2018.4.25 07:05 産経新聞
振り込め詐欺などの高齢者をねらった特殊詐欺被害を防ぐため、県警は高齢者が子供や孫らの現役世代に気軽に相談できる環境づくりが有効だとして対策の強化に乗り出した。薄れゆく「家族の絆」に新たに焦点を当てたもので、防止対策のためのDVDを作成し、特殊詐欺撲滅に関する協定を締結した県内経済6団体の会員を中心とした企業や事務所へ配布している。動画投稿サイト「YouTube」でも公開し、広く視聴を呼びかけている。(宮野佳幸)
◆「連絡取っていれば…」
「母さんどうして分かんなかったんだよ」「今までだってそんな大金貸してくれって言ったことあった?」
詐欺被害に遭った母親とその息子、妻が集まり、重苦しい雰囲気の中、息子が母親をとがめるところからDVDは始まる。
「ごめんね、ケイちゃんが助かるんだったらって思って…」と申し訳なさそうに答える母親。「おれがもっと連絡を取っていれば、こんなことにはならなかったのかな」と、自戒の念に駆られる男性は「まずは僕らに相談してよ」と母親に呼びかけた。
数日後、カード詐欺の電話にだまされかけた母親は「何かあったら必ず私に連絡ちょうだいね」という息子の妻の言葉を思い出し、息子宅に電話。息子夫妻が詐欺だと気づき、女性は詐欺被害を回避することができた。
DVDでは詐欺対策としてほかに、在宅中でも留守番電話機能の利用を推奨している。また、2020年に開催される東京五輪・パラリンピックに便乗した詐欺の手口も紹介している。
◆カード詐取が増加
県警特殊詐欺総合対策本部によると、1~3月の特殊詐欺被害件数は前年同期比69件増の325件。一方で、被害額は同比約9418万円減の約3億540万円となった。
同本部によると、詐欺全体のうち、「オレオレ詐欺」は259件で、そのうち同比116件増の170件がキャッシュカードをだまし取るものだった。
詐取したカードを使って引き出された額は同比約1億1370万円増の約1億7041万円で、被害金額は詐欺でなく、窃盗被害として計上されている。
県警は同様の手口の被害が増加している背景に、現金を直接受け取る「手交型詐欺」は金融機関での水際対策で防がれる可能性がある一方、カード詐欺は被害者がだまされるとそのまま被害に直結する可能性が高いことにあるとみている。
同本部は「家族の絆を高め、だまされない体制を作ってほしい」と呼びかけている。