【日本と中国は、横暴なアメリカに対しアメリカ財務省証券売却および購入停止で共同反撃すべきであることについて】

【要約】

石破政権がますますアメリカに対する従属姿勢を強め、中国と距離を置く状況を受け、4月下旬に訪中した森山裕自民党幹事長・日中友好議連会長率いる訪中団は、中国で冷遇されました。

アメリカの横暴な高関税賦課、防衛費増額要求に対抗するため、日本は、早急に中国と 2+2 外務・防衛大臣協議を実施し、アメリカ財務省証券売却および購入停止の日中同時実施を協議すべきです。


【本文】

1. 森山訪中団に対する中国の「冷遇」

親中派とされる森山裕自民党幹事長・日中友好議連会長が、事務局長の小渕優子議員ら議連所属議員とともに4月27日〜29日の日程で訪中しました。

かつて二階俊博自民党幹事長・日中友好議連会長が率いる訪中団が訪中した際は、二階幹事長と習近平中国国家主席との会談の場が設けられ、中国側から熱い歓迎を受けました。



[二階俊博自民党幹事長(左)と習近平国家主席]


これに対し、今回の森山幹事長・日中友好議連会長が率いる訪中団は、趙楽際・全人代常務委員長と会えたものの、習近平国家主席に会えないのはもちろん、李強首相にも会えませんでした。[1]



[森山裕自民党幹事長・日中友好議連会長(左)と趙楽際・全人代常務委員長]


さらに、3月下旬に訪日した王毅外相とも今回の訪中では会えませんでした。王毅外相は、BRICS外相会議に出席するため、地球の反対側のブラジルに滞在していました。


[ブラジルで開かれたBRICS外相会合(中央右に中国の王毅外相)]

中国が森山幹事長・日中友好議連会長率いる訪中団を「冷遇」したのも当然です。

森山幹事長・日中友好議連会長は、中国訪問中、期待されていた「台湾問題は中国の内政問題である」との発言もせず、「南シナ海の領土紛争は,域外の第三国(アメリカ)が干渉すべきではない」との発言もせず、日本と中国が同時にアメリカ財務省証券購入停止をほのめかすということもありませんでした。

全くの期待外れです。


今回の森山幹事長・日中友好議連会長らに対する冷遇から判断すると、中国は日本に対し相当不満を持っていると思われます。

元々中国は、石破政権発足後、昨年11月にペルーで開催されたAPEC会議の際に、習近平国家主席と石破茂首相との会談の場が設けられるなど、石破政権に対しきわめて友好的な姿勢を示していました。



[石破茂首相(左)と習近平国家主席、2024年11月]

さらに、岩屋毅外相が訪中し、その直後、中国および日本が互いにビザの規制を緩和し、日中間の人的交流に活発化か図られるなど、日中関係進展の機運が生まれていました。


[岩屋毅外相(左)と王毅外相、2024年12月]

その流れの中で、2月上旬に中国のハルピンで開催されたアジア大会開会式に石破首相が招待され、2回目の日中首脳会談が開催される可能性がありました。

ところが、石破首相は中国の招待に応えず、訪米してトランプ大統領との会談を行いました。



[満面の笑顔の石破茂首相とトランプ大統領]


その後も、石破首相は、3月、4月の訪中を見送り、5月訪中が政府内で検討中との報道もありましたが、結局、石破首相が5月に訪問したのは中国ではなく、ベトナムとフィリピンでした。

中国と東南アジアとの間に位置するベトナムへの訪問は、日本が中国と東南アジアとの関係に楔(くさび)を打ち込む動きとも受け取れます。



[石破茂首相とベトナムのファム・ミン・チン首相]


また、ベトナム、フィリピンと中国との間には南シナ海の領土紛争が存在します

とくにフィリピンと中国の間では、スプラトリー諸島にある「サビナ礁」をめぐり、双方の船舶が激突するなど深刻な対立があります。

ところが、石破首相は、そのフィリピンを訪問し、軍事情報包括保護協定の早期締結の方針を確認するとともに、自衛隊とフィリピン国軍との間で物資を融通し合う物品役務相互提供協定締結に向けた交渉開始でも合意しました。日本とフィリピンの関係は、準同盟になったとも表現されます。[2]




