問診の際には、飼い主さんとの会話の中に、

獣医師それぞれにとっての「地雷ワード」が存在し、

時にコミュニケーション上の問題になっていることもあります。


しかし、自分が歳を重ねたり、家族や親しい人が病を経験したりするにつれ、

言葉の表面的な意味だけでなく、

その背後にある悩みや不安をより深く感じ取るようになりました。

 

 

これは私の成長であり、同時に私の「加齢性変化」と感じる瞬間でもあります。