【アメリカとの直接対話の開始および核・弾道ミサイル開発の無期限停止を条件に、北朝鮮を「一帯一路」に参加させるべきことについて】
北朝鮮の南方では一触即発の軍事的な対立が続いています。アメリカは、3個の空母打撃群や戦略爆撃機を展開し、北朝鮮を威嚇し続けています。日本も、アメリカに追従し、憲法違反の自衛艦展開を続けています。アメリカは、北朝鮮に対する全面的な石油禁輸も主張しています。
ところが、目を北朝鮮の北方へ転ずると、全く違った景色が展開しているようです。中国の「一帯一路」政策は、北東アジアにも及び、中国、モンゴル、ロシアの間で、道路や鉄道網の整備が進み、経済的協力関係が進んでいます。中国からの鉄道網がウランバートルを経由してモスクワにまで延び、輸送に要する日数も大幅に短縮されて行きます。[1]

すでに、アメリカ統合参謀本部と元在韓米軍副司令官が認めたように、アメリカは、軍事力を使って、北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルを取り除くことは出来ません。それは、軍事的に不可能です。そのため、アメリカに軍事的オプションはありません。話し合いしか選択肢はありません。
東アジアの軍事的状況は大きく変わりつつあります。
まずアメリカの航空母艦は、弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃に対して脆弱であり、時代遅れになりつつあります。
すでに、中国の1000発を超える弾道ミサイルが、日本全土から東シナ海、南シナ海までを射程範囲に収めており、この範囲内におけるアメリカ海軍の水上艦艇も日本の海上自衛隊の自衛艦も狙い撃ちにされる状況です。
アメリカは、依然として、潜水艦の能力において中国に対する優位性を保っていますが、その潜水艦も、無数の無人潜水艦による監視・攻撃に対して脆弱になって行くと予想されます。[2]
中国が、今後、無数の無人潜水艦を配備するにしたがって、アメリカの攻撃型潜水艦の東シナ海および南シナ海における行動は大きく制約されて行くことになるでしょう。[3]
このように急速に変化しつつある状況の下で、日本政府は、護衛艦「いずも」を航空母艦に改装することを決定しました。一回りも二回りも時代遅れの決定と言わざるを得ないと思います。

軍事的オプションが尽きたアメリカは、平昌オリンピックの開催を理由に、次回の米韓合同軍事演習の延期を検討し始めました。
他方、北朝鮮は、弾道ミサイル実験の代わりに人工衛星の打ち上げを行うと発表しました。
この機会をとらえ、関係各国は、北朝鮮の核開発問題、弾道ミサイル問題について話し合いを始めるべきであると思います。
かねてより中国とロシアが提案しているように、まずアメリカは、威嚇的な米韓合同軍事演習を一旦停止し、他方、北朝鮮は、核兵器プログラムと弾道ミサイル実験を一旦停止すべきです。(DUAL SUSPENSION) [4]
その上で、北朝鮮に対し、アメリカとの直接対話の開始および核兵器プログラムと弾道ミサイル開発の「無期限」停止を条件に、中国およびロシア主導による北朝鮮の経済開発を提案すべきです。北朝鮮が、これ以上の核兵器プログラムと弾道ミサイル開発を行うことを止めさせ、アメリカとの直接対話を開始させるとともに、北朝鮮を「一帯一路」による経済成長の流れに巻き込むべきです。

かつてアメリカは、クリントン政権下の1994年、北朝鮮が核開発プログラムを凍結することの見返りに日本・韓国の資金で北朝鮮に軽水炉を提供する合意をまとめましたが、現在のアメリカには、そのような外交的能力はありません。
アメリカが、国際問題を解決する能力は後退しつつあります。トランプ政権の国務省・国防省では、幹部スタッフの政治任用も遅れています。
すでに中東においてはロシアが状況の主導権を取りつつあります。東アジアにおいても中国とロシアが状況の主導権を取りつつあるようです。
参照資料:
(1) "North Korea and Beyond: An Alternative Vision of Northeast Asia" by Lyle J. Goldstein, The National Interest, December 28th 2017
(2) "The Submarine Might Soon Be Obsolete (And Swarm 'Subs' Might Take Its Place)" by Andrew Davies, The National Interest, October 26th 2017
(3) "Chinese Underwater Drones Eyed for Possible Sub-detection Role" by Steven Stashwick, The Diplomat, July 31st 2017
(4) "China says 'dual suspension' proposal still best for North Korea", Reuters, November 16th 2017
北朝鮮の南方では一触即発の軍事的な対立が続いています。アメリカは、3個の空母打撃群や戦略爆撃機を展開し、北朝鮮を威嚇し続けています。日本も、アメリカに追従し、憲法違反の自衛艦展開を続けています。アメリカは、北朝鮮に対する全面的な石油禁輸も主張しています。
ところが、目を北朝鮮の北方へ転ずると、全く違った景色が展開しているようです。中国の「一帯一路」政策は、北東アジアにも及び、中国、モンゴル、ロシアの間で、道路や鉄道網の整備が進み、経済的協力関係が進んでいます。中国からの鉄道網がウランバートルを経由してモスクワにまで延び、輸送に要する日数も大幅に短縮されて行きます。[1]

