思考・感情・欲求(体)のバランスを回復する方法【実践編】

心の中立の場所である丹田(へそ下約5cmから内臓側へ約5cmの場所)は、物理的にも身長を約二分した中間に位置しています。頭部への心の偏在を中間の位置に移動するためには、単純に中間の位置に心を作用させるだけでは不十分です。人間には、お腹より下に位置する生殖器、排泄器官、足などがあるからです。また脳の過剰な欲求の動力源である視覚、聴覚などからの情報を抑制しておかなければ下側の足に心を作用させても上側の頭に心が引き戻されてしまいます。(「思考・感情・欲求(体)のバランスを回復する方法」を参照)

 

必要な要件は、以下と考えます。

  • 脳の過剰な欲求の動力源である視覚、聴覚などからの情報を抑制する。
  • 上側の頭から中間の丹田を軸として下側の足に心を作用させてバランスを回復する。
  • 思考、感情、欲求(体)の協調行動。(「小さなことから行動力を培う」参照)※

※意志の力で体を動かし触覚から動きを実感することで自己の生命の実存を再認識し頭部へ浮き足立つ心を体に定着させ統合する必要があります。

●環境

習得するまでは、以下の環境で行うのがよいと考えます。

◆環境

  • 気が散らないようにTV、PC、携帯電話、ゲーム、音楽プレーヤー等は電源OFFか待ち受けにする。
  • 場所は布団やベッドの上またはリラックスできる椅子。
  • 呼吸や体の動きを圧迫しないゆったりした服装。

◆心と体の姿勢

  • 準備運動として首と肩をゆっくり回し軽くストレッチしておきます。
  • 心と体のどこかに負担が掛からないよう布団やベッドなら仰向けに寝て、椅子ならお尻を深く座ります。

●練習

(1)~(4)は個別に練習し(5)で全体を練習します。

(1)瞼(まぶた)

視覚からの情報を抑制するために目を閉じる練習をします。

これは、誰でも瞬時に簡単にできることから冗談と思うかもしれませんが起きている時に30分間目を閉じてくださいといわれたらどうでしょうか。また好きなTV、PC、携帯電話、ゲーム、SNSなどをしているときにいわれたらどうでしょうか。起きている時に目を閉じる習慣を持っている人は、少なくまた目的なく目を閉じることは苦痛を伴うかもしれません。しかし心の偏在を回復することを目的にし習慣化することは可能だと考えます。

  • 3分間目を閉じこの意味と価値を熟考してみてください。

(2)横隔膜

呼吸を行う筋肉の動きを実感し心を腹部に作用させる練習を行います。

横隔膜は、胸腔(肺臓、心臓などを納める空間)と腹腔(胃、腸などを納める空間)を分ける筋肉で収縮すると胸腔が広がり肺が膨張し吸気され腹腔が狭まり、弛緩すると胸腔が狭まり肺が収縮し排気され腹腔が広がります。※

  • 横隔膜(筋肉)をゆっくり意識的に収縮と弛緩をさせ動いた感覚を実感できるまで繰り返します。
  • 横隔膜を腹腔側へ押し下げるように収縮させ腹圧が上昇する感覚で行うと実感しやすいと思います。

※ 横隔膜は、自己の意志により動かすことのできる随意筋に分類されていますが睡眠時に呼吸をしていることから自律神経にも制御されていると考えられます。

(3)腹横筋下部

腹腔(胃、腸などを納める空間)の下側で内臓を支える筋肉の動きを実感し心を腹部に作用させる練習を行います。

  • (2)で横隔膜を腹腔側へ押し下げるように収縮させ腹圧が上昇したときに下腹部の腹横筋下部(腹筋奥にあるインナーマッスル)に力を入れ小腸付近の丹田(へそ下約5cmから内臓側へ約5cmの場所)に腹圧が実感できるまで繰り返します。

(4)足

上側の頭から中間のお腹を軸として下側の足に心を作用させてバランスを回復する練習を行います。

  • 両足の指をゆっくり物をつかむように動かしまた放すように動かし実感できるまで繰り返します。
  • この時足を植物が大地に深く根を張るように置き換えてイメージします。

(5)全体を練習

全体を通してゆっくりと実感できるまで1~3を思考(意志)、感情(実感)、欲求(体:筋肉の動き)の協調行動を繰り返し習慣化します。筋肉には、軽くじんわり力を加えるだけで急いだり力んだりしないことが肝要です。

  1. 目を閉じます。
  2. 横隔膜を収縮させ腹横筋下部に力を入れ小腸付近の丹田の腹圧を実感しながら地中深く張った根(足※)で大地をつかみ吸気(約5秒間)するとともに養分が吸い上げられ丹田へ徐々に満たされていくようにイメージします。
  3. 横隔膜、下腹部の腹横筋下部を脱力し大地に深く根を張った根(足※)でつかんでいた地中を放し排気(約5秒間)するとともに体の老廃物が放出されることをイメージします。肺の空気が残らず排気するようにします。

※実際の呼吸の出入り口自体は、鼻から行いますが足から呼吸(吸気/排気)すると同時に大地からの養分の吸収/老廃物の排泄を行うように足を植物の根のイメージに置き換えます。

●まとめ

小さなことから行動力を培う」で触れましたが新しいことをはじめるとき潜在意識下の自己像は、変化より安定を好むためになかなか前進できないこともあります。しかし小さなことを継続していると今度は、潜在意識下で習慣化しあるとき驚くほどの変化が訪れることもあります。

今回紹介した頭部への心の偏在を 思考や感情の欲求が派生される以前の原初の生命力(精、源泉、活動力、元気など)が生産・維持され脳幹・脊髄の生命活動を司る活動に関係深い丹田(へそ下約5cmから内臓側へ約5cmの場所)へ移動することで生命の実存を実感し欲求の優先順位、情報選択、資源配分が徐々に変化していくと思います。

 

本ブログで紹介している「五感ガイドイメージ呼吸法」は、上半身(頭部、胸)を中間位置の丹田で統合しますが、このバランスを回復する方法は、下半身(生殖器、排泄器官、足)を中間位置の丹田で統合する丹田呼吸法として対をなしています。
さらに次の段階がありますが機会があれば書こうと思います。

 

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