■知らない自分

 

録音された自分の声や喋りかたを聞いて普段自分が発し聞いているのと違い少し驚いたことはないでしょうか。もし一日の自分の言動全てを録画し見ることができたなら見知らぬ自分の言動に驚くかもしれません。そこには、しっかりした自分、親と似ている自分、嫌いで恥ずかしい自分など様々なものが見られるかもしれません。我々は、自分のことを一番知っているのは自分自身だとつい思ってしまいますが自分自身しか知りえない記憶を持ってはいるものの殆どは潜在意識下で無意識に処理され自動的に反応(言動)しているため気が付いていません。

 

例えば、好きな人が視界に入れば無意識に見つめ近づき話しかける機会をうかがうでしょうし嫌いな人が視界に入れば目を合わせないようにし離れようとし離れられなければ不快な表情や言動が無意識に出ているかもしれません。

 

このような自己の潜在意識下の無意識の反応(言動)を他者や社会が無意識の反応(評価)で相互にフィードバックしあっているのが現実だとしたらどのように受け止めたらよいのでしょうか。起きている夢を見ている巨大な幻想とも思えますが、もし今の現実が望みと異なるならば自己の潜在意識下の無意識の反応(言動)を変える必要があります。しかしそれ以前に自己の本当の望みを知らなければ変えることはできません。(「対象は、自己を知り反応を変える手がかり」参照)また他者や社会が先に変わるべきで自己が変わる必要はないし変わりたくないという考え方もあります。更に自己を変えても他者や社会が変わらなければ現実は、変わらないという考え方もあります。

他者も固有の役割を持ち存在しており自分で気付き内部から変化していく必要があり介入し変化させることはできませんしすべきではありません。またプラス思考や発する言葉を変えることを一時的に試し現実が変わらないと諦めてしまうことがありますがそれは、不完全な試みで失敗したのだと考えられます。

 

■簡潔で奥深い格言

 

思考に気を付けなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気を付けなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気を付けなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気を付けなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気を付けなさい、それはいつか運命になるから。

 

上記の格言の出自は、諸説(ブッダ、ガンジー、Frank Outlawなど)あります。

 

プラス思考は、常にネガティブ思考な人が物事をポジティブ考えることで現実を変えようとする試みですがこれは、思考が現実化することを前提にした考え方ですが現実への反応である言葉と行動に表出しなければ外界の他者や社会の反応(評価)も変わらないと考えられます。また普段無意識に繰り返し発してしまうネガティブな口癖による自己達成予言を回避するため言葉を変えようとする試みがありますが言葉の前段にある思い込みや決め付けが変わらなければ効果は期待できないと考えられます。更に思考の前段にある「心の機能」【構造】で触れた潜在意識下の前処理による制約を知らなければ真の思考の自由を理解することはできないと考えられます。

 

次の記事「自己ナビ