[石破茂首相とフィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領]

これは中国を激怒させます。中国外務省は、ただちに「国家間の交流・協力が第三国を対象としたり、第三国の利益を損なったりすべきではないと考える」と批判しました。[3]


日中関係は、昨年11月から今年1月までは前進していましたが、2月以降は後退するばかりです。まさに「一歩前進、二歩後退」の状況です。

このような状況では、森山幹事長・日中友好議連会長率いる訪中団が冷遇されるのも当然です。

日本から中国に対し水産物、米、牛肉輸入再開の要請が伝えられたそうですが、中国が受け入れるわけがありません。



[森山幹事長・日中友好議連会長(左)を睨みつける趙楽際・全人代常務委員長]


[平身低頭の森山幹事長・日中友好議連会長(左)と趙楽際・全人代常務委員長]


[笑顔のない握手をする森山裕自民党幹事長・日中友好議連会長(左)と趙楽際・全人代常務委員長]


逆に、中国は日本に対し、中国を侵略した日本軍の遺棄化学兵器に関し、その処理を加速し、中国の人々に安全な国土を返し、国際社会に正義を回復するよう要求しました。[4]

さらに中国では、中国人を使った細菌兵器の人体実験で悪名高い旧日本軍731部隊の映画化が行われるそうです。対日強硬姿勢への逆戻りです。

日中関係は、完全に冷え込みました。


[映画祭で紹介された映画「731」]


[訪中前、中国からの冷遇を予想し、浮かない表情の森山幹事長・日中友好議連会長(右)と小渕優子日中友好議連事務局長]


2. ジョージ・グラス米国駐日大使の就任とアメリカの対日工作 ー 自民党内の反中国・タカ派支援

石破首相は、もっと早期に訪中し、日中間の経済的外交的関係を強化しておくべきでした。そうすれば、アメリカは日本に対し、高関税賦課や防衛費増額を要求しにくくなったはずです。

しかしながら、石破首相がアメリカの顔色をビクビク伺っている間に、貴重な数ヶ月が失われ、トランプ大統領が指名したジョージ・グラス駐日大使が4月18日に就任、来日してしまいました。グラス大使は、日本を反中国、親アメリカにするためにフル稼働します。


[ジョージ・グラス駐日大使]

グラス大使は、まず自民党内保守派の高市早苗と小林鷹之を支援するでしょう。

目的は、戦争増税と国債増発による防衛費の大幅な増額です。


また、アメリカは、日中関係が悪化するよう様々な工作を実行するでしょう。

尖閣諸島をめぐって日中間で衝突が発生するかも知れません。

5月3日、まさにその懸念が現実のものになりました。日本の右翼が搭乗した民間航空機が尖閣諸島上空に侵入、これを中国海警局のヘリコプターが追い払うという事件が発生しました。[5][6]


[中国海警局のヘリコプター]


今後も、右翼日本人による尖閣諸島上空侵入事件、領海侵入事件、尖閣諸島上陸事件が頻発するでしょう。

さらに、極右日本人による中国本土での中国人大量虐殺事件、あるいは中国に駐在している日本人ビジネスマンの一家が惨殺される強盗殺人事件などの謀略が発生するかも知れません。


このような状況の下、日本政府は、愚かにもEUに接近しようとしています。全く見当違いの動きです。


現在、多くのエコノミストや学者たちがトランプ政権の高関税政策は愚かで無意味な経済政策だと批判しています。しかしながら、そもそも米国の高関税政策は経済政策ではありません。米国は高関税に因る世界恐慌で日本経済を壊滅させ、日本に極右政権を成立させて、台湾有事で中国を攻撃させる計画です。


[世界各国からの輸入品に対する高関税賦課について説明するトランプ大統領]

日本国内では日米関税交渉が近いうちに合意に達するという楽観論が報道されていますが、アメリカは合意しません。なぜなら、アメリカの目的は、日本の自動車産業を壊滅させ、その結果、日本を失業者で溢れさせ、自暴自棄になった日本に極右政権を成立させて、中国を攻撃させることだからです。

