泣きながら外を歩きました。

寒くて、暗くて、静かで。
このまま消えてしまえたら、もうツラくないのに。


もうアタシの帰る場所はナイ。
でも、アタシの帰れる場所は自分の部屋しかナイ。


ゆっくり歩いて帰ると、センセーが外で待っていてくれました。

アタシの腕をグッと掴んで、無言のまま部屋まで引っ張られました。

そしてアタシをベッドに座らせ、アタシを叱りました。
医者こんな時間に外出たら危ないやろ!
あたしごめんなさい。
医者…ほな、帰るわ。


アタシは首を振りました。
あたし帰らんといて。1人にせんといて。
医者もう絶対こんな事すんなよ!
あたしごめんなさい。


後ろから優しく抱き締めてくれました。
あたし怒っとる?
医者外に出て行った事はな。


ゴメンね。
でも、どうしていいか本当に分からなかった。
センセーを失うくらいなら、逃げてしまいたいと思ったよ。


別れたくない。
離れたくないよ。


でもきっと、センセーは同じ気持ちではないね。


センセーはズットズット抱き締めてくれていました。
あたしなぁ~、もう何も言ったらアカン?
医者ん?ええよ。なに?


あまりにも声が優しすぎて、言葉につまりました。
あたし…生まれるまでは、そばにいていい?
医者ええよ。って最初からそう言うてるやん。
あたしえ?
医者え?もうわけ分からん。最初からそう言うてたやろ?
あたしでもアタシ、さっき別れようって言った。
医者う~ん、それはもうドコで線を引くかやろ。何回も言うケド、生まれるまではそばにおって。
あたしアタシ、こんなんやのにええの?
医者えーよ。もう慣れとる(笑)


2人で眠りについた頃には、朝の4時を過ぎていました。


数時間後、一緒に病院に向かう車の中。
センセーはとても眠そうで、自分の勝手さに腹が立ちました。


早く離れてあげないと、センセーがダメになってしまう。

そう思いました。



今日もセンセーは奥さんの実家に行きました。

きっと、アタシはもう週末を一緒に過ごせる事は二度とない。


奥さんは、これからもズットセンセーを独り占めできるのに。
一生そばにいられるのに。


アタシには一生叶わない夢になってしまいました。
きっと最後のチャンスでした。

1回でいいから一緒に週末を過ごしてみたいとズット思っていました。

最近は毎週末、当直やテニスの試合があってアタシの願いは伝える事もできませんでした。
だから、今週が最後のチャンスだと思っていました。


きっともう赤ちゃんが生まれてくる。



欲なんて、なくなってしまえばいいのに。