【中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルの日本配備の可能性と憲法改正、アメリカのオフショア・バランシング戦略について】
安倍政権は、国会では全く説明しません。国会における野党の質問時間を制限し、短い質問時間の間、全く無関係な答弁をするか、虚偽の答弁をするかです。
とくに、国家安全保障に関し、安倍政権が何を行おうとしているかは、日本語情報では知ることが出来ません。メディアが政府の統制下にあるからです。NHKを始めとする日本の保守派メディアは、事実上、政府のプロパガンダ機関となっています。
そのため、国家安全保障に関し、安倍政権が何を行おうとしているかは、海外の英語情報によってのみ、明らかとなるようです。
アメリカの安全保障専門家が発表する論文や記事を通じて、これまでのエアシー・バトル戦略に代わる、アメリカのオフショア・バランシング戦略の具体的様相がますます明らかになってきました。英語の論文や記事では、アメリカが日本にどういう役割を果たさせようとしているのかが、きわめて率直に語られています。[1]
アメリカのシンクタンクCSISの研究員ERIC SAYERSの論文「The Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty and the Future of the Indo-Pacific Military Balance」をご紹介させて下さい。[2]
SAYERS研究員によると、アメリカは、1987年に旧ソ連と締結したINF条約 (中距離ミサイル全廃条約) により、地上発射型の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備を禁止されており、同条約の効力はヨーロッパだけでなく、アジアにも及んでいます。INF条約は、その後、ロシアに引き継がれ、現在も、アメリカとロシアは同条約の拘束を受けています。

このため、アメリカは、アジアにおいて、地上発射型の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備出来ません。アメリカが配備出来るのは、イージス艦や潜水艦から発射される「海上発射型の弾道ミサイル・巡航ミサイル」と攻撃機や爆撃機から発射される「空中発射型の巡航ミサイル」だけです。
これに対し、中国はINF条約の締結国ではなく、同条約の拘束を受けません。このため、中国は、過去20年間にわたり、地上発射型の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備を継続し、いまや日本全土から東シナ海、南シナ海におよぶ広大な地域を射程に収める1000発を超える中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備しています。その結果、アメリカは、アジアにおいて、中国に対し、軍事的に不利な状況になりつつあります。[3]
China is not a party to the treaty. For two decades, it has heavily invested in a conventional missile-based anti-access/area-denial strategy. According to testimony from Adm. Harry Harris, approximately 95 percent of People’s Liberation Army (PLA) Rocket Force missiles fall in the 500 to 5,500-kilometer range. Given China’s advantageous geographic position in Asia, this capability provides Beijing a relatively inexpensive conventional means to hold U.S. bases and ships at risk across the Western Pacific from the bastion of the Chinese mainland. As a result, America’s military superiority in the Indo-Pacific has come under considerable strain.
そのため、SAYERS研究員は、アメリカが、中国に対し、中国もINF条約に加盟するよう要請するか、あるいは、ロシアに対し、INF条約の適用地域からアジアを除くよう要請することを提案しています。しかしながら、中国、ロシアが、アメリカの要請に応える可能性は低いだろうと指摘しています。
Short of full abrogation of the treaty, other diplomatic options exist to address the way forward. They range from the far-fetched — seeking China’s compliance with the treaty — to the less likely — renegotiating a new treaty with a geographic limitation in Europe that would allow limited or even unlimited INF system deployments outside of Europe or just in East Asia.
そこで、考えられるのが、アメリカ自身が中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備するのでなく、同盟国に配備させるという方法です。
SAYERS研究員は述べています。「地上発射型の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備は、同盟国との協力の新しい機会を提供する。共同開発、各国への武器売却、二国間の軍事演習など、アメリカが利用出来る様々な機会が存在する。アメリカは、この分野で、日本、台湾、フィリピン、オーストラリア、ベトナムを含む、地域の同盟国と協働して行くことが出来る。」
Finally, this type of capability (ground-based intermediate-range ballistic and cruise missiles) would offer new opportunities for cooperation with allies and partners. Whether through the joint development of systems, foreign military sales, or bilateral exercises, there are numerous opportunities the United States could exploit in this space to work with like-minded allies and partners in the region, including Japan, Taiwan, the Philippines, Australia, and Vietnam.
昨年12月、日本政府は、ミサイル防衛のため、陸上配備型ミサイル迎撃システムである「イージス・アショア」をアメリカから調達することを決定しました。山口県と秋田県に1基ずつ配備するそうです。イージス・アショアのミサイルは攻撃用にも使えるとされています。ミサイルの射程距離は2000キロです。[4][5][6]

