血の音楽〜日本語のシラブル | 犬神サアカス團 犬神明オフィシャルブログ「呪ってポン!」Powered by Ameba

血の音楽〜日本語のシラブル

メロディに日本語を乗せるとき、1音につき1文字になるよね?
「♪キーラーキーラーひーかーるー
おーそーらーのーほーしーよー」だ。

これ英語だと
「♪ティン・コウ・ティン・コウ・リー・ルス・ター・ハウ・ワイ・ワン・ダー・ワッ・チュー・アー(Twinkle, twinkle, little star, How I wonder what you are)」と、もっと細かくなる。
そうなると情報量もちがう。これを和訳してみると「キラキラ光る小さな星よ、あなたは一体何者なのだ?」となる。なんと英語唄は同じメロディでも日本語唄の2倍の情報を乗せることが可能なんだ!
 
例えば「スタンプ」という言葉は5文字なのでメロディに乗せるときは5音になる。しかし英語の「stamp」だと1音で充分なんだ。「s」も「p」も音に乗せなくていいからね。

このことを専門的に言うと「シラブル(音節)」というんだ。気になる人は詳しく調べる(シラブル)といい。
…のんつって!

それはともかく、日本語の唄は1音につき1文字なのでメロディを丁寧に伝えるのには向いているが、英語と比べると躍動感が乏しい。

そうそう、1950年代後半の日本に巻き起こったロカビリーブームではロックンロールやアメリカン・ポップスを日本人歌手が唄ったよね。
有名なのは小坂一也とワゴンマスターズの「ハートブレイクホテル」。もちろんプレスリーのカバー曲だ。小坂さんのバージョンでは一番を原曲通りの英語で唄い、二番以降は和訳の日本語で唄う。この日本語になった途端にガクンと躍動感がなくなるの分かるだろう?
「well since my baby left me」の部分が「とうとう僕を」になっちゃうんだから、そりゃあマッタリしてしまう。
この違和感を当時の音楽ファンは「日本語はロックに向かない」もしくは「日本語のロックはダサい」と評したんだ。
これが70年代の「日本語ロック論争」に発展したのは間違いないだろう。

そんな「日本語ロック論争」の最中に、それまでの日本語シラブルの概念を根底から覆したのがキャロルだった。矢沢永吉さんとジョニー大倉さんによる日本語に躍動感を持たせるための工夫は、間違いなく多くのアーティストに引き継がれているよね?
「たちつてと」は「ちゃちちゅちぇちょ」とか。。

つづく。