【目的】
筋力ガイドイメージ法の第一の目的は、心の耐久度を越える強い刺激や心の傷の記憶が再生されることから心を保護する対処法を習得することで第二の目的は、強い心を作り苦しみ(孤独、不安、喪失、恐れ等)に向き合う対処法を習得することです。
■第一の目的 心を保護する
●対象と自己を引き離し退避する対処法を習得します。
無意識下の対象へのロックオンが自動追尾し続け一体化が感情的な影響を引き摺り貴重な活動資源(時間、思考力、感情力、体力、財力等)を長期間浪費してしまう本来の機能目的(危機や利害を捕捉)を外れた自動化の副作用を意識的なスイッチ(心の集中と情報の選択(選別/排除))で切り替え影響を遮断し心を保護します。
例えば、他人から理不尽な非難や行動を受け一日中(時には長期間)嫌な気分になりストレスを感じたことはないでしょうか。対象の他人が目の前から去った後でもその言動を記憶として何度も思い返してしまいストレスを解消しようと別の何かで貴重な活動資源を浪費したりします。対象の他人は、誤解により普段の言動をしただけかもしれないし、何らかの不満や欠乏を抱え捌け口を求めていたのかもしれないし、自己投影しあなたの中に嫌いな自分の影を見て遠ざけようとしたのかもしれません。しかし対象の他人は、その言動の一瞬で何かを発散しそのことをすぐに忘れてしまいますが、あなたは貴重な活動資源を長期間浪費してしまいます。何かを奪われた理不尽さを感じたり割に合わないという考えが生じてくると思います。勿論このような負や正の感情体験を含めて自然に受け入れ味わい尽くすのが人生であるという考え方もあります。
■第二の目的 強い心を作る
●対象と自己の距離を一定に保ち向き合う対処法を習得します。
第一の目的で対象と自己を引き離し退避した後に心の集中、力点を球の中心点(自己の座)に保ったまま対象を直視し向き合うと同時に自己の各中枢(知性、感情、消化、性)の動きを観察します。
「向き合う」で触れましたが身体の痛覚は、体の怪我や病気の危機を知らせ回避、軽減するための重要な機能です。同じように苦しみという心の痛みは、心の怪我や病気の危機を知らせ回避、軽減するための重要な機能だと考えられます。しかし心の苦しみや痛みは、恐れや不快感を伴うため直視し向き合うのが困難で現実が変わらなければと諦め負の記憶として残留してしまいます。心の苦しみや痛みを直視し向き合うことができれば意味を見出し整理され徐々に再解釈が進み負の記憶と反応の習慣に変化が現れます。(この対象を直視し向き合うことで生じる未知の効果は、「対象は、自己を知り反応を変える手がかり」参照)
※最初は、難易度の低い身近な少し嫌いな物事(例えば、食べ物など)を対象に行い徐々に難易度を高く(例えば、嫌いな人など)し練習していきます。
※第一の目的で対象と自己が十分引き離されていれば対象からの影響が減少し第三者がテレビや映画を見るように対象と向き合うことができますが難しければ第一の目的を優先し習得してください。
※欲求や感情の興奮状態を鎮めるために丹田呼吸法(腹式呼吸法)を行うと効果があります。
【予備知識として一読してください】
・目的・概要・課題: 「強い心を作る」 「筋力ガイドイメージ法の準備」
・基礎技術 : 「心のストレッチ」
【自動操縦から手動操縦へ】
本能の反射と潜在意識が対象を自動的にロックオンし潜在記憶プログラム(反応の習慣)を動かしているのならば同じ本能の反射を利用し顕在意識の意識的な心の集中の制御で手動操縦に切り替えられるはずです。課題は、手動操縦に切り替えるにしても潜在記憶プログラム(習慣)が動き出したことを感知できなければ使い所が解りませんし良い習慣と悪い習慣が混在しているので判別が困難であることです。潜在記憶プログラム(習慣)の動きを捕捉するには、心眼定点分離法が必要なのですがまだ準備ができていないので簡易的な感知方法を用います。簡易的な感知方法とは、感情を指標とすることです。何らかの感情が生起したということは、潜在記憶プログラム(反応の習慣)が動き出したサインでもあり手動操縦へ切り替える使い所でもあります。重要なのは、顕在意識が意識的に手動操縦に切り替えるという失われていた選択権を取り戻すことです。
【集中の方法】
「心のストレッチ」 で習得した半球の外殻は、心の盾として用いるのではなく対象にロックオンした心の集中を引き戻すのに用います。対象と自己が心の集中という双方向の回路で接続されている限り情報は流入し影響を受け続け欲求や感情の興奮状態を治めることはできません。 「心の集中の特性 」で触れたように五感から情報が流入し続けても心の集中を制御することで情報を選択的(選別/排除)に感受できます。 また五感からの情報で動きがあるものや周囲と異なる目立つものに本能の反射が働き心の集中が自動的にロックオンし潜在記憶プログラム(反応の習慣)が働くことも考察できました。この動きと目立つものが大きな半球であり意識的に心と体で動かす切り替えスイッチとなります。
■外界の対象(他者や物事)
- 望まない感情が生起したら対象を特定し以下を行います。
- 対象の反対方向に半球を向け45度の範囲で円を描きます。(半球の形状を維持)
- 自己の座は、球の中心点(みぞおちの太陽神経叢)に居るようイメージします。
- 対象に集中、力点を置くと制御を奪われるので注意します。
- 他者に集中を気付かれないよう注意します。*1 *2
■内界の対象(記憶や妄想)
- 望まない感情が生起したら以下を行います。
- 半球を縦・斜め・横に360度回転させます。(球の形状を維持)
- 自己の座は、球の中心点(みぞおちの太陽神経叢)に居るようイメージします。
- 対象に集中、力点を置くと制御を奪われるので注意します。
*1 近しい他者は、通常と反応が異なると気を引こうとトラブルになる可能性があります。
*2 現状の危機がある場合は、現実的な対処をしてください。
*3 目を開けた状態でいつでもどこでも自然にすばやくできるよう練習し習慣化します。
*4 最初は、不可能と思っても練習すると心も鍛えられできるようになります。
*5 仮想の球体は、物質や他者に影響されない不可侵の領域で自己の居場所と考え球体が変形した時は影響された原因を考えてみてください。
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