また、同じく昨年12月、日本政府は、離島防衛のためとして、米国製とノルウェー製の巡航ミサイルを調達することを決定しました。射程距離は900キロです。今後、巡航ミサイルの国産化も検討して行くそうです。[7][8]

今回のイージス・アショアや巡航ミサイルの配備が突破口となり、将来的には、中国に対抗して、大量の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルが日本に配備されるようになるかも知れません。
しかしながら、日本が、大量の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備することは、専守防衛を越え、他国への攻撃が可能となるため、日本の現行憲法の下では不可能です。安倍政権が、あらゆる民主主義の手続きとルールを無視して、ファシズム化を進め、憲法改正を進める理由は、ここにあります。
これらのことを、安倍政権は絶対に説明しません。なぜなら、これらのことを説明すれば、国民は政権交代を求めるからです。
日本を中国と戦わせ、アメリカは「後方から指令」を出す。 それが、アメリカのオフショア・バランシング戦略です。このことが、日本国民に広く知られれば、安倍政権は崩壊するでしょう。このため、安倍政権は、徹底的なメディア統制・情報統制を行い、国会を開かず、答弁せず、日本国民に情報を与えないようにしています。
そのため、国民のみなさんは、政府や政治家、メディアの説明をじっと待っているのでなく、自ら積極的に情報を取りに行く必要があります。インターネットを通じ、英語の情報を取りに行ってください。日本の政府やメディアを迂回して、その向こうにある真実の情報を取りに行くことが必要です。
英語が不得手の方でも、インターネット上のGOOGLEなどの翻訳ソフトを使えば、論文や記事の大意はつかめるはずです。

その上で、国会の議論に待つのでなく、国民自身の間で、全国各地で、オープンな議論を行うことが大切です。日本は、軍国主義化を進め、アメリカの前進基地として、北朝鮮と中国に対峙するのか、あるいは、外交と話し合いを通じて、アジア各国と共存共栄を目指すのか、国民自身の間で議論することが大切です。
市民団体やNGO、あるいは、有為の個人が、全国各地で、タウンミーティングを開催し、国民の間で、オープンな議論を促進することが大切です。たとえば、現在の市民連合の勢力があれば、相当数のタウンミーティングの開催が可能となると思います。コストもほとんどかかりません。国民が、自ら真実の情報を集め、自ら議論し、自ら決定する。これが、民主主義です。
安倍政権が進めるファシズム体制の打破は、実は、そんなに難しいことではありません。数百万、数千万人の日本国民のみなさんが、スマートフォンをタッチし、自ら海外の英語情報を取りに行き、真実を知れば、安倍政権が進めるメディア統制とファシズム体制は、瓦解・崩壊します。
道具は、すでに国民のみなさんの手の中にあります。あとは、それを使うだけです。
参考資料:
(1) "The Case for Offshore Balancing - A Superior U.S. Grand Strategy" by John J. Mearsheimer and Stephen M. Walt, Foreign Affairs, July/August 2016 Issue
(2) "The Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty and the Future of the Indo-Pacific Military Balance" by Eric Sayers, War On The Rocks, February 2018
(3) "The US-China Military Scorecard", RAND Corporation, 2015
(中国の弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備状況については、本レポート51ページの図3.1が参考になります。)
(4) 「地上型イージス2基導入へ 配備候補地は秋田・山口両県」、産経新聞、2017年12月19日
(5)
"North Korea Could Be Attacked by Japan's New Missile System Made by the U.S., Russia Warns" by Jessica Kwong, January 15th 2018
(6) Russia says Tokyo's deployment of U.S. missiles a blow to relations, Reuters, December 28th 2017
(7) 「【巡航ミサイル導入】周辺国の長射程化に対応 相手の射程圏外から攻撃、離島防衛でも有用」、産経新聞、2017年12月18日
(8) 「長距離巡航ミサイル『国産化』を検討 34年度試作品完成目指す 敵基地攻撃能力保有を視野」、産経新聞、2017年12月28日
安倍政権は、国会では全く説明しません。国会における野党の質問時間を制限し、短い質問時間の間、全く無関係な答弁をするか、虚偽の答弁をするかです。
とくに、国家安全保障に関し、安倍政権が何を行おうとしているかは、日本語情報では知ることが出来ません。メディアが政府の統制下にあるからです。NHKを始めとする日本の保守派メディアは、事実上、政府のプロパガンダ機関となっています。
そのため、国家安全保障に関し、安倍政権が何を行おうとしているかは、海外の英語情報によってのみ、明らかとなるようです。
アメリカの安全保障専門家が発表する論文や記事を通じて、これまでのエアシー・バトル戦略に代わる、アメリカのオフショア・バランシング戦略の具体的様相がますます明らかになってきました。英語の論文や記事では、アメリカが日本にどういう役割を果たさせようとしているのかが、きわめて率直に語られています。[1]
アメリカのシンクタンクCSISの研究員ERIC SAYERSの論文「The Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty and the Future of the Indo-Pacific Military Balance」をご紹介させて下さい。[2]
SAYERS研究員によると、アメリカは、1987年に旧ソ連と締結したINF条約 (中距離ミサイル全廃条約) により、地上発射型の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備を禁止されており、同条約の効力はヨーロッパだけでなく、アジアにも及んでいます。INF条約は、その後、ロシアに引き継がれ、現在も、アメリカとロシアは同条約の拘束を受けています。