石破政権は間もなく日米関税交渉の決裂・失敗を受けて崩壊するでしょう。アメリカの顔色を伺い、中国との関係強化を推し進めなかった森山自民党幹事長も幹事長職を失う可能性があります。最悪の状態で参院選を迎える自民党は惨敗し、反中国の立憲・国民民主・維新連立政権が成立する危険性があります。



[(右から)関税交渉のため訪米した赤澤亮正経済再生担当大臣、スコット・ベッセント財務長官、ハワード・ラトニック商務長官、ジェミソン・グリア通商代表]


アメリカは参院選直前の6月に日米関税交渉“決裂”をぶち込んできます。その結果、日本の株式・国債は暴落し、周章狼狽する石破政権は崩壊、森山自民党幹事長も幹事長職を失う可能性があります。自民党は参院選で惨敗し、反中国の立憲民主党中心の政権が成立する危険性があります。

たとえ一旦合意に達しても、アメリカは参院選直前に日米関税“合意破棄”をぶち込んできます。その結果、日本の株式・国債は暴落し、石破政権は崩壊、森山自民党幹事長も失職の可能性があります。
自民党は参院選で惨敗し、反中国の立憲民主党中心の政権が成立する危険性があります。


アメリカは、石破政権を倒したあと、反中国でタカ派の高市早苗あるいは小林鷹之を首相にしようと画策するでしょう。

高市早苗は、財務省の緊縮姿勢を批判し、財政出動を主張しています。言い換えると、防衛増税を実現し、また、どんどん国債を発行して防衛費を急増させようという立場です。



[高市早苗(左)と小林鷹之]

その先は、台湾有事への自衛隊参戦です。

高市早苗は、大型連休中に台湾を訪問し、故安倍晋三の銅像を訪ねるとともに、台湾の頼清徳総統と会談しました。高市早苗は、台湾有事を口実に中国を攻撃する計画です。高市早苗は、アメリカのために、日本に代理戦争をさせようという売国奴です。


[台湾訪問時、現地の安倍晋三像に献花する高市早苗]


[高市早苗と頼清徳台湾総統]

一方、小林鷹之は、大型連休中に訪米し、ワシントンの米国笹川平和財団で講演しました。小林鷹之は、アメリカの有力者に自分を売り込むことに必死です。小林鷹之は、祖父、父親、本人と三代続く反中国一族です。[7]


[ワシントンの米国笹川平和財団で講演する小林鷹之]


3. アメリカの対日工作 ー 政権交代による反中国政権の樹立

さらに、アメリカは、野党に消費税減税を主張させ、政権交代を画策するでしょう。


[消費税減税を主張する野田佳彦立憲民主党代表]

目的は、戦争増税と国債増発による防衛費の大幅な増額です。


アメリカは参院選直前の6月に日米関税交渉“決裂”をぶち込んできます。その結果、日本の株式・国債は暴落し、周章狼狽する石破政権は崩壊、森山自民党幹事長も幹事長職を失う可能性があります。自民党は参院選で惨敗し、反中国の立憲民主中心の政権が成立する危険性があります。

たとえ一旦合意に達しても、アメリカは参院選直前に日米関税“合意破棄”をぶち込んできます。その結果、日本の株式・国債は暴落し、石破政権は崩壊、森山自民党幹事長も失職の可能性があります。
自民党は参院選で惨敗し、反中国の立憲民主党中心の政権が成立する危険性があります。

野党は、ここぞとばかりに内閣不信任案を提出するでしょう。野党が結束すれば、少数与党の石破内閣への不信任案が可決されます。

日本国内の親中国ビジネスとつながりのある自民党と異なり、労働組合団体を政治基盤とし、ビジネスを全く理解出来ない立憲民主党、国民民主党、維新の会による連立政権が成立すれば、完全に反中国に振り切ります。


[立憲民主党代表の野田佳彦代表(左)は、かつて首相を務めていた際、尖閣諸島を国有化し、日中関係を決定的に悪化させました]

