普遍とは?
例外なく誰が見ても奇麗な絵がある。
例外なく誰が食べても美味しい食べ物がある。
例外なく誰が聴いても美しい音楽がある。
何故か?
この疑問に紀元前400年頃、哲学者プラトンは「イデア論」という仮説を立てた。
人間はこの世に生まれる前にイデア界に住んでいたとする。イデア界こそが本当の世界であって、いま生きている現世は仮の世界。現世でイデア界に似たものを見ると、人間は「美しい」と感じるのだとう仮説だ。
近年では1900年頃、心理学者のユングが「集合的無意識」を提唱した。例外なく人間の心の中には共通の意識やイメージが存在する。国も民族も男女も関係なく存在する、そのイメージパターンを「マンダラ」と呼んだ。
だが、ここんとこ著しく発展しているのが遺伝子研究。DNAの構造が本格的に解明され始めたのが1950年代だから、本当に最近の話だ。
それによれば美術、味覚、音楽など人間の嗜好は80%以上が遺伝子からの影響なのだという。
これにはプラトンもユングも太刀打ち出来ない。人間にとって普遍とは遺伝情報に他ならないんだ。
例えば音楽家が普遍的に優れた作品をつくるには、遺伝のルーツを探るしかないのかも知れない。
命がある限りルーツを探る旅を続けたい。