このため、アメリカは、アジアにおいて、地上発射型の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備出来ません。アメリカが配備出来るのは、イージス艦や潜水艦から発射される「海上発射型の弾道ミサイル・巡航ミサイル」と攻撃機や爆撃機から発射される「空中発射型の巡航ミサイル」だけです。
これに対し、中国はINF条約の締結国ではなく、同条約の拘束を受けません。このため、中国は、過去20年間にわたり、地上発射型の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備を継続し、いまや日本全土から東シナ海、南シナ海におよぶ広大な地域を射程に収める1000発を超える中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備しています。その結果、アメリカは、アジアにおいて、中国に対し、軍事的に不利な状況になりつつあります。[3]
China is not a party to the treaty. For two decades, it has heavily invested in a conventional missile-based anti-access/area-denial strategy. According to testimony from Adm. Harry Harris, approximately 95 percent of People’s Liberation Army (PLA) Rocket Force missiles fall in the 500 to 5,500-kilometer range. Given China’s advantageous geographic position in Asia, this capability provides Beijing a relatively inexpensive conventional means to hold U.S. bases and ships at risk across the Western Pacific from the bastion of the Chinese mainland. As a result, America’s military superiority in the Indo-Pacific has come under considerable strain.
そのため、SAYERS研究員は、アメリカが、中国に対し、中国もINF条約に加盟するよう要請するか、あるいは、ロシアに対し、INF条約の適用地域からアジアを除くよう要請することを提案しています。しかしながら、中国、ロシアが、アメリカの要請に応える可能性は低いだろうと指摘しています。
Short of full abrogation of the treaty, other diplomatic options exist to address the way forward. They range from the far-fetched — seeking China’s compliance with the treaty — to the less likely — renegotiating a new treaty with a geographic limitation in Europe that would allow limited or even unlimited INF system deployments outside of Europe or just in East Asia.
そこで、考えられるのが、アメリカ自身が中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備するのでなく、同盟国に配備させるという方法です。
SAYERS研究員は述べています。「地上発射型の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備は、同盟国との協力の新しい機会を提供する。共同開発、各国への武器売却、二国間の軍事演習など、アメリカが利用出来る様々な機会が存在する。アメリカは、この分野で、日本、台湾、フィリピン、オーストラリア、ベトナムを含む、地域の同盟国と協働して行くことが出来る。」
Finally, this type of capability (ground-based intermediate-range ballistic and cruise missiles) would offer new opportunities for cooperation with allies and partners. Whether through the joint development of systems, foreign military sales, or bilateral exercises, there are numerous opportunities the United States could exploit in this space to work with like-minded allies and partners in the region, including Japan, Taiwan, the Philippines, Australia, and Vietnam.
昨年12月、日本政府は、ミサイル防衛のため、陸上配備型ミサイル迎撃システムである「イージス・アショア」をアメリカから調達することを決定しました。山口県と秋田県に1基ずつ配備するそうです。イージス・アショアのミサイルは攻撃用にも使えるとされています。ミサイルの射程距離は2000キロです。[4][5][6]