すでに、アメリカ統合参謀本部と元在韓米軍副司令官が認めたように、アメリカは、軍事力を使って、北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルを取り除くことは出来ません。それは、軍事的に不可能です。そのため、アメリカに軍事的オプションはありません。話し合いしか選択肢はありません。
東アジアの軍事的状況は大きく変わりつつあります。
まずアメリカの航空母艦は、弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃に対して脆弱であり、時代遅れになりつつあります。
すでに、中国の1000発を超える弾道ミサイルが、日本全土から東シナ海、南シナ海までを射程範囲に収めており、この範囲内におけるアメリカ海軍の水上艦艇も日本の海上自衛隊の自衛艦も狙い撃ちにされる状況です。
アメリカは、依然として、潜水艦の能力において中国に対する優位性を保っていますが、その潜水艦も、無数の無人潜水艦による監視・攻撃に対して脆弱になって行くと予想されます。[2]
中国が、今後、無数の無人潜水艦を配備するにしたがって、アメリカの攻撃型潜水艦の東シナ海および南シナ海における行動は大きく制約されて行くことになるでしょう。[3]
このように急速に変化しつつある状況の下で、日本政府は、護衛艦「いずも」を航空母艦に改装することを決定しました。一回りも二回りも時代遅れの決定と言わざるを得ないと思います。

軍事的オプションが尽きたアメリカは、平昌オリンピックの開催を理由に、次回の米韓合同軍事演習の延期を検討し始めました。
他方、北朝鮮は、弾道ミサイル実験の代わりに人工衛星の打ち上げを行うと発表しました。
この機会をとらえ、関係各国は、北朝鮮の核開発問題、弾道ミサイル問題について話し合いを始めるべきであると思います。
かねてより中国とロシアが提案しているように、まずアメリカは、威嚇的な米韓合同軍事演習を一旦停止し、他方、北朝鮮は、核兵器プログラムと弾道ミサイル実験を一旦停止すべきです。(DUAL SUSPENSION) [4]
その上で、北朝鮮に対し、アメリカとの直接対話の開始および核兵器プログラムと弾道ミサイル開発の「無期限」停止を条件に、中国およびロシア主導による北朝鮮の経済開発を提案すべきです。北朝鮮が、これ以上の核兵器プログラムと弾道ミサイル開発を行うことを止めさせ、アメリカとの直接対話を開始させるとともに、北朝鮮を「一帯一路」による経済成長の流れに巻き込むべきです。

かつてアメリカは、クリントン政権下の1994年、北朝鮮が核開発プログラムを凍結することの見返りに日本・韓国の資金で北朝鮮に軽水炉を提供する合意をまとめましたが、現在のアメリカには、そのような外交的能力はありません。
アメリカが、国際問題を解決する能力は後退しつつあります。トランプ政権の国務省・国防省では、幹部スタッフの政治任用も遅れています。
すでに中東においてはロシアが状況の主導権を取りつつあります。東アジアにおいても中国とロシアが状況の主導権を取りつつあるようです。
参照資料:
(1) "North Korea and Beyond: An Alternative Vision of Northeast Asia" by Lyle J. Goldstein, The National Interest, December 28th 2017
(2) "The Submarine Might Soon Be Obsolete (And Swarm 'Subs' Might Take Its Place)" by Andrew Davies, The National Interest, October 26th 2017
(3) "Chinese Underwater Drones Eyed for Possible Sub-detection Role" by Steven Stashwick, The Diplomat, July 31st 2017
(4) "China says 'dual suspension' proposal still best for North Korea", Reuters, November 16th 2017