立憲民主党代表の野田佳彦は、かつて首相を務めていた際、尖閣諸島を国有化し、日中関係を決定的に悪化させた前科があります。

その先は、台湾の防衛に日本が責任を持つとする日本版台湾関係法の成立と台湾有事への自衛隊参戦です。


なお、最近、財務省デモが話題になっていますが、アメリカが緊縮財政を唱える財務省に揺さぶりをかけている可能性があります。アメリカは、財務省を放漫財政へ転換させ、防衛費急増を実現したいからです。


[財務省デモ]


[財務省デモ、「ディープステート」という表現は、日本では馴染みが薄いですが、アメリカではトランプ支持者がよく使う表現です]

もし、財務省が緊縮財政の立場をどうしても変えない場合、かつて軍事予算拡大に反対していた高橋是清が226事件で暗殺されたように、財務大臣や財務官僚が暗殺されるかも知れません。



[1936年に起こったクーデター未遂事件(226事件)で暗殺された高橋是清大蔵大臣(左)と斉藤実内務大臣]

また、自衛隊内部のクーデター計画が発覚するかも知れません。


[226事件の際、国会議事堂に侵入するクーデター部隊]

暗殺事件やクーデター計画で脅されてすっかり従順になった財務省は、赤字国債を発行して、防衛費を急増させるでしょう。


4. 日本と中国によるアメリカに対する共同反撃

日本は、没落するアメリカの顔色を伺うことなく、中国との経済的外交的関係強化に邁進べきです。

アメリカが対日強硬姿勢を強めたら、その分、より一層中国との関係を強化すれば良いだけです。アメリカに打つ手はありません。


ちなみに、森山自民党幹事長・日中友好議連会長が中国から帰国した直後の5月2日、加藤勝信財務大臣がテレビ番組に出演し、関税交渉の交渉カードとしてアメリカ財務省証券売却の可能性に言及しました。[8]


[テレビ番組で、日本が保有するアメリカの財務省証券の売却が交渉カードとなると発言する加藤勝信財務大臣]

発言のタイミングから推察すると、もしかすると訪中した森山自民党幹事長・日中友好議連会長と中国指導部との間で秘密裏にアメリカ財務省証券売却に関して申し合わせがあったのかも知れません。あるいは、申し合わせまでいかなくとも、アメリカ財務省証券売却がアメリカに対する交渉カードとしていかに有効であるかに関して認識の共有があったのかも知れません。

いずれにせよ、アメリカに対する日本および中国の交渉の切り札はアメリカ財務省証券売却および購入停止です。これは、外交的に”核爆弾”の威力があります。なぜなら、文字通りアメリカ政府を吹き飛ばす力があるからです。

アメリカの財政は、財務省証券発行による借金頼みです。アメリカの歳出6.75兆ドルに対し、税収は4.92兆ドルしかありません。差額の1.83兆ドルは財務省証券(国債)でまかなっています。借金財政です。その財務省証券の大口購入国が、中国と日本です。中国と日本がアメリカ財務省証券購入を停止すれば、アメリカ政府は、歳入不足で即破綻します。アメリカの全ての政府サービスがストップします。軍人への給料すら支払われなくなります。

関税交渉のアメリカ側窓口のベッセント財務長官自身が、アメリカ政府の借入れ上限を引き上げないと7月上旬にアメリカ政府が破綻すると警告しています。[9]



[アメリカの歳出6.75兆ドルに対し、税収は4.92兆ドルしかありません。差額の1.83兆ドルは財務省証券(国債)でまかなっています。借金財政です]


[アメリカの財務省証券(国債)。大口購入国の中国と日本が購入を停止すれば、アメリカは即破綻します]


ただし、アメリカ財務省証券売却を交渉カードとして使う際は、慎重な取り扱いが必要です。

かつて1990年代末に政権を担った橋本龍太郎首相は、訪米中の講演でアメリカ財務省証券売却の可能性に言及しました。橋本発言は、米国は通商問題で日本に圧力をかけるが、大量に米国債を保有する日本にはそれを売る手段があるとの脅しと受け取られ、ニューヨーク株式市場の暴落を引き起こしました。このため、橋本首相はアメリカから要注意人物とみなされ、翌年の参議院選挙で自民党は惨敗、橋本首相は総理辞任に追い込まれて、病死しました。[10]