また、同じく昨年12月、日本政府は、離島防衛のためとして、米国製とノルウェー製の巡航ミサイルを調達することを決定しました。射程距離は900キロです。今後、巡航ミサイルの国産化も検討して行くそうです。[7][8]

今回のイージス・アショアや巡航ミサイルの配備が突破口となり、将来的には、中国に対抗して、大量の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルが日本に配備されるようになるかも知れません。
しかしながら、日本が、大量の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備することは、専守防衛を越え、他国への攻撃が可能となるため、日本の現行憲法の下では不可能です。安倍政権が、あらゆる民主主義の手続きとルールを無視して、ファシズム化を進め、憲法改正を進める理由は、ここにあります。
これらのことを、安倍政権は絶対に説明しません。なぜなら、これらのことを説明すれば、国民は政権交代を求めるからです。
日本を中国と戦わせ、アメリカは「後方から指令」を出す。 それが、アメリカのオフショア・バランシング戦略です。このことが、日本国民に広く知られれば、安倍政権は崩壊するでしょう。このため、安倍政権は、徹底的なメディア統制・情報統制を行い、国会を開かず、答弁せず、日本国民に情報を与えないようにしています。
そのため、国民のみなさんは、政府や政治家、メディアの説明をじっと待っているのでなく、自ら積極的に情報を取りに行く必要があります。インターネットを通じ、英語の情報を取りに行ってください。日本の政府やメディアを迂回して、その向こうにある真実の情報を取りに行くことが必要です。
英語が不得手の方でも、インターネット上のGOOGLEなどの翻訳ソフトを使えば、論文や記事の大意はつかめるはずです。

その上で、国会の議論に待つのでなく、国民自身の間で、全国各地で、オープンな議論を行うことが大切です。日本は、軍国主義化を進め、アメリカの前進基地として、北朝鮮と中国に対峙するのか、あるいは、外交と話し合いを通じて、アジア各国と共存共栄を目指すのか、国民自身の間で議論することが大切です。
市民団体やNGO、あるいは、有為の個人が、全国各地で、タウンミーティングを開催し、国民の間で、オープンな議論を促進することが大切です。たとえば、現在の市民連合の勢力があれば、相当数のタウンミーティングの開催が可能となると思います。コストもほとんどかかりません。国民が、自ら真実の情報を集め、自ら議論し、自ら決定する。これが、民主主義です。
安倍政権が進めるファシズム体制の打破は、実は、そんなに難しいことではありません。数百万、数千万人の日本国民のみなさんが、スマートフォンをタッチし、自ら海外の英語情報を取りに行き、真実を知れば、安倍政権が進めるメディア統制とファシズム体制は、瓦解・崩壊します。
道具は、すでに国民のみなさんの手の中にあります。あとは、それを使うだけです。
参考資料:
(1) "The Case for Offshore Balancing - A Superior U.S. Grand Strategy" by John J. Mearsheimer and Stephen M. Walt, Foreign Affairs, July/August 2016 Issue
(2) "The Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty and the Future of the Indo-Pacific Military Balance" by Eric Sayers, War On The Rocks, February 2018
(3) "The US-China Military Scorecard", RAND Corporation, 2015
(中国の弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備状況については、本レポート51ページの図3.1が参考になります。)
(4) 「地上型イージス2基導入へ 配備候補地は秋田・山口両県」、産経新聞、2017年12月19日
(5)
"North Korea Could Be Attacked by Japan's New Missile System Made by the U.S., Russia Warns" by Jessica Kwong, January 15th 2018
(6) Russia says Tokyo's deployment of U.S. missiles a blow to relations, Reuters, December 28th 2017
(7) 「【巡航ミサイル導入】周辺国の長射程化に対応 相手の射程圏外から攻撃、離島防衛でも有用」、産経新聞、2017年12月18日
(8) 「長距離巡航ミサイル『国産化』を検討 34年度試作品完成目指す 敵基地攻撃能力保有を視野」、産経新聞、2017年12月28日