2ちゃんのまとめサイトで面白い漫画の数あるひとつとして挙げられていて、Amazonでレビューを見たりググったりすることもなくただ「刻刻」という作品名だけは頭の片隅に残っていて、昨日たまたま立ち寄った本屋で平積みされているのを見付けた。1巻の帯に水木しげる先生が、2巻の帯には伊坂幸太郎氏がそれぞれ推薦文を書いていた。
私は漫画を買うとき、たまに気分によってジャケ買いをすることはあっても帯買いをすることはない。帯というのは推薦文の内容云々よりも誰が推薦文を書いているかというのが重要で、例えば重松清ならどうせ感動系かと思ってしまうし、ホリエモンなら内容は関係なく何かしらの利益が絡んでそうと疑ってしまうし、千原ジュニアや品川なんか名前を見ただけで商品価値がぐんと下がってしまう。これはあくまで主観なのであって、要するに私にとって誰が推薦文を書いているかなんてほとんど購入意欲のマイナスに過ぎないが、今回ばかりは、えっ何?水木しげると伊坂幸太郎って、妖怪系ミステリー?と興味が沸いてついつい帯買いをしてしまった。
まあ何の根拠もなくほぼ間違いなく面白いだろうと3巻中2巻を買い、ミスタードーナツでカフェオレを飲みながら一気に読んだが、カフェオレのおかわりもせずに急いで3巻を買いに行った。月並みな表現で申し訳ないが、とにかく続きが気になった、そして面白かった。
さて、あらすじをただ説明するのは簡単だが、あらすじを説明せずにどう面白かったのかを表現するに、福山雅治の物真似で、あの低くて深い、けれどもどこか軽薄な声で「実に面白い」と言うのが、妙にしっくりくる。
もちろん「刻刻」の内容が福山雅治ほどまでに薄っぺらいという意味ではないが、水木しげると伊坂幸太郎が推薦文を書いているということからも察せられるように、何かしらのメッセージがあってエネルギーを使うような文学的な漫画でもなければ、涙を流すわけでも大笑いするわけでもない。ただ物語として純粋に「実に面白い」と唸るように言うのがぴったりな気がするのだ。
これが中尾彬が「実に面白いね~」なんて言ったところで全然胡散臭くて駄目で、福山雅治ぐらいの説得力がちょうど良いのである。