[アメリカ・コロンビア大学での講演で、アメリカ財務省証券売却の可能性に言及する橋本龍太郎首相(当時)]


[橋本龍太郎元首相の内閣・自民党合同葬]


日本単独でアメリカ財務省証券売却をほのめかすと、橋本龍太郎の二の舞いになりかねません。そのため、アメリカ財務省証券売却および購入停止を実施する場合は、中国と連携し、日本と中国が同時にアメリカ財務省証券売却および購入停止を実施することが有効です。そうすれば、日本はアメリカからの攻撃を避けることが出来るだけでなく、売却および購入停止の効果が甚大となります。日中同時のアメリカ財務省証券売却および購入停止は、まさに破壊的な効果を持ちます。


ちなみに、中国は、4月下旬、インドネシアとの間で、初めて2+2 外務・防衛大臣協議を実施しました。中国は、今後、各国と2+2 外務・防衛大臣協議を実施していくと考えられます。[11]

この 2+2 外務・防衛大臣協議は、日中間でアメリカ財務省証券売却および購入停止を協議する際にもってこいの枠組みです。アメリカ財務省証券売却および購入停止は、外交案件であると同時に安全保障案件でもあるからです。日本は、早急に日中 2+2 外務・防衛大臣協議を実施すべきです。


[中国・インドネシア 2+2 外務・防衛大臣協議]

日本は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ロシア、インド、フィリピンとは、2+2 外務・防衛大臣協議を実施したことがありますが、中国と実施したことはないと思われます。

さらに、2+2 外務・防衛大臣協議を拡大し、日中の財務大臣が参加して、3+3 外務・防衛・財務大臣協議を実施することも考えられます。アメリカ財務省証券売却および購入停止は、財務案件でもあるからです。


なお、日中 2+2 外務・防衛大臣協議は、日中間の安全保障分野での協力関係の強化・深化のためにも有効です。

たとえば、アメリカのサイバー攻撃に対する防御方法や反撃方法に関する情報交換が可能になるかも知れません。

さらに、中国海軍軍艦の日本への友好的寄港実現のための協議を実施することも考えられます。たとえば、中国海軍の軍艦が舞鶴に寄港することが考えられます。今年1月、中国軍東部戦区の代表団が訪日した際、代表団は海上自衛隊の舞鶴基地(京都府)を視察しました。[12]




日本の政治家も官僚も、国際政治に関し、全くの無知蒙昧の集まりです。外務省は軍事を知らず、防衛省は外交を知りません。まして、情報収集活動や秘密工作の知識も経験もありません。そのため、日本は、中国の指示に従い、中国の指示するタイミングで、中国の指示する文面と金額で、アメリカ財務省証券の売却あるいは購入停止を行うべきです。また、最高機密情報は、情報漏洩を防ぐため、日中の数名だけが共有すべきです。


中国の王毅外相は、BRICS外相会合で、「多角的自由貿易ルールの維持は、現在最も喫緊の課題だ。黙って妥協したり引っ込んだりすれば、いじめる側はつけあがるだけだ。」と発言しました。全くその通りです。[13]

王毅外相は、さらに「(アメリカによる)覇権主義を前にして、BRICS諸国は原則を堅持し、公平と正義を守る『主力』となるべきだ。一国主義を前にして、BRICS諸国は時代の先頭に立ち、団結と協力を促進する『中核』とならなければならない。」と発言しています。日本もこの団結と協力に加わるべきです。[14]


[BRICS外相会合での王毅外相]


[BRICS外相会合に集結したBRICS諸国の外相]

政治家に一番必要な資質は「勇気」です。石破首相、森山自民党幹事長は、アメリカを恐れずに、中国との経済的外交的関係強化に邁進すべきです。

アメリカの言いなりに行動していると、参院選直前に関税交渉“決裂”をぶち込まれ、参院選で自民党は惨敗し、石破首相、森山幹事長は辞任に追い込まれます。

その場合、石破首相に代わり、反中国・タカ派の高市早苗や小林鷹之が首相となり、あるいは反中国の野田佳彦が率いる立憲民主党主導の政権が成立します。

その先にあるのは、台湾有事への自衛隊の参戦と日本の壊滅です。

以上


[追記]

