これから | 犬神サアカス團 犬神明オフィシャルブログ「呪ってポン!」Powered by Ameba

これから

それにしてもITの進化のスピードは凄いよね。

そのおかげでここ10年、音楽産業の事情はずいぶん変わった。いや、音楽だけでなくマンガや小説や映画などのクリエイター業界も変わってることだろう。

ITの発達によって作品がデータ化され、誰もがそれを簡単にコピーして楽しめる時代になった。

だが、これが問題だ。

例えば、誰か一人がCD(または配信音源)を買って、そのデータをネット上にUPすれば世界中の人間が無料で聴けてしまう。著作権法もなにもあったもんじゃない。法律もJASRACも追いつけない。

かつて1000万枚売れていたアーティストのCDが10枚しか売れなくなっても不思議ではないんだ。むしろまともにCDを買う方がバカにされるのが現代の風潮だったり。

また、ネット・オークションやブックオフなどのリサイクル産業の発達もアーティストにとっては厳しいもの。リサイクルCDが売れたところでアーティストには一銭も入らないんだよ。

ここでアーティスト側が恥をしのんで「皆さん、CDを買って下さい。でないと僕たち生活が出来ません!」と声を上げて懇願したところで、どうしようもない。何も変わらない。熱心なファンならともかく、一般的なリスナーたちは音楽作品が聴ければいいのであって、アーティストの生活までは興味がないからね。

そんなわけで、いま音源の価値は限りなくゼロに近づいている。こうなるとアーティストはライブで生計を立てて行くしかないんだ。

前に書いたが、そもそも音楽が産業となったのは楽譜が物販商品になったからだ。ライブというのは楽譜を売るために、楽譜屋さんの店先でデモ演奏したのが始まりだ(ティンパンアリー →1880年/米)。それがライブの意味だった。やがて楽譜はレコードになりCDになり、昨今データとして扱えるようになったというわけだ。

音楽産業以前は、アーティストが街角で唄って、その場に集まったお客さんからオヒネリをいただく大道芸だった。

音源の売り上げに期待せず、ライブだけで生計を立てるというのは、この時代の大道芸人のシステムに戻るようなもんだな。これからは、その覚悟がないと生きられない。

ならば、やるしかないだろう。
これからのロックバンドは演歌師や香具師や紙芝居や旅芸人やジプシーに生き方を学ぼうじゃないか。