紀子様は3人目を出産した際に、部分前置胎盤ということで、帝王切開だった。
私は最初の妊娠の、妊婦期6か月頃から「前置胎盤かもしれない」と何度か言われていた。「でも週数が進んで子宮が大きくなると胎盤の位置がずれることもあるから様子を見ましょう」 妊婦健診に行く度にそう言われ、言われる度に胎盤の位置がずれることを願った。
でも、胎盤がずれることはなかった。
36週の時に行った外来の健診で、「あれ、もう36週ですね!すぐにでも入院してください。万が一陣痛が起きたら、5分以内に処置をしないと大量出血で母子共に大変危険な状態です。」と言われた。 妊娠性ヒステリーな私は頭がパニックになり、すぐに夫に連絡。そして夫が入院に付き添う事が出来るように、入院日を2日後に伸ばしてもらえるように聞いてみると、ダメ! 何とか翌日入院にさせてもらい、一旦帰宅。 大まかに準備してあった荷物をまとめて、心の準備をし、母に入院付添依頼の電話をした。
胎盤が元に戻らない時の為に、37週0日に帝王切開手術をする予約がしてあった。でも、最後の最後まで、36週の健診に行ったその日も胎盤が急に元に戻るのではないかと私は思っていた。でも胎盤はずれず、入院することになった。Xデーまで一週間。胎盤は動くのか? ずっと希望を持っていたが、帝王切開予定日の前夜に受けた超音波検査でも胎盤はずれていなかった。。 「赤ちゃんも小さい様だし、あと1週間お腹の中で様子を見てみますか」 医者はそう言ってくれた。 でも入院した1週間ずっと、陣痛を抑える為の点滴につながれていて、寝た切り生活に私は耐えられなかった。それに、「予定帝王切開なら準備も万端にできた状態で落ち着いた手術ができますが、万が一出血があったらその時点で緊急帝王切開になり、縦切りになる可能性もあり、リスクも高まります」ということで、 「いいえ、予定通り明日でお願いします。」 私は腹を割った。2001年2月7日、その晩は寒く、雪が降っていた。手術前夜ということで殺風景な一人部屋に移され、色々思いがあってよく眠れなかった。そして、翌日、私の腹はメスで裂かれた。
胎盤という、母体から赤ちゃんへ栄養を送る為の血の塊の組織は、通常ならばお腹の上の方についている。前置胎盤というのは、胎盤の位置が子宮口(つまり赤ちゃんが通る出口)に差し掛かった状態のことを言う。前置胎盤でも3種類あり、全前置胎盤は胎盤が完全に子宮口を塞いだ状態。部分前置胎盤は、子宮口が半分くらい塞がれた状態。辺縁前置胎盤は、少しだけ子宮口に胎盤が差し掛かった状態。 胎盤は血の塊であり、そこから出血すると母体の血液がかなり奪われる。 そして、普通分娩では赤ちゃんが生まれるまでに数時間かかるが、その間もずっと胎盤から赤ちゃんに酸素やら栄養がいきわたっている。胎盤が先に出てきてしまったら、その時点で赤ちゃんは死亡する。陣痛により子宮口と胎盤がずれたりしたら、胎盤から出血を起こし、大量出血となる。 だから、前置胎盤の人は、陣痛が起きる前に帝王切開するのが一般的なんだそうだ。
手術は無事成功し、長男は予定日より4週間も早く、2180gという小ささでこの世に生まれた。