洗脳体験4

「いいでしょう。観ますよ」
VTRによる洗脳ってのが、当時は新しかったし俺は興味あったんだよね。なんかキューブリック監督の『時計仕掛けのオレンジ』の主人公が映像と音楽で洗脳されてくシーンとか面白かったし。
それに人を洗脳するわけだから、結構な制作費がかかってるはずだし。このオッサンの説明してる『原理』とやらを映像化したら、とんでもないスペクタル作品になるはずだもんな。

案内された部屋には小さな個室が5つくらい並んでた。オッサンはしきりに「これから観せるVTRは、ほんとは有料なんですよ」とか、同級生も「ほんとにいいVTRだからさ」と、ますます期待に胸が膨らむぜ！俺はもう完全に好奇心のトリコだよ。

半畳ほどの狭い個室の中には14インチのTVモニターとVHSのデッキとヘッドフォンが置いてあった。
オッサン「VTRは一時間程で終わるので」と言って、外からドアを閉めカギをかけた。なにこれ？監禁じゃん！

まあ、いいだろう。タダで凄え作品が観れて、この世の真理ってもんが理解できるなら、それでいい。

さて、いよいよVTRが始まった！
始まったのだが？！


つづく