定年退職の時期と、妹が結婚して家を出た時期が重なった為か、母は60歳を機に急激に熱狂的なエルビス・プレスリーファンと化した。
子育てを終え、仕事も終え、「空の巣症候群」なんていう言葉もあるくらい、空虚になってしまう人も居るが、私の母は逆に遊びに走った。かつてしたことのない夜遊び、仲間とライブに行ったり、歌を習い始めたり、偽エルビスを追っかけて海外旅行に行ったり。
生き生きと人生を満喫していて良いな、と思う反面、「忙しくて孫の面倒なんて見られないわ~」と言う母を恨めしく思う時もあった。
おばあちゃんになると誰もが「孫に会いたい、孫の世話をしたい」と思うのが当然だと思っていたので、私はかなり裏切られた。実母がその型にハマらず、「子育てにもっと協力して欲しいのに」、と私は我儘な感情ばかりだった。
そういう否定的な気持ちが多くて母に対してありがたみをこれまであまり感じられなかった。
でも最近は、毎週水曜日になると(祖母の介護もあり来られないこともあるが)長男が帰宅する前に我が家に来て、世話がてらちょっとした片付けをしてくれる母。
そしてちょっと大変な自営の内状を話し過ぎたな、と思って「心配しないでね」とメールをしたら、 「心配なんてしないわよ、あなたは強いから」と返事が来た。
子供を信頼するこというのは、こういうことなのかな、と妙に感心した。
心配し過ぎたり、手やお金を必要以上に差し伸べるのではなく、ただ信頼してやる。それだけで子供は成長し、強くなれるのではないか。
胸打たれた瞬間だった。