5月5日、加藤勝信財務大臣が、訪問先のイタリア・ミラノで記者会見を開き、3日前にテレビ番組で、アメリカとの関税交渉において、日本が保有する米国債の売却は「カードとしてはあると思う」と述べ、交渉の材料の一つとなるとした発言を軌道修正し、日米関税交渉について「米国債の売却を日米交渉の手段とは考えていない」と述べたそうです。[15]


[訪問先のイタリア・ミラノで記者会見する加藤勝信財務大臣]

3日前の発言にびっくりしたアメリカから警告が入ったのでしょう。それぐらい、財務省証券売却および購入停止は、アメリカにとって破滅的意味を持つということです。発言の効果はあったということです。

加藤財務大臣は、一旦発言を軌道修正しましたが、あくまでも、“当面は”「米国債の売却を日米交渉の手段とは考えていない」ということです。関税交渉の状況によっては、発言を再度修正し、やはりアメリカ財務省証券売却および購入停止は交渉カードだ、と発言すれば良いだけです。トランプ大統領も発言が二転三転します。加藤財務大臣の発言の再度修正は十分あり得ます。

先に述べたように、中国は、日本と 2+2 外務・防衛大臣協議を実施し、アメリカ財務省証券売却および購入停止の詰めを行えば良いだけです。

アメリカ政府を吹き飛ばす強力なカードを持っているのは、中国と日本です。


参照資料:

References :
(1) 「自民党・森山裕幹事長、中国のレアアース管理に懸念伝達 党序列3位」、2025年4月29日、日本経済新聞

(2) 「日比首脳、情報保護協定の締結方針で一致 中国軍の動向監視で連携へ」、2025年4月29日、朝日新聞

(3) 「「日本は安全保障分野で慎重な行動をとるべき」中国外務省が反発 石破総理とフィリピン大統領の首脳会談受け」、2025年4月30日、TBS NEWS DIG

(4) 「日本は遺棄化学兵器の処理加速を 中国外交部」、2025年4月30日、AFPBB News

(5) 「【独自】中国政府「日本側が先に中国の領空に侵入した」日本大使館幹部を呼び出し逆に抗議」、2025年5月4日、日テレNEWS NNN

(6) 「『右翼分子の民間機が侵入』尖閣問題、中国が抗議し返す 日本は『重ねて厳重抗議』」、2025年5月4日、産経新聞

(7) 「『日本は戦略的自律を迫られる』訪米の自民・小林鷹之氏」、2025年5月2日、北國新聞

(8) 「日本保有の米国債「カードとしてはある」日米関税交渉めぐり加藤財務大臣」、2025年5月2日、テレ東BIZ

(9) ”July 4 is the GOP’s new target for megabill, Bessent says”, April 28th 2025, POLITICO

(10) 「貿易摩擦と橋龍発言 米国債について回る「売りたい衝動」 」、2018年5月2期日、QUICK Money World

(11) ”China-Indonesia ‘2+2’ ministerial mechanism a new step for regional security cooperation”, April 22nd 2025, Global Times

(12) 「中国軍東部戦区が訪日、衝突回避へ議論 トランプ政権見据え接近か」、2025年1月17日、朝日新聞

(13) 「王毅外交部長:多角的自由貿易ルールの維持は、現在最も喫緊の課題だ。黙って妥協したり引っ込んだりすれば、いじめる側はつけあがるだけだ。」、2025年4月30日、吴江浩

(14) 「王毅外交部長:覇権主義を前にして、BRICS諸国は原則を堅持し、公平と正義を守る「主力」となるべきだ。一国主義を前にして、BRICS諸国は時代の先頭に立ち、団結と協力を促進する「中核」とならなければならない。」、2025年5月3日、吴江浩

(15) 「加藤財務相、米国債の売却『日米関税交渉の手段にならない』」、2025年5月5日、日本経済新聞


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
私自身は、いずれの政党・政治団体ならびに宗教団体にも所属していません。あくまでも一人の市民として、個人として発言しています。民主主義と平和を実現するために発言しています。