ゆるし

●はじめに

失敗、間違いや期待する成果を出せないことなどが、ゆるされない世界があると想像してみてください。このような不寛容な世界で生きていくことは、困難だと思われます。今回は、「ゆるし」をテーマに考察していこうと思います。

◇ゆるしとは

  • 許可、認可、免許など

  • 罪・過ちなどを免ずること

◇社会システム

法律、条例、規則、ルール、モラル、慣例などを守らない場合、罪や違反に相応する罰則・懲戒などがあり法治国家であれば極刑を除き有限の償いにより許され更生することができます。そして罰則・懲戒などの抑止効果により社会は、安定化していきます。しかし条件や環境が異なる相対的な個々人を絶対的基準で裁くことができるのでしょうか。特にルール、モラル、慣例、風俗、宗教など地域性が高く所属する集団により異る罰則・懲戒などが明文化されていないグレーゾーンに関しては、感情的反応を喚起しやすく問題を含んでいます。

◇人の内面のゆるし

人の内面では、厳格、悲観、寛容、楽観、利己的、利他的、自信、経験、能力など個別性が高く自分ルールで自らを裁き罰しまた、ゆるしているのではないでしょうか。

●ゆるしが必要な理由メモ

ゆるしが必要な理由は、ゆるせないことで過去の出来事や制約にとらわれマイナス感情を持ち続け、今と未来の幸せが減少してしまうからです。言い換えると、ゆるせない過去の対象に集中しマイナス感情を持ち続けることは、自分の持つ生命の活動資源(時間、思考、感情、言動など)を差し出し自己を弱化し対象の存在を逆に強化し続けることになります。

◇ゆるしと忘れるのは別の意味

ゆるしや水に流すことは、過去の出来事の記憶や学びを維持しながらもその解釈を変え感情反応をしない決意をすることで自己を解放し自由になることです。

◇自己投影

親の嫌いな言動が過去の自分の言動を振り返った時に、酷似していることに気付きショックを受けたことがある人もいるかと思います。同様に自分の中にある嫌いで許せないこと(不足、弱さなど)が他者や物事の中に見えた時に拒絶していることに気付いた人もいるかと思います。自己の経験や記憶が流転する外界の他者や物事に投影され、意味を付加しているだけと考えることもできます。

◇物事が起きる原因

物事が起きる原因は、自然の法則に従い水が高いところから低いところ(不足、弱さなど)へ流れるように事象が連鎖的に発生しているだけなのかもしれません。それでは、高いところ(善悪区分なし)から発生した物事に対して低いところに存在している弱者は、マイナス感情(悲観、恐れ、嫌悪、憎しみ、恨み、妬みなど)を持つしかない無力な存在なのでしょうか。

●物事の解釈を変える

通常大きなストレスは、圧力を逃がす別の欲求(睡眠、食欲、排泄欲(性)、趣味など)に置き換えられ発散されます。しかしこれでは、高圧で入力されたものを圧力弁を開き低圧に出力しただけでエネルギー吸収効率が低くなります。

◇ピンチはチャンス

高いところ(善悪区分なし)から発生した物事は、自己の弱点(不足、弱さなど)を突いてくることもあるため大きなストレスを伴うことがあります。しかし一見すると悪いことと解釈されるピンチ(過ち、失敗、病気、怪我、悪意など)も弱点(不足、弱さなど)を克服し成長・成功するためのチャンスと解釈することもできます。

例えば、虫歯が痛み食べ物を食べられなくなったり、捻挫で歩けなくなった時に普段当たり前と思っていた健康の大切さに気が付く切っ掛けになることがあります。人間関係でも普段空気のように接していた人を失ってはじめてその存在の大切さと自分の至らなさに気が付いたりします。

◇相対的な解釈

前記で考察した通り人生に起きる出来事に良い/悪いの意味を付与しているのは、人生の経験や記憶にある解釈に起因していると考えられます。これは、ある人にとり良いことでチャンスと解釈されることも別の人には、悪いことでピンチと解釈されることでも物事自体が相対的なものであることが分かります。もちろん数学・物理などの法則で共通認識されるものもあります。

●まとめ

長い目で人生を振り返るとどん底のように感じる出来事もありますが好転反応のように副作用で一時的に状況が悪くなる反面で必ず大切な何かに気付かされる成長の岐路に立っているとも考えられます。人は、誰でも何時でもより良い方向へ成長と進化の過程を歩んで行けると思います。そのために人生に登場する他者や物事は、自己に気付きと成長の機会を与える悪者を演じる協力者と解釈しゆるすことでマイナスの出来事すらバネとして吸収・昇華できるようになりたいものです。

  • ゆるしは、過去から自由になり自己の人生を取り戻すこと。
  • 物事が起きる原因には、自然法則と同様に高い方から低い方へ向かう性質がある。
  • 物事に良い/悪いの意味を付与しているのは、自己内部の相対的な解釈である。
  • 悪い事が起こらなければ良いことや大切なことを意識化するのが難しい。
  • マイナスもプラスも解釈次第で交流電力のように利用できる。
  • ピンチはチャンスであり成長・進化の機会である。

※大きなストレスの中には、悪意のある侵害や破壊しようとする暴力的なものがありその場合は、第三者に相談するなど物理的な対処が必要です。

 

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