ブランド野菜回収…減農薬ブームに死角が 【TBS 総力報道!THE NEWS 09.07.07】 | まぁ、こんなもんでえぇんとちゃう?

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【追記:記事の中に登場する「本山直樹氏」から、自分のサイトでこの件の説明をしているとのコメント(No.17) がこのブログに寄せられた為、氏のサイト記事について、新たにブログ記事 を記した。7/14】


今夜TBS系列の番組である、総力報道!THE NEWS において、「ブランド野菜回収…減農薬ブームに死角が」という特集を報じた。


自分は偶々見たのだが、話の流れは以下の様であった。


【以下、自分の記憶のみに頼った記述の為、間違いに気付かれた場合是非ご指摘願いたい】


・昨年年頭に、野菜(ピーマンとははっきり言わなかった様な?)の大量回収と廃棄が起きた。その原因は何であろうか?

・原因は、「無登録農薬」が検出された事による。

・調査した結果、その該当成分は、「土壌改良剤」である『ニームオイル』に含まれていた。

・ニームオイルは元々ある種の昆虫に対して「忌避効果」を有するが、「殺虫効果」は認められていない。

・本山教授が分析したところ、日本では登録されていない「アバメクチン」が検出された。

・本山教授は30種類のニームオイルを調査した中の一つの商品から「アバメクチン」を検出した。

・アバメクチンは、ニームと異なり強い魚毒性を有し、TBSは魚の居る水槽に入れて魚の死亡する映像を公開した。

・問題のニームオイルは中国で生産された製品であり、中国に電話で訊いてみると(但し問題の商品の製造元とは明確に言っていなかったような気が?)、「ニームオイルは農薬だ」との意味の返答を得た為、中国ではニームオイルは「農薬」との認識で生産されているようだ。

・今回の様な「非農薬商品」である、「土壌改良剤」や「植物保護剤」「植物活力剤」等から農薬成分が検出されたのは初めてではなく、過去何度も同様の事件が繰り返されているとして、ガイア、ヘキロ、アグリクールなど数種類の実例を映像付きで紹介。

・今回の場合、事件の関係者或いはその詳細を知っていると思われる人物への取材で判った事は、スリップス(アザミウマ類の害虫)の発生が酷く、該当資材がスリップスに著効を示した為にこれに頼ってしまったのではないかと語らせている。

・農家がこのような「農薬登録されていない農業資材」を使用する背景を他の場所でも取材し、農家が「減農薬」や「有機栽培」の条件をクリアする為に、化学農薬を用いれない分、この様な資材に頼らざるを得ないという現状がある事を、農家への取材で紹介。

・本山教授の弁「農薬登録をしていない資材は、農薬と称して居ないが故に、法的に検査する機能が社会にない」、「このような資材には何がどの位入っているかも全く証明されていない」、「このような資材が出回り使用されていると言う事は、現在の農薬の管理に問題がある」という意味の言葉を放送。

・農水省にも取材し、担当者と思われる人物にインタビューしている(所属と名前は確認できなかった)。

・質問:「一部の農家がこのような資材を用いてそれに頼っている現状を知っているのか?」 回答:「知っている」

・質問:「このような状態をどう考えているのか?」 回答:「農薬以外のものを農薬と同じ目的に使用(病害虫の予防や治療等)に用いることは、違法であるのでしないで欲しい。」

・「消費者が安全・安心を求める」ので、それに対応せざるを得ないという農家の意見、「自然(害虫や病気の発生)との折り合いをどこで着けるのか考えて欲しい」というコメントを放送。


【特集報道についての自分の記憶からの記載終了】


今回の事件については、以下の表題で自分も既に記事にしている。

農薬疑義資材1農薬疑義資材2農薬疑義資材3

実は「アバメクチン」を検出できたのは、本山教授のグループであり、農水省の調査ではアバメクチンは検出できず(0.1%未満)、ピペロニルブトキシド(単体で植物調整剤として用いられる一方で、ピレトリン(殺虫成分)の殺虫効果を高める増強剤としても用いられる。農水省発表文書より)のみが検出されたことは、農水省発表(アグリコマース株式会社が販売した土壌活性剤「ニームオイル」への対応について )で判る。


TBSには、この点についても説明すべきであったと考える。

あの報道では、「アバメクチンも検出された」と誤解させるが、農水省では検出されておらず、本山教授らによってのみ検出されたと発表されている。

これはアバメクチンの分離、検出が非常に難しい事が原因であろうと言う意見が多いが、これについてもしっかりと事実を報道して欲しかった。


さて、今回の報道では「農薬を嫌って、農薬以外のものを利用すると、その品は『農薬』として認可されていないが故に、その品質や効果に保証が無く、また今回の様な合成化学物質が添加されている可能性もある為、却って危険性が増す場合がある。」という事を消費者に知らしめた、中々良い報道であったと思う。


しかるにこの報道での最も大きな(今後関係者に影響を与えそうな)件は、「農水省の人間が、報道機関の問いに対して「所謂農業資材などを『農薬の効果』を意図して用いた場合は「法律に反する行為である」と答えた映像が流された事であろう。


この文言を正確に解釈するならば、現在「農薬」或いは「特定農薬」として認められているもの以外の資材、植物保護液や成長促進剤、或いは土壌改良剤、木酢液等について、「病害虫に関する効能を表示若しくは口頭で説明して販売された」ものをその目的で用いた場合、「法律違反」となる。


これを厳格に適用した場合、多くの「有機栽培」或いは「減農薬栽培」は、打撃を受けるだろう事が予想される為である。


果てさて、この国の農業政策は今後一体どの様になるのであろうか?


政治的判断をする前に、先ず科学的に正確な調査と解析及び今後の課題などをしっかりと行い、それにより我が国の疲弊しつつある農業を活性化させる道筋を模索して欲しい。


決して「食品安全委員の国会不同意 」(1)の様な事は、これ以上起こして欲しくないものだ。

その様な場合は政治不信が増すばかりであり、その場を取り繕う近視眼的な政策では、この国の農業に明日が来なくなるかも知れない。


(1) 「食品安全のための科学」に関する日本学術会議 会長談話



【追記】

新生農薬掲示板 の「農薬ではない防除資材について 2」スレッドに書き込みをしたところ、情報及び新たな疑問点が得られた為、以下に記す。


・番組中でインタビューに答えていたのは、「農水省農産安全管理課課長 朝倉健司氏」であると、同スレッドNo.624に匿名で書き込まれた。(この件は、TV画面下の名前と所属部署を記したテロップを自分が読めなかったため「確認できなかった」とこのブログ及び新生農薬掲示板に記している。)


・「特定農薬との『判断保留』となったもの(木酢液、ニームなど)については、「販売はNGだが使用はOKとの判断では?」との意見がNo.626でCYGさんにより書き込まれた。

この件については調べて見るつもりである。

考えがまとまった時点で、別記事として書いて見たい。