葬送のフリーレン
 

アニメが一旦終わってしまった。さみしい。

昨日の夜、見終わった後、すぐ第一話を見て

またジーンと涙しました。

 

漫画の原作は続いていますので、ぜひ読んでみてください。

 

見ていると温かい気持ちになるし、

感動して涙する人もいます。


ただ、なぜ自分が感動しているのかがわからない人も多いでしょう。

この作品には、すぐにはわからない人間心理が隠されています。

 

心理学講師として、また作家として、

なぜ感動するのかを解説します。


センターピース的に言えば、

分離傾向が高めの女子が

仲間によって感情の麻痺が解けていき、

つながり感が感じられるようになる物語です。

 

このつながり感というテーマは、みんなが泣くやつです。

 

さらに分析しましょう。

 

元々、フリーレンは分離傾向が高い女性です。

人の気持ちに共感ができにくいタイプです。

 

さらに、数千年も生きるというエルフの寿命のせいで

人間と仲良くなっても、

どうせみんなすぐに死んでしまう。

 

その喪失の痛みを解決するために、

さみしいとか悲しいが麻痺させてしまいます。

 

だから、1人で森の中、何十年も何百年も過ごしています。

 

孤独でありながら、孤独だと感じていない人です。

 

https://www.famitsu.com/news/202307/19310132.html © 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

 

そんな彼女を冒険に誘い、一緒に旅する仲間ができます。

 

仲間たちはフリーレンを優しく「仲間」として扱います。

 

もちろんフリーレンは仲間という意識は持てません。

感情が麻痺しているからです。

 

それでも寄り道しながら、

魔王を倒すという目標を持って、

少しずつ共に旅した「喜びの記憶」を作っていきます。

 

特にリーダーのヒンメルという人間の男性は、

フリーレンを愛し、

自分が死んだ後でも彼女が1人になって

さみしくならないようにと思いやっています。

 

仲間たちは、魔王を倒すという偉業を成し遂げます。

 

フリーレンの感情の麻痺が解けるのは、

人間の寿命を迎えたヒンメルの死によって。

 

そこで、悲しみを感じて涙します。

ここまでがなんと第一話。

 

https://www.famitsu.com/news/202307/19310132.html © 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

 

物語のメインは、

フリーレンが、新しい仲間と共に旅をして、

過去ヒンメルたちとの旅を思い出しながら、

つながり感を取り戻していく過程です。

 

視聴者が感動するのは、

フリーレンがつながり感を取り戻す過程と、

自分の死後までフリーレンのことを思いやっていたヒンメルの優しさです。

 

ここが深い感動になるところですが、

フリーレンがそのやさしにほとんど気づいていません。

 

過去の場面が描写されます。

視聴者は、フリーレンがヒンメルの愛に包まれていることがわかり、

いや、わからなくてもなんとなく感じて、

とても暖かく、幸せな気持ちになります。

 

気づいていないけれど愛されているフリーレンの姿を見て、

愛されているかもしれない自分に重ねる人もいるでしょう。

 

また、誰かに自分の愛が伝わる喜びをヒンメルに重ねて

感動する人もいると思います。

 

時間差で、愛や優しさに気づくとき、人は深く感動します。

 

ある程度先まで見終わった後に、

もう一度第一話を見ると、

フリーレンの涙の意味がよく深くわかるようになります。

 

そして、

フリーレンよかったね

ヒンメルよかったね

という温かな素敵な気持ちになるのです。